近ごろではクルマに乗る機会も多くなって、もっぱらショートコート派という人も増えてきたようですが、やはり女子目線から見ると、かっちりとコートに身を包んだ男性にはなぜか目がいってしまうんです。先日も街を歩いていたら、スーツの上から見るからに上質なネイビーのテーラードコートを着ている男性とすれ違ったのですが、そのコートから醸し出される知的で品のあるオーラといったら・・・・今もはっきり印象に残っているくらいです。それだけ素敵なコートがあるとグッと着こなしが印象的なものに変わるんですよね。ハンフリー・ボガードのトレンチ姿のように、やはりコートは男のワイルドな色気を醸してくれるものだと思うのです。しかも今季はジョシの世界でももっぱらベルテッドやチェスターコート、カシミアのダブルフェイスの上質なウールコートがトレンドで、いままでダウンコートしか着なかったという人もこぞって“きちんとコート”にシフトしているんです。そういったところでメンズのトレンドともリンクしているので、やっぱりキチンとしたコートを着て話題のレストランに行くときには、男性もそれにみあった装いをしてもらいたい、というのが女心なのです。
今季は英国調がトレンドなのでスーツもいかにもイタリアオヤジというよりは、シックな英国紳士風のスリーピースを着きこなしたい気分ですが、そんな時にテーラードコートでキメキメではやり過ぎ感も否めません。かといってイタリアで流行っているスーツにダウンジャケットといった合わせもちょっとカジュアル過ぎる
。クラシックなスーツの時にはあえて写真のようにアンコン仕立てのカジュアルなウールのコートを合わせればキチンと感だけでなくこなれた印象が生まれます。ブルゾン風のライナーが付いているので、ぐっとスポーティな着こなしも可能。一見、育ちがよさそうなのに実は色々な着かたができる隠れたディテールが隠されているとは。クラシックな正統派スーツにこそコートでハズシを。オシャレも男性もギャップが大事という事なのですね。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
今年はグリーンがキーカラーのひとつ。グレンチェックのクラシックなスーツにはイタオヤさんのようにネイビーのタイをしたいところですが、日本人の髪や肌色を考えた場合、逆に老け込んで見えてしまうので注意が必要。シックなグリーンのタイなら無理なく若々しさを取り入れられます。
今季はモードブランドでもエキゾチックレザーを使ったトートを打ち出しているほど、去年にもまして押しの強いバッグがトレンドとしてきています。女性目線から見ると「クロコをもっている男性ってバブルを引きずってそう・・・」というネガティブなイメージがあるのですが、これならカジュアルなデザイン、しかも押し出しが強すぎないマットな質感なので好感が持てます!
マットな起毛素材にタータンチェック、グレンチェックとシックな英国調の流れを汲んだスーツは今季の一大トレンドでもあります。それをいかに野暮に見えず、若々しく着るかが命題でして。一歩間違えれば「老けたオジサン」になる、やや危険性を含んだトレンドでもあるんです。だからブランド選びとサイジングはとっても大事なポイント。今回ご紹介する「ロイヤル・ヘム」のようにイタリア風にブリティッシュを解釈したブランドならモードっぽい雰囲気で着られるし、サイジングもモダンなのでサッと一枚羽織るだけで旬のシルエットを手に入れることができます。