レディースのファッション誌ではよく“ヌケ感”とか“こなれ感”という言葉を使うのですが、要は清潔感があって上品に見えるのは前提に、「野暮ったくならないために袖を捲ったり、カーゴパンツの裾をロールアップする」といった着こなしの工夫が、全体の印象を左右している、ということなんですよね。寛ぎ感と今どきのカジュアル感を同時に備わっている状態を“ヌケ感”に集約しているんです。
そんな今季の“ヌケ感”アイテムとしてまさにいまオススメしたいのが、ショールカラーのざっくりカーディガンです。ローゲージのショールカラーカーディガンは去年から“ほっこり”アイテムとしてメンズ誌各誌でもこぞって取り上げられていましたよね。何ともいえないリラックスした雰囲気に、育ちの良さをプラスしてくれるとあって、オシャレに欲張りなオヤジさんたちを満足させる、使えるアイテムだったわけです。オフのジャケットスタイルもそれはそれで素敵ですが、クールビズでドレススタイルがますますカジュアル化しているいま、休日はさらにカジュアルダウンしたいところ。
そして今回のもう一つの推しがこのパンツ。一見、どこから見ても普通のキレいめカーゴに見えますが、実はドローコード付きのイージーパンツなんです。穿いていてとっても楽なのに、そうは見せないところが大人にとって嬉しい隠し味。ロールアップして更にデッキシューズを合わせているあたりがまさに今季ならではの“ヌケ感”でしょう。そして
夏のマリンはもっとも“ヌケ感”を作りやすい永遠の王道スタイル。今回のようにブルーのグラデーションで全体のトーンを揃えれば、涼感たっぷりのスタイルが簡単に手に入ります。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
近ごろ女子のファッションアイテムでも、きちんと見えるジャージーパンツや、ウエストがゴム仕様になったセンタークリースのキレいめパンツが流行っているように、「楽なのに実はリッチに見えるパンツ」がじわじわと勢力を伸ばしています。こちらのインコテックスのパンツも実はドローコードが付いたイージーパンツ。カジュアル過ぎない、キレイ顔のリラックスパンツって本当に珍しいですよね!サックス×ホワイトのネップ素材は珍しく、サラッと涼しく履けるのでこれからの季節にもピッタリです。
『トミーヒルフィガー表参道』のオープンも手伝って、トレッドをモダンに進化させたプレッピースタイルが改めて注目を浴びていますが、プレッピーたちに好まれてきたアイテムといえば何と言ってもデッキシューズでしょう。ラコステのポロシャツを着て、トップサイダーのデッキシューズを穿く….デザインこそアップデートされているとはいえ、基本アイテムはずっと変わらないのです。こちらのリビエラのデッキシューズはスペインでも有数の美しいリゾート地、コスタブランカをイメージして作ったという、なんともフォトジェニックな一足。上品なカラーリングからはどことなくエスプリが漂います。おそらくセルジュ・ゲンスブールが生きていたら、ダンガリーシャツに白パン、そして足元にはリビエラのデッキシューズを合わせていたかも!?な~んて想像力が膨らみます
ロールアップしたパンツスタイルの最後のキモとなるのが腰元のベルト。「イタオヤさん達みたいに、挿し色でレモンカラーや赤といった明るい色を差すのはちょっとね….」と挿し色に抵抗があるかたにオススメしたいのが、こちらのファブリツィオ・マンチーニのベルトを使っての差し柄。よーく見ると、アンティーク加工を施したレザーは質感がしっかりしていて、どこか骨太感すら漂うメンズライクな仕上がり。なのでトロピカルな花をペイントしているのにも関わらず、チャラチャラとワル目立ちせず、ぐっと馴染んで見えます。それにブルートーンで揃っているから、付けてみると意外にもシック。カジュアルスタイルに絶妙なこなれ感と奥行きをもたらしてくれます。