やっぱりキーになるのは人。ナビゲーターという役割を通じて「人のエネルギーを多くの人と共有する」ことの意味を感じています。

大和　さっきもいったように外せないテーマが僕の場合"人"なので、ファッションに興味を持ったのもそこなんです。着るものについてまったく事を考えない人はいないと思うんです。

アンディ　そうね。確かにそうかもしてない。

大和　野暮ったくてオジサンぽく見える人も、意図的にそうしている人の方が多いと思います。そういう事に気をつかっていない自分に見られたくてそうしている人も多いですね。

アンディ　おっしゃる通りですね。面白い！

大和　ファッションも、実は自己表現の自己表現の一つ。僕らは、洋服を通して、その人の"伝えたい何か"をお手伝いしてるように感じる時があります。アンディさんが、ナビゲーターというお仕事を通して、感じていらっしゃる意義のようなものってなんですか？

アンディ　僕としても、今の番組達も大きな見えない流れのようなものの中で、大切な意味があってやっているんでしょうが、まだ正直なところ答えは見えていません。「いつまでやるのか」「なぜやっているのか」正直分からない。けれども、好きでやっているという次元ではなく、何か意味があってやっているんだろうなという感覚はあります。逆に、大和さんがなぜいま、『B.R.SHOP』でファッションをやっているかというのは分かります？

大和　分かる部分と分からない部分があって、服は僕がやりたかった大切な事の一つであることは間違いないのですが、もしかしたらその他のことを実現するためのプロセスと感じるときもあります。がむしゃらにやっていく中でアンディさんと同じように人に興味があったので洋服屋なのにサイトで対談コーナーを作って対談してみたり。

アンディ　大和さんにとって洋服は一つのプロセス、乗り物なんですね。僕がいま明確に感じている意味のようなものは、ナビゲーターという役割を通じて「人のエネルギーを多くの人と共有する」ということ。『エル・ムンド』に出演して頂いた人で言うと、アラブの春を巻き起こした女性ジャーナリストの、時代を変えて行こうとする意志だとか、大手外資系証券会社のバリバリの証券マンで、大稼ぎしておきながら「これ、違うんじゃないかな」と気づいて、仕事を辞め10年間世界を放浪した人の、生きてゆく上での価値観の変化とか。そんな、世界と向き合う事でしか獲得できない人生観の様なものを、少しでも多くの人と分かち合うことできることが、大切な事のように感じています。ある意味チャイルディッシュな冒険の心をいつまでも持っていられる人達って、羨ましい。

大和　面白いですね。僕らも色々な人の話を聞きながら、生きてゆく上でのヒントを得ているかもしれないですね。

＜NHK BS1『地球テレビ エル・ムンド』収録風景＞
スタッフと進行の確認をするアンドレア・ポンピリオ氏。『地球テレビ　エル・ムンド』の収録は月曜から木曜の毎日、NHKスタジオで行われている。現場はスタッフ同士が生き生きとして笑顔が絶えない。タフなスケジュールを笑顔でこなすアンディの人懐こい人柄が現場の雰囲気からもうかがえる。