“スーツとは男の戦闘服である”とか、“スーツに身を包んだ瞬間に男はひとつ上のステージに上る”とか。スーツにまつわる言葉を調べてみると、なんだか堅苦しさや責任感といった重苦しい要素が前面に押し出されたものが異常に多いことに気づかされます。そもそも日本のスーツは、英国はサヴィルロウのスタイルを模倣して作られたものゆえ、どうしても威厳や質実剛健さが前面に押し出されてしまうわけなんですが
。と、そんな重~い話しからの入りで恐縮ですが、今季は、メンズにおいても、久々に色や柄が戻ってくる兆し。結果、今まで以上にお洒落を自由に楽しんじゃいましょうってな気分に思わずなってしまうワケでして。で、せっかくの機会なので、スーツだって重苦しいあれやこれやといったものからいったん離れて、陽気で楽しく着こなしちゃいましょう、というのが今回のご提案です。とはいっても、お手持ちのスーツがお固い面構えだとお話しになりませんので、まずは、ベーシックにして合わせは万能なネイビースーツで、中でも肩やラペルの作りが極力ソフトな物を新調しましょう。合わせが軽快で陽気なのに、こなしの主役たるスーツ自体が堅苦しい作りでは、論外ですからね。で、次に合わせとなるわけなのですが、ここでのポイントは、いつもより、1色ないし2色ほど多めに色を使ってみる、ということ。通常、スーツの着こなしにおいて全身を3色以内でおさえるというのが鉄則とされておりますが、そういうルールも一旦取っ払って、楽しんでしまうくらいの方が今季的で塩梅が良いのです。ただ、あまりにも色数が増えるとガチャガチャとまとまりがなくなってしまいますので、やはり前述したように4~5色くらいにおさえておくのが良いのではないでしょうか? と、このふたつのポイントさえ守っていただけば、スーツを陽気で遊び心たっぷりに着こなすことが可能。景気の動向も上向きそうなこの春、スーツだっていつも以上に色めき立っても良いんじゃない?
写真 : 小林孝至(FOREST)
スタイリング : 梶谷 早織
ヘアメイク : 吉田葉づき
文 : 寺田慎一(GtN-48)
タイを外し、より開放的な雰囲気に仕上げたコーディネートは下記よりご覧頂けます。
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Recommend Style vol.169 Dress Style other cut
“個性の窓”と表現されるVゾーン。スーツを陽気に着る際には、思い切ってここの色数を増やしてみるのが良いのではないでしょうか? とはいえコーデの中に色数が多すぎるのも何なので、チーフは落ち着き感のある物をチョイス。
小物選びもスーツを遊んで着る際には重要なポイント。これがドレス用のソレだと、どうしても堅苦しさが抜けませんので、カジュアルな印象のかようなメッシュベルトなんかがオススメですよ。腕周りで遊んでみるのも手、ですね。
せっかく全身を軽やかに仕上げたのに、小物が重苦しくては、全体のトーンもなんだか重~い印象に引っ張られてしまいます。というわけで、バッグだって、通常スーツに合わせるようなブリーフ等ではなく軽快なクラッチを。