吉田/ポロシャツと言えば鹿の子編みのコットンが定番ですよね。でもB.R.さんが満を持してリリースしたオリジナルはスムースな天竺編みのコットン。どうしてですか?
大和/鹿の子じゃないとポロに非ず、なんてこだわりを持ってる人はたしかにいますよね。天竺編みで身体にピチっとフィットするようなものだと、オヤジ臭いイメージを抱いたりして。でも最近は少し違うんですよ。鹿の子のスポーツ感というか、武骨な雰囲気を、逆にオヤジ臭く感じる人が多いみたいで。天竺のほうがシャープに見えていい、なんて具合に。
吉田/へぇー、そうなんだ。そういえば、エッジの利いたデザインのポロって、大抵いまは天竺生地ですね。
大和/いまのファッションアイテムには、おしなべてラグジュアリー感が求められている気がします。天竺生地のポロが台頭してきたのもそれと無縁ではないかもしれませんね。
吉田/何度も洗いを繰り返した鹿の子の感じって好きなんだけどなぁ。
大和/そうですよね。鹿の子ポロはちょっとアタリが出てきたくらいがいいですよね。それに対して、天竺ポロは買った瞬間からこなれた感じ。生地もしなやかに身体にフィットしますし。ちなみにうちのオリジナルであれば、上質な素材を使っていることもあり、その新品感がいつまでも長く続く……と、さりげなくアピールしておきます(笑)。
大西/デニムや革ジャンもそうだけど、着込んでいくうちに味が出るアイテムというものは、いまはあまり流行らないのかもね。
吉田/アメカジが流行ってると言っても、昔ながらの武骨で男臭いアイテムを引っぱり出してきちゃダメというのと同じですか。いま注目されているのはイタリア的解釈の洗練されたアメカジのほうで。
大西/そうそう。それにボクぐらいの年齢になると、昔は味出し系に興味があったとしても、次第にさらりと着られるもののほうに興味が移るのは当然だと思う。自然の摂理として。だってラクチンなんだもの(笑)。まぁ、それはさておき、いずれにしろ、よりドレス感の高いポロをお探しのかたは、いまは天竺のほうがいいと思います。ただ、しなやかな天竺生地って、肉付きのいい人が着るとムチムチ見えちゃうんだよなぁ……。乳首が目立ったりするのもちょっと恥ずかしい(笑)。
大和/だからウチのオリジナルでは、モード系に多いような過激なタイトシルエットとせず、適度な細身という微妙なラインを狙いました。
吉田/まいりました。
吉田 巌
ライター/有限会社十万馬力
服、靴、鞄、そして時計、と男性の物欲を刺激するアイテムについて何でもかんでも書きなぐっているライター。イタリアのバイクが好きで、生死の境をさまよう事故に遭いながら、懲りずにベスパでリハビリ中。東京で1番好きな場所は新宿ゴールデン街。遅筆。
大西 陽一
ファッションエディター/RESPECT
エディター的視点からスタイリングのできる希少な存在として、雑誌や広告など幅広く活躍する売れっ子。守備範囲はメンズファッションだけにとどまらず、インテリアやクルマ、雑貨までにも及び、親しみやすいほがらかな人柄が多くの編集者から愛されています。趣味の写真の腕前は相当なもの。