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前田 陽一郎
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前田 陽一郎

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前田 陽一郎

雑誌「LEON」副編集長

ここではレオンを日々作っていて思うこと、もしくは掲載できなかったけど個人的に買ったものや、興味をもったこと、レオンをさらに楽しんでいただくための裏読みの方法(ここが一番読んでもらえそう!)また至極個人的趣味までを、ブログというより、コラムとして書いてみようかな、と。 (ネタには困らないと思うのですが、元来の筆不精、というより無精者なので、どれほど続くかは不明ですが…、お付き合いくださいませ)

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LEON
ファッション専門誌でもクルマ専門誌でも時計専門誌でもありません。いつまでも艶っぽさを失わない「モテるオヤジ」のためのクオリティ・ライフ実用誌です。

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モテる男とは?Vo2
May 20, 2010

南條 今までモテていなかった人が、ファッションを変えたことでがらりとモテるようになることもあるんですか? それも積み重ねの部分が大きいんでしょうか。

前田 そうですね〜『LEON』を指揮する僕の立場としては、ファッションが変わったからいきなりモテるというのが最高なんでしょうけれども、実際女性は馬鹿じゃないですからね、見た目だけどうにかして、ホイホイ女性が寄ってくるわけないでしょう(笑)。ただね、だからこそ、まずは服装から変えてみようって言うポジティブな姿勢が結果、人を作っていくんじゃないかなとは思ってます。あるパーティで知り合った会員制スポーツジムの経営者の方が教えてくださったんですが、そのジムに通われているお客様で最近ボディシェイプに成功された方がいらっしゃるんですって。で、その方曰く「今まではファッション誌なんて自分には関係ないと思ってきたけど、そろそろ『LEON』でも買ってみようかな」と喜ばれていたそうで。もちろん僕にとっては本当に嬉しい話だったんですが、それってすごくポジティブな姿勢じゃないですか? そんなポジティブで素敵な男を見抜けなかったら、それは女性の目が節穴でしょ!(笑)


大谷 確かに歳を重ねても素直な方は魅力的ですよね。ある男性経営者の方が「男でお洒落好きって言うのってなんか馬鹿っぽくて…」って言っていたんですが、それは女性目線から見て「違う!」って思いました。真面目な顔してワインのウンチクを語られるより「安いワインだって美味しければいいじゃない!」「人生一度しかないからファッションも、趣味も楽しみたいよね」なんて素直に言える男性の方がずっと格好いい! それこそ力が抜けた大人なんじゃないかしら。初対面でかわいいカフリンクスやブレスレットなんかしていたら女性が纏うジュエリーの話をしている感覚で、話のきっかけにもなりますしね。

南條 初対面で40代の方とお目にかかった時は緊張するので、会話のきっかけも欲しいですね。どこかにひとつ、可愛いものを身につけたりというお洒落のハズしは、私たちにとって魅力的なスキですね。

大谷 私もさりげない“隙”は印象に残っています。クルマという狭い空間で会話もぎこちない。とある経営者の方ですが、綺麗な色落ちのインポートデニムにさらりと纏った仕立てのいいシャツ。しかも乗っている車はヴィンテージカーとくれば隙なんかないじゃないですか。緊張でがちがちでした(笑)そんなシチュエーションで彼が履き換えたのはなんとビーチサンダル!「こっちのほうが運転しやすいから」って。「なんですか、それ~(笑)」なんて言いながら、一気に場の空気が和んだのを覚えています。

前田 つまりお洒落はマイナスではないんですよね。昔から海外の要人は必ず専任のスタイリストがいて、もしくは行きつけのテーラーがいて、自分の外見からのイメージを作り上げてるんですよね。一方、日本は高度成長期に「ドブネズミ色のスーツを着てやってくる民族」と揶揄されてきた。つまり仕事ができる人ほど外見には気をつけるべきだと僕は思うんですけどね。B.R.SHOPの顧客の方々や『LEON』読者の皆さんにも経営者や社会的地位の高い方がたくさんいらっしゃいますけど、皆さんその優位性に重きを置いている人たちだと思います。

大谷 ズバリ、南条さんの好きな年上男性とはどういう方ですか?
南條 軸がある人は好きですね~。仕事と土日、家で寝ているだけの生活ではなく、ゴルフでも、バンドでも、釣りでも…頑張ることがある方は格好いいなあ、って。

前田 結局は人間の幅なのかも。

南條 そうですね。いろいろ見てきた方、遊びも満喫している方は引きだしが多いですからね。

大和 話をまた変えちゃうけど、やっぱりいきなり好きになるよりも、話をしたフィーリングで好きになることが多い?

