TOPIC PATH
home  >  
Recommend Style  >  
Backyard Talk Vol.005
前のページに戻る

category

back number

Backyard Talk vol.005 最近の細身傾向について思うこと
Photo

吉田/ドレスもカジュアルもこのところずーっと細身傾向を突っ走っています。これってまだまだ続くんでしょうか?
大西/何年も前からコレクションではルーズなシルエットがけっこう発表されているんだけどね。でも相変わらずどこのショップも細身なアイテムが多い。街を見渡してもタイトな服を着てる人ばっかだもの。
大和/本当にずっと細身路線ですよね。しかも私がB.R.SHOPをオープンさせた10年前くらいから年々加速がかかっている感じがします。
吉田/そもそもこの細身傾向って世界的なものなんですか?
大西/うん。ヨーロッパもアメリカも、お洒落な人はみんな細いものを着てますよ。ただ日本の場合はそれが一層顕著かなぁ。

Photo

吉田/人間の体型そのものが細くなっているんでしょうか?
大西/そんなことあるわけないでしょ。細身パンツと言えばイタリアのインコテックスなんかが有名だけど、イタリア人のミドルは相変わらずお腹まわりがポコっと出ている人が多いよ。それでいながら勇敢にも細身パンツを履くんだよね。そっちのほうが、脚がきれいに、長く見えるから。それとインコのパンツって、後股上がスパっとキレイに切れ上がってるでしょ。ヨーロッパの人にとって男性のお尻は重要なセックスアピールの道具。だからあえてああいう細身を好んで履くんだろうね。もともとスーツができる以前、向こうの貴族階級はタイツのようなものを履いていたという土壌も関係しているかも。つまりDNAに擦り込まれた美意識が細いパンツを求めているんです。
松村/インコの定番のように膝下がテーパードした細身シルエットって、多少お腹が出ているぐらいの人には本当に似合うんですよね。ただ、もとが細身な人には、膝下がストレート気味のほうが似合う。一口に細身パンツといっても体型に合わせて買ったほうがいいというのが、服屋としての意見です。
大和/おっ、マツムラ、言うようになったねぇ(笑)。いずれにしろ、ルーズシルエット全盛だった80年代のトラウマをいまだに抱えている人は別にして、細身傾向はまだ当面続くんじゃないでしょうか。

Photo

吉田/でも最近のジャケットやシャツとかって、前を締めたらパツンパツンになるくらいやたらとタイトなものがありますよね。これが続いたら嫌だなぁ。
大和/そう。タイトだからカッコいいんじゃなくって、身体にフィットしてるからカッコいいんですよね。そこをはき違えた細身アイテムが巷に多いのはたしか。若い人ならまだしも、ミドルがそういうチンチクリンなものは着れませんもんね。そういうムチャな細身は淘汰されていくと思います。
松村/実際うちのオリジナルジャケットも細身に見えるということで好評を博していますが、モードブランドのジャケットみたいに過剰なドロップで細さを強調しているんじゃなくって、胸周りから身体にフィットさせることでスマートに見せているんです。だからむしろドロップはゆるめ。もちろんお腹の出ている人だってちゃんと前ボタンをはめられますよ。
大西、吉田/松村さん、本当にいいこと言うねぇ(笑)。

吉田 巌

吉田 巌

ライター/有限会社十万馬力

服、靴、鞄、そして時計、と男性の物欲を刺激するアイテムについて何でもかんでも書きなぐっているライター。イタリアのバイクが好きで、生死の境をさまよう事故に遭いながら、懲りずにベスパでリハビリ中。東京で1番好きな場所は新宿ゴールデン街。遅筆。

大西 陽一

大西 陽一

ファッションエディター/RESPECT

エディター的視点からスタイリングのできる希少な存在として、雑誌や広告など幅広く活躍する売れっ子。守備範囲はメンズファッションだけにとどまらず、インテリアやクルマ、雑貨までにも及び、親しみやすいほがらかな人柄が多くの編集者から愛されています。趣味の写真の腕前は相当なもの。

*当サイトの税込価格表示は、掲載時の消費税率に応じた価格で記載しております。
お間違えになりませんようご注意ください。