テーラーリングの高い技術をそなえたリッチなチェスターコートですが、これをあえてラフに着こなそうという今回のコーディネート。今季はブリティッシュばやりということもあり、普段はラフなファッションが好きなハリウッドセレブたちもこぞって着ているのがこのウールコートなんですよね。彼らはカシミアコートにVネックニット、ボトムスはジャージー素材にスニーカーと、ベッカムを筆頭にリッチなコートをあえてラフにくずして着るのが気分のようで。しかしそこまでカジュアルダウンするにはあまりに難易度が高いので、それをさらに大人っぽく、上品にアレンジして着こなそうというワケです。
なかでも今年はまろやかに見せてくれるベージュが最大のトレンドカラー。実はこの色、日本人の肌色や髪の色にも馴染がいいんですよね。グレーやネイビーに比べて艶もあるのでカジュアルな着こなしに合わせてもリッチに馴染ませてくれる嬉しい効果もあります。今回はそんなトレンドカラーのコートにプレーンなニット、シャツ、マフラーという誰もが持っていそうなアイテムを用いていますが、ここでグレーのフランネルパンツを合わせると地味なスタイルに陥りがち。グレンチェックのパンツを合わせるだけでぐっとこなれて見えます。実はキャメルにチェックはPITTI会場でも良く見かける組み合わせ。
しかもウールコートは誰もが一枚は持っているものだし、着なれたという感覚があるだけに少しでもサイズが合っていないと‘80年代風の野暮な“懐かしい雰囲気”になってしまうので要注意!タイトなサイジングのコートにストールで差し色を効かせて、クラシックなスタイルにヒネリをきかせるのが今年らしい合わせワザ。チェックもカラーも冬のマンネリスタイルに抜群の効果を発揮してくれますが、ショップで見かけると「派手かな?」と躊躇してしまうことも。でも意外にも穿いたり、身に付けたほうが馴染みがよく、ジョシの世界でも一大トレンドのブリティッシュテイストをほどよく取り入れた男性は何より上品に見えるので女子ウケもとっても好感触です。ぜひともお試しあれ!!
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
いまエディターやスタイリストたちがこぞって目をつけているのが日本に上陸したばかりのナポリの気鋭のファクトリーブランドの「ガイオラ」なんです。その新作がコンパクトな肩まわりが特徴の、贅沢なカシミア100%のしっとりと柔らかい肌触りが病み付きになりそうな極上のコートです。とくに定番のチェスターコートはイマドキか、野暮に見えるかは肩のサイジングにかかっているので「毎年コートだけはその年のシルエットを買い足すようにしている」という諸兄も多いようです。
コートの胸元にチーフを挿すようにグローブを胸元に挿すのがイタオヤさんがよく使う常套手段。でもここはミラノではなく、あくまで日本。ということで鮮やかなリモーネやエルメスオレンジは抵抗があるものの、鮮やかなブルーやグリーンなら日本人の肌にも馴染がいいので、そこだけが浮いてしまうことがなく、品よく色を効かせることができます。
オンビジネスではネイビーやグレーのウールパンツを履いている諸兄も多いでしょうが、休日でもそれを穿いてはあまりに芸がなかろう、ということで今回オススメしたいのがグレンチェックの“地味柄”なんです。大柄は難易度が高そうですが、穿いてみると実はほどよく華やかさを足してくれるのでマットなウールやカシミアコートの素材感とあたたかみがぐっと引き立ち、脱・無難な着こなしにひと役かってくれます。