南條 見るからにモテそうな方、ギラついた方はちょと怖いかも。結局はお父さんぽいところも求めているのかもしれないですね、私は。頼りたい、というか(笑)。そこにデーンと余裕をもって構えていてくれたら嬉しいですね。

前田 子供の頃ってスポーツができて、格好いい男子がやっぱりモテるでしょ? だけど女性はずっと利口で、いつまでも外見だけにとらわれていないですよね。男性を見る目が、より一層その男性の能力に向いてくる。顔がよくてスポーツができたって、仕事ができなきゃ生きていけませんから。だから勘違いして「外見はどうでもいいんだよ」という男性が出てくる。で、ここが重要なんですけど、じゃあダサイ服を着てメタボなボディでふんぞり返っていていいか、というとそうじゃない。やっぱりそこも女性の方が利口で、そんな男性には今度は可能性を感じられなくなってきちゃうんだと思うんです。もちろん時代性もありますが、少なくとも現代は外面的バランスが内面的バランスを測るバロメーターになっていることは間違いないかな、と。

南條 なるほど、深いですね〜。確かに外見を気にするのも中身のひとつだと私も思います!

前田 “モテる”には二種類あって、セックスという即物的な意味での“モテる”。まあ、正直それも大事というか、いいんですけど(笑)、もう一方の“モテる”は女性にとって “記憶に残る人”もひとつの“モテる”なんじゃないかな、と考えてます。即物的ではないために、すごくわかりづらくて、自覚しづらいんですけど、『LEON』で言う“モテる”っていうのは後者の意味合いもとても重要視してるんです。記憶に残る=好きになる可能性がある男性、という気がするんですが、そのあたりはどうなんでしょうか?

南條 私にとって、「記憶に残るイコール「もう一回会いたいと思う男性」ですね。地位のある偉い人に会いたいと思う場合、ともすると下心もあるかもしれない。でもそんな肩書きをとっぱらって人間として惹かれる…それが記憶に残る男性なんじゃないかなって思います。

前田 それはいい言葉ですよね。いただきました(笑)。って結論になっているのかな? 僕はどうなんですか?

南條 え? お時間空く日、ありますか? ぜひゆっくりお話ししたいです!

モテる男とは?Vo1
Apr 25, 2010

「いま20代女性はなぜ40代男性に惹かれるのか」というタイトルの本が話題となり、今や空前のモテる“オヤジ”ブームが到来。そこで一体、モテる男ってどういう人なのか、本当に40代は魅力的なのか、そして前田さん本人は? 20代女性をゲストに呼んでズバリ!聞いてみました。

ゲスト
南條千尋(25)
雑誌でのモデル経験を経て、昨年ランジェリーの会社「Honey Hearts」を設立。デザイナーを務める。趣味は華道・乗馬・書道・海釣りと多彩。

<Vol1>
南條 ブログで拝見しました。「あっ、この人モテそう、遊んでそう」という印象だったのですが、「モテる」をテーマに雑誌を作られている編集の方はそれを日ごろから実践されているのでしょうか。

前田 20代よりも30代、30代よりも今、というふうにどんどん忙しくなってますからね。正直、モテるもモテないも、それを確認してる暇がないんですよ(笑)。ただまあ、一般的にモテる人は時間の使い方が上手で、マメで、ルックスがよくて、トークの上手な人、とか言われるけれど、おそらく自分はそのどれでもない気がします。自分にとっての武器ってなに?って聞かれてもあまり思い浮かばなかったりして。だから、モテる男ってどういうことなのか逆に女性に聞きたいですね。

大谷 いま空前の大人モテブームですよね。ラジオやテレビで「いま20代女性はなぜ40代男性に惹かれるのか」という本も話題になりましたし。

南條 それはわかる気がします。私も40代の魅力的な方と接する機会が多いいですから。

前田 男性がいつまでも若々しく、歳をとらなくなっていくのと同時に、女性もスマートになってますよね。20代の女性が40代の男性を好きになれる精神性があるからだと僕は解釈してます。

南條 私の周りの40代の方は諦めていない方が多いですね。だからこそ色気を感じるし、自分がその人に背伸びして合わせているわけでもなく、無理やり合わせてくれているのでもなくて、普通に恋する相手として見ることが出来ます。同年代がダメとかではなくって、あえて上を探しているわけでもないんですけど、パッと出会った時に感じる色気を40代の方々は持っているように思いますね。若い人よりも惹かれる部分が多いというか。

