スーツも段々とカジュアル化してきていますが、ニット素材のスーツやニットジャケットを大人の男性が着ると、ややもするとチープな印象になってしまうこともあります。そこで今回、スタイリスト大西氏にはデキる男の正統派スーツスタイルを提案していただきました。私が真っ先に思い浮かんだのは、そう、佐藤浩一さんです。あのマークXのCMを見るたびに「こんな上司がいたらいいのに」なんてドキドキしている女子たちは相当数いると思います。そんな男性の色気や艶っぽさが漂う今回のコーディネートですが、まさに働く女子たちの心をつかんで離さない、デキる上司のイメージのド真ん中そのものです。で、どこが魅力的かと申しますと、男らしいのに清潔感が漂うところでしょうか。オフィスでも実際、ジャケットを脱いで仕事をすることって多いですよね。一見、クラシカルなスリーピースに見えるこちらは実はインナーにベストを着ているので、ジャケットを脱いでも快適に、かつオシャレに過ごせるというワケなのです。そしてベストを着ているともう一つオトクなことが!ネクタイが胸元で遊ばないので、飲み会などの場面でもタイをうっかり汚してしまう心配もなく、スマートに過ごせます。若い人に囲まれた年末の忘年会やプレゼンという場面でこそ、こうした大人の色気が秘められた着こなしはバツグンの効果を発揮しそうです。「部長、今日も素敵でした」なんてあまり周囲の女子たちを翻弄しすぎないように、ご注意を。う~ん、どう見てもこのスーツスタイルはズル過ぎます!
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
スマートな薄手ダウンが爆発ブレイク中のヘルノですが、こちらはウールのステンカラーコートでベルテッドという珍しいタイプ。ウエストをきゅっと締めることでトレンチコートのように軽やかに羽織ることができ、スーツの上から着ても決してモタつかずスマートに見えます。最近ではライナー付きのコットンコートを着ている方もチラホラ見かけますが、「ぜひ大人にはウールのコートを着ていただきたい」とスタイリストの大西氏。きちんと季節感をおさえるのも大人のマナーですね。
ベストを着ることでタイを外しても、また、ジャケットを脱いでもサマになります。本格的なスリーピースはちょっとやり過ぎて見えるので避けたいところですが、ニットベストなら無理なく柔らかい印象で“スリーピース風”が取り入れられそうです。オフィスでよく、前開きの長袖カーディガンを着ているオジサマがいますが、やっぱり、どこか老けた印象にみえてしまうのが事実。若々しくてエネルギッシュなデキる男をアピールするにはベストを。それもシックな深いトーンを選ぶのがポイントです。
ナポリ仕立てのイザイアのスーツ。グレンチェックの生地にはほんのり赤いラインが混ざっています。このカラーを実は差し色のネクタイで拾うことで、全体が締まって見える効果があります。タイもディンプルが見えるように、もこっと盛り上げるのが、全身がこなれて見える秘訣です。