“クール”ビズ
Sep 07, 2008
8月も終わり、まだまだ暑いですが、汗が滝のよう、という季節は通り越したなという気がしています。
そうして思い返すと、僕自身はこの夏、ほとんどスーツを着なかったことに驚いているところです。テーラードジャケットを着ているときも、インにはドレスシャツよりもポロシャツだったり、アメリカンスタイルのトレンドの流れも合ってジーンズにローファーにオックスフォードのボタンダウンシャツ(しかも洗いざらし)といったスタイルが本当に多かった夏でした。
カジュアルやモードなスタイルで仕事をされる方も多いファッション業界で働いているから、といえばそれもあるのですが、昨年までは結構8月の猛暑のなかでも、パーティや記者会見などでスーツを着ていました。それが今年はめっきり減ったと感じています。
ショップの方に取材していても、今夏は本当にドレスシャツからポロシャツやカジュアルなシャツにセールスの動きがシフトした、とおっしゃる方が多かったです。確かに、イタリアのファッション業界人などにインタビューする際にも、ポロシャツに白パンにジャケットといった出で立ちの方が今年は多く本当にスポーティなスタイルが男性の仕事の場でも市民権を得てきたな、と実感しました。(金融関係の方など、しっかりスーツを着られている方にも多くお会いしましたので、全部とはいえないとはもちろん認識していますが)。
そして9月になるとファッションの業界は来年の春夏のお話が話題の中心になります。今年の傾向も合って、来年の春夏は「インコテックス」や「PT01」、「GTA」など有力なパンツブランドのほとんでショーツの新作が相次ぎ、ショップのバイヤーさんもこぞって、買い付けをされています。ジャケットでもシャツ生地のテーラードやカットソーのジャケット、インにもちょっとストリートな雰囲気のチェックシャツなどが、多くのイタリアブランドから出ています。
かつて国会議員の方が着ていた半袖スーツの激ダサさとはまったく別の次元で(当時の方ごめんなさい)、09年の春夏は本当の格好良いファッションとして、ショートパンツのドレスルックの商品が増え、今までよりも普及するのではないかと個人的には思っています。そうなるよう微力ながらも情報発信をしていきたいとも考えています。
というのも、このスタイルには日本人の感性が生かせると思うからです。09年春夏の流れ自体は、ヨーロッパも含めた世界的な温暖化の傾向と、モードで今もっともメンズファッションをけん引する「ランバン」ブランドが薄く、繊細なスタイルで世界のファッションデザイン変えたこと起因していると言われています。しかし長いスパンで見ると日本の“お家芸”でもあると思うからです。
今、春夏のスーツは日本では背中の裏地のない「背抜き」というスタイルが一般的ですが、これ、もともとはスーツの発祥の欧州にはなかったもの。日本の風土に合わせてアレンジして、それが世界にも徐々に広まっているのです。
またモードの世界の話になりますが、かつて「コムデギャルソン」や「ヨージ・ヤマモト」が西洋文化の牙城だったパリコレクションに衝撃を走らせたジャパニーズモードの底流にあったのも、自然や風土と一体になった(リラックスした)シルエットやデザイン、着心地を大事にした和服の発想だったと思います。
その意味で、暑いなかで必要以上の無理をせず、気候に合う着こなしやデザインを大事にすることは日本人の伝統的な感性とも言えるのではないかと思います。最近のエコの流れなどから考えても、「グローバルスタンダード」になり得るファッションなのではないかと思っています。
長広舌を振るってしまいましたが、そんなわけで、世界的な温暖化のなかで、清涼なショーツやポロシャツを着ながらエレガントなドレススタイルの日本人が増えて、世界のファッション誌のスナップでファッションのお手本のように広まれば、うれしいなと思っている次第です。来年の春夏に向けて、多くの方と一緒に、エコで日本らしく、なおかつエレガントで格好良い、本当の“クール”なビズを考えていきたいと思っているところです。