前田 色気があるかどうかは、自分じゃ自覚できないものだからともかくとして、経験則に関しては圧倒的に若い男性よりありますからね、オトナは。しかもそれなりに頑張ってきていれば社会的地位や自分の生き方みたいなものにも自信が出てくるのが30代後半から40代前半ですからね。ただ自分の限界もいい意味でわかってくるから、無理して自分を大きく見せたり、背伸びをしなくなるのも僕たちの年齢くらいからなんじゃないかなあ、と最近は思ってます。

南條 まさにその通りで、肩肘張っている、無理して自分を大きく見せている若い人よりも「僕はこれだけだけれど、これでもいいなら」っていうスタンスの男性は素敵ですね。

前田 ただ女性に与えてあげられるものは少なからずある。お金とかじゃなく、精神的なアドバイスや、愛情も含めてってことですよね。

南條 だから女性にとって、あまり年齢は関係ないような気もします。少なくとも私や私の周りでは「この年齢だから、こう」みたいな線引きはなくなってきいるように思えますね。どちらにせよ、私の周りの40代を見ていても自分が10代の頃に40代男性に感じていた所謂“オジサン”では決してないですね。それは私が成長したからではなく、ひと昔前と比べて40代、50代の方が変わってきているんじゃないかなって思います。

前田 それは世の40代、50代にとって救いになります。

南條 中身プラス、外見のお洒落も伴っていたら無敵ですよね。


大和 じゃあ、女性から見たモテるお洒落ってなんでしょうね?

南條 私の私見ですけど、自分の好きなテイストのものはきちんと確立していて、プラス流行のワンアイテムを取り入れたり、シンプルでもバランスのとり方が上手だったり、そういうファッションには好感が持てます。なかにはギラついた人もいますけど、やっぱり自分なりに消化してナチュラルに着こなしている方は素敵だなって思います。

前田 どちらにしても頑張りすぎはよくないですよね。それは「LEON」の誌面でも謳っています。むしろハズしとか、ヌキとかがないと。僕なんかは歳ををとるごとにどんどんシンプルになってますから。

大和 実は過剰にお洒落な人はモテない気がするんですけど、どうなんでしょう。

大谷 女性でもそうですよね。私の友人でものすごいお洒落さんがいるんですが、モテないのが悩み。過剰にモード過ぎて異性は近寄りがたいのかなって。飲むといつもそんな話になります(笑)

前田 じゃあ「清潔感だけあればいい」というと、そうでもないんですよね。そう言いながら大抵の場合は結局、何もしない、諦めと同じことになる。だからこそ着こなしも常にアップデートしていかなきゃいけないんだと僕は思いますね。

次回、Vol2では前田氏が考える『LEON』的モテるファッション論とともに、20代女性が思わず惹かれる40代の魅力についてさらに深く、具体的に掘り下げてお届けします。

インタビュー!Vol.02「アップデイト」
Apr 01, 2010

大谷/ 前回、読者の方々とともに前田さんご自身もレオンを手掛けるようになってから、日々アップデイトされているとおっしゃっていましたが、実際どんな風に変わられていったんでしょうか?

前田/ まず精神的な部分で言うと、以前より年齢を重ねることについての恐怖感というか、焦りみたいなものは本当になくなりましたね。やっぱり身近にいつも見ているジローラモさんやビジネスで接するイタリアのオトコたちって、年齢に関係なく格好いいんです。自分が彼らの年齢になったときにはああいうふうになっていたいな、という目標ができましたから。

大谷/ ファッションではなにかありますか?

前田/ 20代の頃はストリート誌をやっていましたから今の自分のファッション自体、当時に比べたらちゃんと大人になってます(笑)。去年と比べたら、そうだなあ、こうして腕にいろんなものは巻いてなかったですねえ。もう少し今より正当な感じだったかも。それがPT01インコテックスレッドが出てきて、昨春にはボリオリマージャーズのような“楽ジャケ”が出てきて、さらに去年の秋あたりからは細身の軍パンやカゴスラ(カーゴタイプのスラックス)が出てきた。どんどん気分がラフでタフで、かつエレガントな方向にシフトしてきてるでしょ。それらの延長線上というか、それらとのバランスを考えると、腕周りにもラフさやタフさがほしくなって。結果、なんだかいろんなものをグチャグチャに巻きたくなってきた、と、そんな感じです。

大谷/ スーツについてもレオンの最新号(3月24日発売5月号)では相当ラフなスタイルを提案されてますよね。それもやっぱりそれらの流れから発想されたものですか?

