ジョシの世界でもケーブル編み、アラン編みといった表情のあるざっくりニットがビッグトレンドとしてきていますが、メンズの世界でもその流れは同じのようですね。今まで寛ぎたい場面でのド定番と言えばジャージ素材のジャケットでしたが、フェルトのPコートは何だか重いし、かっちりジャケットも食傷気味という気分をうま~く汲み取ってくれるのがこのニットアウターというワケなんですね。空気を含んだような表情のニットはさっと着るだけでソフトな人柄に見せてくれ、かつ、リラックスして見えるので、休日の場面ではかなり汎用性が高く、女子ウケも抜群。とくれば手に入れない手はないですよね!?
それともうひとつ、実は秋冬の白パンってリッチでお洒落に見えるのですが男性のなかには「白パンって夏のものでしょ」と抵抗がある人もまだまだ多いよう。軍パンやカモフラ柄もそろそろ着倒した感もあるので、ここで清潔感溢れるキレいめパンツを投入してもいいかもしれません。そう、大事なのはギャップですから。
先日、業界でも有名なA氏ととある話題のビストロへ。この方洒落者として有名で、いつも見るたびに南イタリアのちょいワル風、ときにはアメカジ、あるときはクラシカルな英国調と、実に様々なファッションを楽しんでいるのですが、その時着ていたのはボーダーTシャツにダブルの紺ジャケ、下は白パン、デッキシューズというフレンチ風カジュアルというちょっぴり可愛いマリンなスタイル。フランスのグルマンたちが集う隠れ家ビストロさながらのこだわりの雰囲気に驚くほどマッチしていたのを覚えています。きっとここに来る事を予測してこの服を着てきたんですね。あっぱれの確信犯。「あっ、お洒落を楽しむってこういう事なのね」って思いました。いつもはファッションもご飯もイタリアばかりという方も、時にはまた違った趣きでフレンチシックを楽しんでみてはいかがでしょう?
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
今回提案したスタイルではさらに隠し味として赤も効かせています。シックな服に身を包むフランス男が差し色にシックな赤をとりいれる、なんてイメージでしょうか。足元にこっくりしたボルドーカラーを持って来るのもジョシの共通トレンド。いつものネイビーやブラウンといった足元も赤に変える、または赤を差すだけで簡単にトリコロールを取り入れることができます。仕事は英国調、休日はちょいフレンチな気分を盛り込んでみてはいかがでしょう。
ニットアウターはジャケット代わりに気軽に羽織れる重宝する一枚。よくイタリアスナップではショールカラーのニットに身を包む諸兄をみかけますが、ともすると老けた印象に偏るため、着こなすのが難しいもの。こちらのようにPコートの要素が散りばめられたニットならより今年らしく、若々しい印象で着られます。ちょっと捲った袖元が抜け感にひと役買っています。
洗いをかけたようなコットンが身体を優しく包みこむ「フィナモレ」のシャツ。「裾を出して着られるように短丈で」と別注をかけたところ、それが爆発的にヒット。いまやフィナモレ社のスタンダードモデルになった伝説のシャツなのです。チェック柄はともすると若づくりに見える危険性も含んでいますが、一方でニットジャケットを老けて見せない効果も含んでいるので上手に活用したいところ。タイトなサイジング、ふんわり起毛した上質なコットンの生地感があれば若者のそれとは一線を画す、大人ならではの品をもって着ることができます。