前回に引き続き、カジュァルスタイルの“レコメンド"は、スエードです。とはいえ今回はジャケットではなく、シャツ。綺麗な赤色と、リジッドデニムとの合わせが、最近さまざまなファッション誌が取り上げている“アメリカ気分"をほどよく演出していると思いません?
レザーのシャツにワイルドなイメージを抱く人もいるかもしれませんが、薄手でしなやかなスエードを用い、綺麗な発色のものであれば、ご覧のように上品で軽快なカジュアルスタイルを構築することができるんですね。この際に気をつけることは、あまりシャツであることを意識せず、むしろアウター感覚でサラリと羽織ること。薄手のスエードだからといって、この上にコートやジャケットなんかをレイヤードしてしまうと、途端に軽やかさを失ってしまいます。
このシャツを手掛けたのはイタリアの「チンクワンタ」。トレンドを踏まえたタイトフィッティングが得意なだけに、こちらもほどよい細身設計。それだけに前のボタンを全部開放して着用しても見苦しくならず、真ん中あたりのボタンだけを留める小粋な着こなしも小粋にキマります。身体に馴染む上質なスエード使いもここならではと言えるでしょう。
ちなみに細身のコットンのワークシャツなどでも似たようなスタイルはできますが、生地が身体に沿ってしまうため、メタボに悩む人には不向き。その点スエードは生地にある程度の重みがあるため、シャツ本来のパターンを生かした綺麗なラインが出ます。気になるお腹周りをカバーしてくれる効果も高いのです。この効能もお見逃しなく。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 吉田 巌 / 有限会社 十万馬力
襟羽根に施されたハンドステッチが小粋なアクセントになっています。アメリカのワークシャツ的な大きめの襟でなく、ドレスシャツ的なセミワイドで、美しい開きを見せているのもポイントです。
春夏カジュアルに欠かせないメッシュベルト。さまざまなブランドから登場していますが、「アンドレア・ダミコ」のものは頭一つ抜けたお洒落感。こちらはレザーとナイロンを編み込んだコンビタイプで、軽やかに腰周りをまとめてくれます。
上質なスエードアッパーを使用することで、生粋のデッキシューズのスポーティな雰囲気を中和した「ディメッラ」の靴です。とはいえソールは定番のホワイトですから、しっかり旬のマリン気分を演出できます。