前田/ 僕は男性、特に大人の男性のファッションには突発的な流行はないと思ってます。必ず必然や予兆がある。そもそも大人は子供と違って、イチイチ流行を追いかけるのに一生懸命になっているような時間なんてないですから。パンツとジャケットがカジュアルになってくるとその楽チンさにみんな気づいちゃう。と、必然的に今度はスーツももっと楽したくなるはずだし、楽しんでみたくなるのが人の常かな、と考えるのが自然でしょ?

大谷/ 少し話しはそれますが、女性の立場からすると男性へのプレゼントって結構迷うんですね。いつも身につけるものをプレゼントしたいけど、スーツではなかなか遊べる隙がないような気がして。結局はネクタイやチーフと、無難なところを考えてしまいます。

前田/ そうなんですよね。スーツを着ていても結局、Vゾーンでしか遊べない、靴でしか遊べないなんてすごくつまらないじゃないですか。僕自身、クラシックなスーツであればあるほど、周りで何とか遊びたいなって思いますし。まあ、究極をいえばスーツ自体が遊べていればなお、いいんですけどね。これは会社やその人が所属している社会によってもできるできないがありますけど。ちなみに今日着ているジャケットは大和くんのところでオーダーしたんですけど、実はこれスーツなんですよ。

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大谷/ え、そうだったんですか?

前田/ ジャケットとパンツでセパレートしたとき、如何に格好よく着られるか考えた結論がこのメタルボタンであり、パッチポケットだったんです。シルエットも相当考えましたね。

大谷/ 時計もかなりインパクト、ありますよね。

前田/ これはイタリアの「GaGa」というブランドのものです。こんなオバカさんな時計に、ぐるぐる紐を巻いてしまう。例えばこれは僕らの職業だからできる部分はあると思うんですが、せめて一箇所、自分の腕に巻いてみる、二針のカッチリした時計ではないお遊び時計を入れてもスーツ&パンツがきちんとしていれば、周りの小物でこんなにも遊ぶこともできるんじゃないかなあ、と。

大谷/ そうなんですね!「GaGa」は聞いたことがあります。ミラノのドゥオモの近くにオンリーショップまであるそうですよね。時計もアクセサリーも、いかにもラグジュアリーブランドではないところが余計に目を引きます。

前田/ 腕元にポイントが入るだけで、ぐっと着こなしって変わるはずです。思い入れがある物はずっとつけていられますし、その方が格好よかったりもしますし。

大谷/ 私の知り合いのかたでもお守りのように、スーツの下にそっとネックレスをつけている方がいます。たしかに、アクセサリーなら増やしていくこともできますし。スーツに合うようなアクセサリーを男性にプレゼントするのもいいですね!

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▲前田氏の手元にぐるぐると無造作にまかれたブレスレットの数々。いちばん左はB.R.SHOPで購入できる「Oviri」(オヴィリ)。中央のネイビーのものは、ヘアゴムにエルメスの馬蹄型チャームをつけた前田氏のオリジナル。「僕が『LEON』に入ったばかりのころに当時、編集長だった岸田さんに『面白いね、それ』と、褒めてほめてもらったものの一つなんです。それ以来ずっと付けてますね。なくさない限り一生付けてるんじゃないかなあ」(前田氏)


インタビュー!Vol.01「前田氏の考えるLEON」
Mar 08, 2010


必要なのは、お金じゃなくてセンスです。


このあまりにも有名となったキャッチコピーとともに“大人のクオリティライフ実用誌”を掲げるのが皆さんご存知の『LEON』です。前田陽一郎氏はそんな『LEON』の編集長代理。こちらのWEBでも幾度かご登場されていますが、なによりお忙しいようで…。とはいえ当の大和を含め、B.R.SHOPの顧客の方からも「前田さんの声が聞きたい」という要望が続々。ならば、というわけで今回から前田氏との雑談(?)やインタビューを通して、ご本人自身のことについてはもちろん、仕事のこと、ファッションのことなどなど、探らせていただこうとなりました。

ブログリニューアル第一回目のテーマは「前田氏の考えるLEON」とは。夜な夜な洒落者たちが集まるという都内某所にある隠れ家バーで一体どんなウラ話が聞けるのか・・・。男性誌で執筆活動を行っているフリーライター・大谷繭子がお送りします。



