季節から季節へのシフトチェンジに成功するかどうかがオシャレを左右する大きなポイント。分かっていてもそれをなかなかうまく出来ないというのが、このあいまいな時期の大きな悩みですよね。春から夏以上に、急激にアイテムが変化する春は、思い切ったように薄着になっても浮いてしまうし、肌寒い日も突然やってくるので心地よく過ごせません。なので、うま~く冬と春アイテムを融合させて、ゆるやかに春モードを取り入れていくのがおすすめです。ポイントは、春のトレンドをどこかひとつだけ取り入れること。普通は無地のグレーパンツをあわせるところ、ここでは英国調のトレンドを取り入れて、細かい千鳥格子のパンツでコーディネートしています。柄モノはスタイリスト大西さんもイチオシの春の一大トレンド。それをいかにも「柄を着ています!」とアピールするのではなく、あくまで無地感覚で、しれっと取り入れているのがなんとも心ニクイ演出です。で、もうひとつのイチオシがインナーに着たハイゲージのタートルニットです。私の周りでも「オヤジくさいんじぁない~?」とタートルニットを敬遠する男性も多いですが、でも意外とジョシ受けがいいんです。
例えば仕事後、「話題のトラットリアに行こう!」なんて時に、ジャケットを脱いでも上品でリッチに見えますし、何より知的に見えるので、その場の立ち居振る舞いもスマートに見えるようで断然、好感度が高いんです。それにこれはスタイリスト大西さんとの共通意見なのですが、シャツ一枚での冬のノータイ姿が貧租に見えてしまう、というのも一理あると思います。夏の日焼けしたヘルシーな肌だったらまだサマになりますが、白い素肌がシャツの胸元から覗いていると、なんだか頼りなさそう。なので、この時期にはキメの細かい上質なハイゲージニットを揃えておくだけで、オフィスでも、アフターファイブでもとっても便利です。今回はダークカラーで全体のトーンをまとめているので、いわゆる千鳥格子を使った“どクラシック”な装いも不思議とモードっぽく、スマートに見えます。これはあくまで個人的な見解ですが、“どクラシック”の何が足りないかといえば「色気」でしょう。これ見よがしではない大人の色気を醸し出すには、上品タートルがひと役買ってくれるのです。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
突然暖かい日がやってきたりと気温が読めないこの時期ですが、厚手のウールコートではいかにも冬をひきずっているようで、暑そうですよね。難しい今の時期にはアクティブなムードで着られるナイロン素材のトレンチコートがおすすめです。こちらのブレマのブルゾンはインナーがダウンになっているので、脱いで手にかけても軽やか。折りたたんでもシワになりにくいので、出張にも連れて行きたい一枚です。
大人リッチなカジュアルに欠かせないニットブランドといえばこちらの「クルチアーニ」。でもともするとタートルネックって「オジサンくさいアイテム」にもなりがちですが、タイトフィッティングのコンパクトな着丈から、若々しく着ることが出来ます。隣のジョシも思わず触れたくなるような上質なウールが醸しだすなめらかな風合いは、ひとたび着れば病み付きになること間違いなし。トラッドを今年らしい味付けで着るにはベーシックアイテムをダークカラーでまとめ、ちょいモードに仕上げるのがポイントです。
ジョシのファッションでも引き続き、トラッドやクラシックな流れが来ていますが、去年の秋冬に比べて、レースやシフォンといったソフトな素材を使ったロマンティックな着こなしがベースとなりそうなんです。お馴染みのトラッドも常に進化しているんですよね。それはメンズの世界でも同じこと。「堅そう」「マジメそう」な印象がつきまとう“トラッド”を前面に主張するのではなく、「よく見たら千鳥格子」「よくよくみればクラシックだよね」とうくらいさりげなく取り入れるくらいが丁度いいんです。スキがないガチガチのクラシックよりも、少し抜け感があったほうが大人の男性をセクシーに見せてくれます。