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Backyard Talk Vol.021
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Backyard Talk vol.021 男のファッションを脚から変革!?
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大和/INCOTEX(インコテックス)とPT01(ピーティーゼロウーノ)という、当世2大人気パンツについて語り尽くすこの企画もいよいよ後編に突入。ここからはスタイリスト大西さんに代わって、スペシャルゲストにご参加いただきます。雑誌「LEON」の編集長代理、前田陽一郎さんです。皆さん、前田さんのことはご存知ですよね?
赤嶺健介さん(※インコテックスのインポーターであるエスディーアイ課長。以下赤峰)/そりゃあもう(笑)。いつもお世話になっております。
小林裕さん(※PT01のインポーターであるトレメッツォ代表。以下小林)/凄いメンバーの座談会になってきましたね(笑)。

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大和/いきなりですが、スペースの都合上、ムチャぶりな質問からしたいと思います。前田さんから見て、インコテックスとピーティーゼロウーノ、どっちが魅力的ですか? どちらもさんざん履き倒してきたと思いますが。
前田/うわぁ直球だなぁ(笑)。どっちがどっちと言えるわけないじゃないですか。ただ自分自身の脚にどちらがより合うかと言えば、ピーティーゼロウーノのほうかも。ボク、お尻は扁平なのに、昔野球をやっていたせいか、腿はそれなりにあるんですね。そんな少々特異な下半身に、ピーティーゼロウーノのBRIT CHINO(ブリチーノ)というモデルは本当にジャスト。48サイズを履いた瞬間に「来た!」と思いましたもん。太ももに適度なゆとりがあるのがいいんですね。しかもそのゆとり感が、膝を通って足首まで均一に続いている。だからとてもリラックスして穿けるんです。腿の細い人にしたら、ちょっとゆとりがありすぎるように感じるかもしれませんが、ボクには最高のモデルです。
小林/そんなに気に入っていただいて光栄です。
前田/もちろんこれはボクの脚に限定した話。両者のどっちに軍配を挙げるかは、人それぞれで違うと思います。そもそもインコテックスとピーティーゼロウーノって、パンツ作りの考え方自体にはさほど違いはないと思うんです。雑誌の商品撮影のときによく感じるんですが、前身頃と後身頃のバランスの取り方が異なるくらいで、腿から足首までのシルエットは、両者でさほど差がない。でもこの微妙な差が大きくて、インコテックスを穿いて「うーん?」と思った人がピーティーゼロウーノを穿いて「よし」と感じることもあるだろうし、逆にピーティーゼロウーノのいろんなモデルを履いてみて、「やっぱりインコテックスの035だよなぁ」と思うこともあるでしょう。

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大和/まずは両方とも穿いてみるべしってことですね。
前田/そうです。こんなにオールマイティなパンツはありませんしね。
大和/オールマイティとは?
前田/ワレワレ世代にはスラックスを普段履くという考え方がなかったんです。カジュアルパンツは、デニムとチノと軍パンで出来上がっていると言う擦り込みがあったというか……。ところがインコテックスが登場して以降、お洒落な人がカジュアルでもスラックスを穿きはじめた。そこにピーティーゼロウーノの登場で、ますます当たり前のファッションとして定着。たとえば、昔ならA2のようなレザージャケットのボトムスにはチノかデニムしか考えられなかったのに、今はそこにグレイのウールスラックスが当たり前の選択肢としてある。つまり、スラックスをオールマイティにした2大功労者なんです。
大和/なるほど。旧来のカジュアルファッションの呪縛から、この2つのパンツブランドが解き放ってくれたというわけですね。
前田/そう。いまどきのドレスカジュアルは、インコテックスやピーティーゼロウーノがなければ成り立たないんです。