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大谷/ 今日はよろしくお願いします。今回はリニューアル第一回目、これから前田さんの仕事に対するポリシーやファッション、ライフスタイルについて色々と伺っていきたいと思います。

前田/ いやあ、そんな大げさな(笑)。僕はあくまでも裏方なんで、面白がってもらえるかどうか、不安だけど…。そういえば大谷さんともちゃんとお話をするのははじめてだもんね。しかも4年ぶり(笑)。

大谷/ 前田さんとお会いするの、そんなに久しぶりでしたっけ? 前田さんがちょうどレオン編集部に移られる頃だったような…。その頃はレザージャケットにデニムで、バイクに乗ってるって印象でした。

前田/ 今も根っこの部分は変わんないですよ。相変わらずバイクもクルマも大好きだし。ただ自分の立場や提案しているスタイル、それから、う~ん読者の皆さんが『LEON』に抱かれるイメージを含めて、僕もいろいろとオトナになろう、と。ま、要はいつまでも自分や周囲が勝手に作り上げた自分の殻みたいなものに留まっているんじゃなくて、もっとアップデイトしていかないとダメだな、と思うようになってきてます。

大谷/ やはり読者の方々もそういう気持ちの方が多いんでしょうね。

前田/ そういう自分に対してポジティブなマインドを持っている読者の方々に『LEON』は支えられているって思ってます。事実、なんていうのかな、自分を変えようとか、まだまだ自分は行ける、とか前向きに考えている人って歳をとらないし格好いいんですよ、実際。それが『LEON』が言うところの“オヤジ”なんですね。間違っても“オッサン”ではない(笑)。読者の皆さんには僕よりずっと年齢的に先輩の方もいらっしゃるからなんだけど、今年自分が41歳を迎えるにあたって“兄貴”くらいの意識はあるけども“オッサン”だとは思ったことがないんですよ。思いたくもないんだけど(笑)。だからきっと『LEON』を読んでくれている読者は自分たちを“オッサン”だなんて思っていないし、実は“オヤジ”とも思っていなくて、どこかでいつも“いい兄貴”でいたい、っていうくらいの気持ちなんじゃないですかね。キャッチーでお茶目なニュアンスを持たせたくて“オヤジ”という表現を使い続けているけど、どちらにせよ、そんな人が格好悪かったらやっぱりまずいでしょ。格好よくいるというのは中身、つまり仕事ができて人間性にも魅力がある、ということは前提であって、以前にも大和くんと対談させてもらった時に言ったように、ファッションは一番簡単な自己プレゼンテーションツールだから、これに気を使っていくことが実はとっても大事なんですよね。ファッションに気を使うってことは日々アップデイトできるということだし、それはさっきも言ったけどポジティブなマインドを持っているということと同じ意味だと思うから。だから「モテるオヤジはオタクじゃなくてオシャレ」じゃなきゃいかん、と。

大谷/ なるほど。「格好いい兄貴でありたいですよね」という読者への同意を促しながら、同時に巻きこんでいくわけですね。前田さんは様々な男性誌に関わってきたわけですが、客観的に『LEON』を見て、その印象ってどうだったんですか。

前田/ 創刊当初はあの「ちょい不良」というキャッチコピーはまだなかったんですよ。でも創刊準備号から「なにもなくても生きていける。あったらもっと楽しく生きていける」というコピーが使われていて。その頃から目指している男性像がすごくクリアだったんだと思う。僕が当時印象深かったのは『モテるオヤジの作り方』という号で、いちエディターとして「この雑誌はすごい」って思ったのを覚えています。なぜ凄いと思ったかというと、当時は女子高生、男子高生ブームで、「オヤジ狩り」という言葉が新聞の見出しに載るような時代だったんです。オヤジという言葉は、社会に飼いならされて、牙をもがれた弱者のようなイメージで、とにかくダメな男性の象徴的言葉だったわけですよ。もちろんマイナスのイメージでしかなかったわけで、そんな「オヤジ」を「モテる」なんて言葉とくっつけて打ち出したというところがとにかくもう、ぶっ飛んじゃってた(笑)。

大谷/ オヤジ狩り、久々に聞きました! いまも私の周りの40代半ばの男性たちは渋谷に行くのに抵抗があるといいます。いまでもオヤジ狩りにあいそうだからって(笑)。『LEON』が世のオジサマたちの希望となったわけですね。ところで前田さんにとって年齢を重ねることに対しての思いって何かありますか?

