洗練されたビジネススタイルを目指すのなら、ある意味、スーツ以上に鞄選びは重要です。仕事道具さえ入ればいいという安易な考えで選ぶのは完全な誤りです。最近は軽量なナイロン製が流行っていますが、あの手はどうしてもカジュアル感が拭えず、大事な商談の席などに向いていません。どこに出ても恥ずかしくない大人の鞄が欲しければ、やはり総革製に限るでしょう。とはいえ、カッチリしたアタッシェは持ち主の印象までスクエアに見せてしまうきらいがあり、またその重たさも日本の過酷な通勤環境に不向き。ベストなのはソフトなレザーを使用したブリーフタイプでしょう。
フランスの「シャンボール セリエ」は、まだ日本での知名度はさほど高くないものの、ハイクオリティな鞄を手掛けることでヨーロッパではすこぶる評価の高い老舗ファクトリーブランド。他ブランドのOEM生産を長年手掛けてきた実力派で、ここでは名前を出すことができませんが、顧客にはフランスを代表する超一流ブランドが連なっています。
ご覧のソフトブリーフはここの新作。一流タンナー製のきめの細かい極上ブラックカーフに、ゴールドの金具が映え、とてもエレガントな佇まいに仕上がっています。手に馴染みの良さそうな細めのレザーハンドル、両サイドのマチまで伸びたダブルジップ、前胴のポケットと、シンプルながらすべてのティテールがとても使いやすそうです。もちろん底にはブリーフを自立させるための鋲を装備。地面にポンと置いてもカーフには傷がつきません。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 吉田 巌 / 有限会社 十万馬力
もともと馬具製造からスタートしたブランドだけに、ハンドルの取り付け部などはとても頑丈な作り。ステッチワークも美しく、アルティザンの技を感じさせます。
マチの大きな鞄は少々野暮ったく見えることもあります。その点こちらは収納力を損なわない程度の絶妙な薄マチ設計。スーツスタイルをスマートに見せてくれます。
ハンドルの留め金具やジッパーなどと同じく、ロゴプレートはゴールド。ブラックカーフとエレガントなマッチングを見せています。ちなみに中に描かれたお城は、ブランドの本拠にあるシャンポール城。世界遺産にも指定されており、あのレオナルド・ダヴィンチによる設計と言われています。