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小林/同感です。中でも先駆者としてインコテックスの果たした役割は相当大きいでしょうね。やっぱりクラシックパンツの王者ですよ。ボク自身、インコとロダしか履かない時期がありましたもの。
赤嶺/敵に塩を贈るようなコメント、ありがとうございます(笑)。お返しというわけじゃありませんが、私たちにしたら、ピーティーゼロウーノの登場は、相当刺激的でしたよ。パッと見はデザイン性のあるものが多いのかなと感じていたんですが、けっしてモード、モードしていないんですよね。これはインコテックスに並ぶ存在になるかも? とデビュー当時から相当チェックしていました。
前田/いずれにしろ両ブランドからは今後目を離せないと思います。両者の違いを掘り下げていくことも面白いけれど、ボクはこの2つのブランドが次に仕掛けることのほうが興味深い。そこに付いて行けるかどうかで、自分のこれからのファッションも左右されるんじゃないかとも感じています。「お洒落は足元から」というのは、もちろん靴のことを指した格言ですが、今の時代には、そこにパンツも含まれると思うんです。
小林/さすが。いいこと言うねぇ(笑)。

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大和/ところで、インコテックスさんとピーティーゼロウーノで、今後なにか面白い展開はありますか?
赤嶺/インコテックスの場合、先頃スタートさせた「チンクエタスケ」が非常に好調ですが、来年のSSからそれとはまったく別のラインをデビューさせます。こちらはかなりカジュアルなライン。過激な加工技も駆使するので、言ってみればラルフのWRLみたいな感じでしょうか。でももちろんインコテックスですから、大人がスッキリとはけるパンツになるはずです。
小林/うちの場合、今ベーシックモデル以外のスペシャルモデルをシーズンに約10モデルずつ出していく予定。そのうちの三分の一は、完全に新しいモデルとなります。またデニムラインであるPT05(ピーティーゼロチンクエ)にはますます力を入れて行く予定。こちらのライン、あまり知られていないんですが、ピーティーゼロウーノの工場とはまったく別のデニム専用工場で作っているんですよ。そういう意味ではトラウザーズの工場で作っているインコさんのチンクエタスケとは違う(笑)
大和/お互いがお互いを強く意識している感じですね。でも、だからこそ、いいものが生まれるんでしょう。前田さんが言う通り、しばらくはこの両ブランドから目が離せませんね。本日はお忙しい中、皆さんありがとうございました。

前田 陽一郎さん

前田 陽一郎さん

雑誌『LEON』編集長代理

1969年・三重県出身。法政大学在学中、ファッション雑誌のライターとして洋服に携わる。卒業後、大手内装建築・デザイン会社を経て、1994年より祥伝社に転籍。ストリート誌の草分けともいえる『Boon』に参画し、エアマックス、古着、Gショック、裏原宿など、数々のブームを仕掛ける。2000年、30歳を機に、同社にて年2回刊行誌『THE SUIT CATALOG』を創刊。2006年からは主婦と生活社『LEON』副編集長として勤務。オートバイ(BMW K100RS、VESPA PX200FL、YAMAHA TY250Z所有。草レースにも参加)、クルマ('98MINI、'99CHELOKEY、'94PORCHE911所有)、マウンテンバイク(フリーライド・ダウンヒル)にも精通。趣味はテレマーク、そして犬(ラブラドール)の散歩。

小林 裕さん

小林 裕さん

株式会社トレメッツォ代表取締役

海のものとも山のものともつかなかったピーティーゼロウーノの魅力にいち早く気づき、日本における正規代理店になることを決意。その後日本における急速な大ブレイクを影で支えたかたです。ピーティーゼロウーノの快進撃の秘密を聞くと、デザインの魅力もさることながら、デリバリーを含めた工場背景がしっかりしていること、そしてマリオ・ステファノ・マランという優れたディレクターを得たことと、と語ってくれました。

赤峰 健介さん

赤峰 健介さん

株式会社エスディーアイ課長

“ソロ・パンタローネ”(パンツ一筋)を標榜するイタリアのパンツ専業ブランド、インコテックス。これを日本に普及させた張本人である輸入代理店エスディーアイにおいて、メンズのセールスを担当なさっているかたです。服飾全般に深い知識をお持ちで、インコテックスのノープリーツパンツは、リーバイスの501同様、ディテールを進化させながら定番として君臨する傑作とのこと。

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