前田/ 男は歳をとったら紳士にならなきゃいけなくて、可愛い女性がいても、そんなものに振り向いちゃいけなくて(笑)。それがなんとなく日本の旧来の“正しいオトナ像”だったんじゃないかなあ。もちろん紳士であることは理想だし、それ自体は絶対に間違ってはいないんだけど、日本人の言う紳士って、どこかで儒教の精神論かなにかとごちゃまぜになって精錬君子じゃなきゃならん、と勘違いされてきたんじゃないかな。そんなの無理だって(笑)。むしろ紳士って、本来は経験に裏打ちされたきちんとした佇まいができて、自分の規律とかあり方みたいなものがちゃんとあって、そういう人を指す言葉だと僕は思ってます。もちろん女性を尊敬していること!もね(笑)。若い男子でいるじゃない?なんか彼女の前でふんぞり返っているヤツ。あれはオトナがやっちゃいけない。そんなのが通じるのは女性がやさしい日本だけだもの。

大谷/ 女性としては本当に共感できます。あれ? なんだか前田さんの言う『LEON』像にもう感化されちゃってるような気が…。

前田/ ま、とにかく年齢を重ねた先にある男性のあり方への固定概念を完璧に打ち砕いてくれたことは『LEON』の功績だと今も思ってます。少なくとも男性が歳をとることに対して、ものすごく肯定的な何かをもたらしたな、そういう風に思ってましたね。そしてひょんなことからこの雑誌に参加することになって、今に至るわけですが、結果自分自身も歳をとることへの恐怖感から完全に解放されましたね。むしろどこまで自分が男でいられるか、という事のほうへ興味が向いてきてます。

大谷/ 私から見た以前の前田さんは、どこか少年っぽかったり、ちょっとやんちゃだったり。そんなイメージでしたが、今はそこにどこが陰が加わったような…久しぶりに再会したのに、すみません(笑)

前田/ いや、それ、マジで褒め過ぎです。相当、照れます(笑)

大谷/ 最近、お洒落な男性が増えていることは確かですよね。でもなかには雑誌から飛び出てきたトレンドを丸ごと取り入れているような方もいて。それは女目線からみて、残念ながらイタいです(笑)

前田/ それは手厳しい(笑)。でも、それも経験じゃないですかね。いいんですよ、最初はがむしゃらで。だってある程度社会での自分の立ち位置ができあがっている男性が、自分を変えようとすることって、とってもパワーが必要なんですよ、女性が思っている以上に!僕はそんな男性を全肯定しますね。で、いい歳して洋服を一生懸命買って、何度か失敗して、その先に「○○さん、素敵ですね」とか「なんだか最近、お若いですね」とか言われれば最高じゃないですか。

大谷/ あ、もちろん、そういう意味ですよ! ただ若い子みたいにトレンドに振り回されるのってどうなんだろう、という意味です。

前田/ 確かにね(笑)。だから『LEON』では「今年のトレンドはこうです、ああです」なんていう、いわゆるファッション誌然としたキャッチコピーは使っていません。そもそもトレンドなんて所詮誰かがビジネスのために作っているものでしょ。そんなの、大人の男ならわかりますよ、絶対。だから僕らは「どうやらトレンドはこうなのですが、我々オヤジとしてはココをいただきましょう」という書き方をしているつもりです。素直に言えばトレンドはわかっているに超したことはないけど、その中で自分がいいなと思うものを抽出していけばいいんじゃないですか、というのが『LEON』のスタンスです。

大谷/ ここでもまた、読者に対して同意を求めながら前に進めるということですね。

前田/ だって僕たちがコミュニケートしたいのは大人の男性ですからね。もちろん読者に対して人生訓を述べるつもりも当然なくて。よくあるじゃないですか、生き方を押しつけがましく読者に教えてやろうなんていう雑誌(笑)。そんなスタンスは絶対間違っていると思ってます。30歳を超えた男って馬鹿じゃないし、簡単に自分の人生は変えられないものですよ。けれどそこで留まってしまったら、それはやっぱりオッサンへの第一歩なんですね。日々、自分をアップデイトさせていきながら、自分の芯の部分や社会と折り合いをつけながら成長していくのが格好いいと思うし、それこそが『LEON』で言うところの「モテるオヤジ」なんじゃないかな。そういう風なことを考えながら『LEON』を作っていると、案外に深いというか…(笑)

大谷/ 女性のファッションだと、今季のトレンドを丸ごと取り入れるほうがお洒落、なんてことになりますが、その点男性の場合はアプローチがまったく違うんですね。女性にはあまりない考えで新鮮です!

