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God is in the detail
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村重 達也

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村重 達也

日刊紙「繊研新聞」記者

このブログでは、僕が仕事を通じて感じたことや学んだことなど、普段はあまり表に出ることのないファッション業界の今や今後を、つれづれとお伝えできればと思っています。

繊研新聞
http://www.senken.co.jp/

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God is in the detail
Jun 24, 2008

 「神は細部に宿る」。――僕がメンズファッションを専門にする記者の仕事を始めて、大きな影響を受け、一人前に育てていただいた先輩から教えられた言葉です。
この言葉、後に知ったのですが、建築家ミース・ファンデルローエの言葉だそうです。大好きな建築家なのですが、(お恥ずかしい話で)もともとは僕はこの言葉、服に関して教えられたのです。
 当時まだ(今もですが)若造で、ドレススタイルの着こなしもままならなかった頃、気張ってイタリアの高級生地ブランドのスーツを着て、悦に入っていたところ、「なっとらん」とその方に言われたのでした。もちろんなっとらんのは生地ではなく、僕の着こなしと知識のなさ。袖の本切羽、重ねボタンなどのディテールの演出もままならず、シルエットもフィットしていませんでした。素材が繊細でシャイニーなだけで、良いスタイルだと思い込んでいたとき、「変化の少ない男のドレススタイルの基本は細部。袖の遊びや靴とベルトの合わせ、シルエットなどで見せるもの。神は細部に宿ると言うし」と教わったのでした。ドレススタイルにこだわるきっかけの1つにもなった思い出です。
 この「細部に宿る」という感覚。実は日本の伝統的な美意識であるワビ・サビと通じるのではないかと思っています。ぱっと見て分かる格好良さよりも、さり気ない粋に美を見出すという点で。こういう細やかな感性が日本らしさではないかと思っています。その意味でオーダーのメンズドレスファッションは日本が世界に誇れる、細部の演出ではないかと思っています。
 世界ではクラシコイタリア、アメリカントラッド、ブリティッシュダンディズムなど、各国に特有の男のファッションがあります。では日本は何?というと残念ながら世界的に知られたジャパニーズメンズスタイルは確立されていないのが現状だと思います。和服の国で洋服なのだから仕方ないとも言われそうですが、ラーメンやパスタなどもともとは海外文化なのに、日本にしかないようなレベルにまで発展したカルチャーもたくさんあります。スーツもそうできないか。そんなことを評論家の方とお話したりします。
 そこでオーダー。実は欧米にはビスポーク(フルオーダー)とレディウエア(既製品)の大きな区分けはありますが、その中間的なオーダーはそれほどありません。日本のようにパーソナルオーダーやパターンオーダーといった形で、ビスポークよりもリアルプライスで、早く仕上げられるシステムをこれほど多くのブランドや店で確立した国はほとんどないと言えるでしょう。
 なぜなら作るファクトリー側からすると、個別にメイキングするというのは大変、面倒だからです。ファクトリーとすれば、同じようなものを大量に作るのが一番手っ取り早い。そうでなければ、完全に1人の人間が採寸して個人のために作れば良い、という発想になりやすいわけです。ところが日本の高級スーツファクトリーは、時間と手間を惜しまず、ハンドメイドも取り入れながら、パーソナルオーダーを受けられるよう努力します。この細やかさは日本の持ち味です。日本の交通機関がダイヤぴったりに動くように、勤勉な日本人の感性だからこそできる、お客様のための服作りだといつも頭が下がる思いです。良い悪いではありませんが、ヨーロッパのファクトリーではここまで細やかにはいかないでしょう。
 もちろん欧米のファクトリーには日本にはないような色気があったり、ハンドメイドにはやはり高価で時間がかかるからこそできる、なんともいえない優しくスマートなフィットとデザイン性があります。ですからどちらが優れているとは言えません。ただ日本のドレススタイルが世界に冠たるものとして、オーダースタイルは是非ともインターナショナルに花開けるものではないかと思っています。BR Order Madeスタイルとそのほか多くのブランド、ファクトリーに敬意を込めて。