若かりし頃の我々にとってスーツとは、言わば社会人としての足枷のような存在でした。ゆえにどうしても能動的に着るというよりも、受動的に着せられているという、若干ネガティブな存在でもありましたよね。だからこそその反動からか、社会的な地位も上がり比較的自由な装いが許されるようになった今、結構カジュアルなスタイル(Tシャツにデニムとまではいかないまでも)が、日常的に多くなってきたりしていませんか? で、少々天の邪鬼な感はありますが、そんな常日頃から軽快な服装で出勤をし、冠婚葬祭以外は特にスーツの必要性を感じない皆さま、つまりは“スーツを着なくてもよい”環境に身を置く方々にこそ実践していただきたい、“スーツを能動的に着る”素敵なドレスアップのススメを提案させていただきます。ご覧下さい、この堅苦しさ一切無用なスーツスタイル。ピッチが幅広のチョークストライプ地で、かつ上品かつこなれ感漂うライトグレーのスーツを、こんなにもカジュアルに着こなしてしまっているのです。こちらはさながら、スーツに嫌悪感を抱きカジュアルなスタイルに慣れ親しんだ方にとってのドレスアップスタイル、とでも申しましょうか。ドレスアップとは、心の持ちよう。どカジュアルなスタイルもいいけれど、たまにはこんなスーツスタイルで、いつもよりちょっとだけドレスアップしてみてはいかがでしょう?
写真 : 渡辺修身(FOREST)
スタイリング : 梶谷 早織
ヘアメイク : 吉田葉づき
文 : 寺田慎一(GtN-48)
映える遊び心
インナーに合わせた今季的なざっくり編みのショールカラーニットは、あえてスーツと同じグレーを選ぶことで、全体に落ち着いた印象を与えてくれます。で、ここにちょい派手なストールをもってくることで、巧妙にコーディネートに遊びをプラスしているのです。
脱・ただのイイ人
スーツにウォレットチェーンは、洒脱なイタリアオトコが良く実践しているヤリクチ。で、今回の上品かつ軽快なコーディネートにも、良い塩梅のアクをプラスするという意味で、この手法を拝借。と、全体に何ともこなれた雰囲気に仕上がるというわけなんですね。
バランスを取りましょう
今回、メインとなるスーツ以外は、かなりカジュアルなアイテムを合わせています。で、そんなシックなスーツと、ラフなそれ以外のものとをうま~くブリッジしてくれるのが、美しいラストとスポーティな風合いとを兼ね備えた、かようなブーツ、となるわけなのです。