前田/ 自分に立ちかえってみるとわかりやすいんだけど、大人の男性っていうのは制約が沢山ある。目の前の仕事、家庭、立場、いろんな制約の中で生きているから、そう簡単に自分を変えることができないんですよ。そのなかで何か変えていきたいという人たちを読者に持っているとすれば、僕たちはそういう読者にきちんと責任を持たなきゃいけないと思うんです。例えば『LEON』を見て白いスラックスを買ってくれた人たちに、今年はもうダサイから履かない方がいいですよ、なんて言えないですよ。ただ、さっきも言ったようにトレンドというものがあるから、それはうまく取り入れていきたい。そうすると、僕らの言い方としては「去年の白スラはこうでしたが、今年格好よく白スラを着こなすなら、こんなアイテムを買い足すといいんじゃないでしょうか」となるわけです。だって自分だってそうですからね。クローゼットの中を全部トレンドに合わせて買い替えるなんてできるわけないでしょ。

大谷/ 確かに本当の意味でのリアリティってそういうところにありますよね。

前田/ 常に自分の等身大の目線で読者の皆さんと対話していたいですね。自分も読者も徐々に変化していくなかで、毎年違うトレンドのなかに身を置いて、10年後には「いやあ、おかげでオッサンにならずに済んでますね」なんて、そういう雑誌になっていけたらいいなと思ってます。

大谷/ 編集者と読者が一緒にアップデイトして、一緒に誌面を作っていく。だからこそ親近感が沸くし、面白いんですね。今日は勉強になりました!ありがとうございました。




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大谷プロフィール
フリーライター。大学卒業後、大手百貨店勤務を経てライターに。男性誌『BRIO』での記者経験を経て、現在では女性誌『HERS』で主にファッション、旅、グルメを担当。週4日は夜の街へ繰り出し、食べ歩きリスト更新に励む。趣味はゴルフとテニス。


パンツが変わればお洒落が変わる〜1
Jan 20, 2009

突然ですが、みなさんは今日一日のコーディネートを考えるに、何から考えますか?
ボクはここ3年ほど、ず~っとパンツからです。
あ、パンツって、下着じゃないです、はい。
パンタローニから、なんですね。
以前は、う~ん、シャツをはじめとしたミドルインナーからだったかな?
とにかくここんところはパンツです、パンツ。

手前味噌ながら、レオン本誌でも半年ほど前から「パンツが変わればお洒落が変わる」をキャッチコピーに、特集とまではいきませんが、ことあるごとにパンツの重要性を誌面でご紹介しております。

で、レオン誌面では言い切れていない、そのキモについて少々。

そもそも、我々男性はスカートがはけない以上、女性に比べて圧倒的にボトムスの選択肢が少ない。というか、ほぼ長ズボンという名のパンツしか、ない。
ハーフショーツを含めるとちょっとは選択肢が広がるようにも思えますが、トップスとの組み合わせやT.P.O.まで視野に入れると、まずパンツだけと言ってもいいでしょう。
にもかかわらず、我々はあまりにパンツに対して無頓着じゃないだろうか、というのがボクの持論。

でも…というご反論の前にもう少々。

だから男性ファッションの流行というものは主にトップスのアイテム変更によって印象を変えてきた、というのは大きく間違いじゃないと思う。
でも、これだけファッション情報が氾濫し、あらゆるテイストが街にあふれる今、よほど変チクリンなものか、逆に相当ダサイものでも着てない限り、差別化はできませんし、ましてや圧倒的にお洒落だなと見せるのはなかなかにして容易じゃないはずです、実際。

でも…というご反論の前にさらに。

まずご自身のパンツの長さを振り返ってください。
スラックスはきっとワンクッションからハーフクッションじゃないですか?
多少お洒落に気を遣われている方で、裾幅に応じてシングル上げか、ダブルで上げているか…。デニムに関しても同様でしょうか? アメリカンスタイルだとあえてズルズルだったりもしますよね…。

だからみんな同じに見えちゃうんじゃないでしょうか?

またまた手前味噌ながら、ボクはどのシーズンも30本近いパンツを穿き回しますが、どれも長さ、裾上げの方法、裾幅に至るまですべて素材や柄に応じて変える(=お直しも含めて)ようにしています。もっといえば、その年のトレンドや気分に応じて直せるものは直して、パンツのアップデイトを図ってます。

で、一番足が長くきれいに見えるシルエットや、ボクなりのお直しの基準、パンツと靴との関係性、パンツで印象はどれほど変わるか、などに関しては次回。

ちなみに去年夏あたりから今のマイブームは裾幅18cmでノークッション、が基本。
あ、これはレオンでもご紹介しているサイジングです。
ちなみに写真のパンツはG.T.Aのもので一番最近買ったパンツです。
でも、購入したその場で全部割いて、ほぼ作り直してます(笑)。


例えば黒のタートルというなんの変化もないアイテムに合わせても、ブラックウォッチがポイントになって、平坦な着こなしには見えないと思います。ちなみに、ドレスシューズを履くとノークッションの丈なんですが、このようにトレッキングスタイルのシューズだとジャストな長さだと思います。▼

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こちらはジャケットを着用してドレッシーなブーツの着こなしの場合。会社によっては仕事も可能なスタイルだと思いますが、全体にシャープな印象だと思いません? 本来ブラックウォッチはどちらかというとトラッドな柄だと思うんですが、裾幅が細く、丈が短いことで、シャープに見えると思うのですが、いかがですか?▼
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どうも、はじめまして
Jul 23, 2008

どうも、はじめまして(っていっても、インタビューされちゃってましたね)レオンの前田です。
そうそう、つい先日、編集長代理に昇格(?)しました。

なんだか関係各所からお花やらいろいろいただいて、自分の立場というものを再認識させられている今日この頃です。

さて、僕はそもそも、日記なんてものを生まれてこの方つけたことがありません。
チビの頃は夏休みの絵日記をまるまるひと月分まとめて書いちゃうくらいでしたし。
文章を書くという行為自体、さして好きでもなかったんですね、以前は。
で、なにゆえブログを?
って、う~ん、なぜでしょう…。

実は僕個人として言いたいこと、伝えたいことというのはおおよそレオンに集約されてしまっているんです。
例えば先日行ってきたピッティの話。

大和さんからは「ピッティのレポートなんか面白いじゃないですか」なんて言われていたんですが、これも7月24日発売のレオン9月号で十分アウトプットしちゃってます…。

ま、レオンという雑誌が自分のすべてでないことは確かなのですが、それくらい楽しんでいるつもりでは、あります。
特にここ数号に関しては、自分が全体を見なければいけない立場にいるということもふまえ、編集部員たちには「読者の皆さんにページを割いて伝える以上、絶対に“自分は買わないけどね”なんて裏で舌を出すようなマネはしないように」と口すっぱく伝えています。
で、自分が身銭を切って買うなり、本気で取り上げたいと思っている商品に関してはその金額の大小によらず、コーディネートの仕方や季節を越えた応用の仕方、ケアの仕方にも一生懸命になるじゃないですか。そうしたらそこで気づいたことを誰かにきっと伝えたくなると思うんです。その集合体がレオンであってほしいなあ、と思っているわけで。

なので、ここではレオンを日々作っていて思うこと、もしくは掲載できなかったけど個人的に買ったものや、興味をもったこと、レオンをさらに楽しんでいただくための裏読みの方法(ここが一番読んでもらえそう!)また至極個人的趣味までを、ブログというより、コラムとして書いてみようかな、と。
(ネタには困らないと思うのですが、元来の筆不精、というより無精者なので、どれほど続くかは不明ですが…、お付き合いくださいませ)

さて、これが最新号の表紙です。

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これには僕(レオン)なりのメッセージがありまして。
このコーディネート、ポイントになるアイテムはベルト、サングラス、時計、ショルダーバッグのルイ・ヴィトンですね。でも実はシャツはフライ、パンツはインコテックスなんです(ともにB.R.SHOPさんからお借りしました)。
つまりここで暗に言いたいのは、ファッションに好き嫌いはあっても、メゾンとクラシコ(もしくはトラディショナル)はまったくもって融合できるんじゃないか、ということ。ひいてはそれがファッションの楽しさじゃないかなあ、ということです。

事実表紙を飾るジローラモさんもこのコーディネートをすごく気に入ってくれていて、それはホント、編集者冥利につきることだったりもするわけです。

ということで、表紙ひとつとってもそこには我々なりのメッセージなんてものがありますので、また、ゆっくり、改めて。

で、これがその最新号を作っていて、ミイラ取りがミイラになって買ったアイテムの一部です。長くなってきたので詳細はレオンを読んでいただくか、後日こちらにて。

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ただのオールスターじゃん!というなかれ

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ただのレイバンじゃん!というなかれ。
これら、結構、使えますから!

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