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ACROSS THE BORDER Vol.2【前編】
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スペースコンポーザー
谷川じゅんじ
>Vol. 002(後編)

スペースコンポーザー
谷川じゅんじ
>Vol. 002(前編)

マネックスグループ株式会社代表取締役社長CEO 松本 大
>Vol. 001(後編)

マネックスグループ株式会社代表取締役社長CEO 松本 大
>Vol. 001(前編)

NHK BS1『地球テレビ エル・ムンド』等の上質な情報番組のナビゲーターとして良質な視聴者層に広く知られているアンドレア・ポンピリオ(アンディ)さん。そのアンディさんと様々なフィールドで、既存の価値観に捕われることなく活躍する人々とのトークを展開する『ACROSS THE BORDER』。第2回目のゲストは、「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマにイベント、エキシビジョン、インスタレーション、商空間開発などの、デザインと機能の両面からディレクションを行う、スペースコンポーザー谷川じゅんじさん。目黒川にほど近いマンションの一室の谷川さんのオフィスを訪ねると、取材スタッフ全員から「わぁ」と感嘆の声が漏れた。古い雑居ビルのエレベーターを上がり、扉を開けるとヴィンテージ家具に装丁の美しい洋書にインテリア模型、緑を感じさせる植栽が置かれ、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような濃密な空間が広がっている。「色々なものがごちゃっと存在するこのカオスな感じが東京っぽいでしょう?」とオフィスの奥から顔をのぞかせた谷川氏はひと目みた瞬間から魅惑的な雰囲気を放っていた。超売れっ子の谷川さんのクライアントは多岐に渡り、政府官庁から一般企業、クルマメーカーからシャンパンで名の知れたクリュッグのボトルクーラーのデザイン、はては重要文化財・薬師寺の空間イベントまで手掛けているから驚きだ。アンディと谷川さん、それぞれのフィールドで、コミュニケーションに対するこだわりを持つ二人の、自由なトークセッションをお楽しみください。

スペースコンポーザー

谷川じゅんじさん

1965年生まれ。「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマにイベント、駅氏ビジョン、インスタレーション、商空間開発など目的にあわせたコミュニケーションコンテクストを構築、デザインと機能の二面からクリエイティブ・ディレクションを行う。主な仕事に、KRUG bottle(2011)、平安遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻(2010)、パリルーブル宮装飾美術館 Kansei展(2009)、グッドデザインエキスポ(07-12)などがある。今秋にはアート・ディレクター、テセウス・チャンのデザインによる「JTQ 10th ANNIVERSARY ARTIST BOOK」が発売となったばかり。DDA 大賞受賞、優秀賞受賞、奨励賞受賞、他入賞多数。

http://www.jtq.jpp



ナビゲーター

アンドレア・ポンピリオさん

東京生まれ。イタリア人の父と日本人の母と、オランダ国籍を持つ「ワールドシチズン」。都内インターナショナルスクールと、イタリア・ローマで学生時代を過ごし、幼い頃から自然と向き合ってきたアイデンティティへの問い、そして「世界のリアリティ」への好奇心を胸に、報道写真家、PR/イベント制作業、など様々な経験を経て、2005年、J-WAVEナビゲーターに。7年半に渡り土曜昼のワイド番組をナビゲートした。2011年からはNHK BS1「地球テレビ エル・ムンド」メインMCを担当。東京を拠点に、ネイティブな日本語/英語/イタリア語を生かし、ラジオ、TV、雑誌、イベント等で、グローバルなカルチャーやライフスタイルを紹介。日本と海外の架け橋となる「フィルター役」を目指し、日々チャレンジを続けている。

ANDREA POMPILIO.net

photo: Kozai Hiroshi
Hair&Make Yoshida Hazuki
text: Ohtani Mayuko





“人は人に興味をもち、人は人で喜ぶ”そんな、アルバイトの時の経験が今の仕事の原点。

谷川 アンディとは実はご近所なんですよね。

アンディ 犬の散歩をしていてコンビニでばったり会うなんてことも結構ありますよね(笑)

谷川 それで飲みに行くようになり(笑)

アンディ 今回はそんな飲み屋トークの延長で、ゆる~い感じで話ができればと思っています。

谷川 よろしくお願いします(笑)

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アンディ はじめて谷川さんの事務所にお邪魔しましたが、空間的にタイムトリップしているような感じがするオフィスですね。普段はここでどういうお仕事をされているんですか?

谷川 『空間をメディアにしたメッセージの伝達』をテーマに活動しています。様々なメディアのかたちがあるけれども、空間をメディアとしてとらえ、空間というコミュニケーションを使ってゲストに対して主催者が自分たちのメッセージをより的確に届けられるという仕組み作りをしようということで10年前にこのJTQを立ち上げました。基本はコミュニケーションデザインやブランディングの範疇の仕事が多いですね。

アンディ そもそも“空間コンポーザー”という肩書きはどうやって決まったんですか。

谷川 音の専門家で井出祐昭さんという方がいるんです。僕もお世話になっているんですが凄い方で、それこそJRの発車音や、携帯の呼び出し音、ハイブリッドカーの走行音といった世の中のあらるゆる音を作っている人なんです。井出さんと一緒に仕事してきたなかで、「谷川さんこそスペースコンポーザーなのにね」といわれて、「それ、貰っていいですか?」という感じで、タイトルを付けてもらったんです。)

アンディ 井出さんには以前、僕の番組にもでていただきました!じゃあ、井出さんが名付け親なわけですね。

谷川 それまで肩書きは“クリエイティブディレクター”だったんです。なんですが、あるプロジェクトに取り組むにあたって各パートの色々な専門家が集まって名刺交換した時に全員の肩書がCD(クリエイティブディレクター)だったんですよ(笑)

アンディ はははは!なるほどね(笑)

谷川 広告もファッションも、挙句の果てにはクライアントにもクリエイティブディレクターがいるんですよ。これは駄目だなと。実は独立したばかりの時に「僕の専門は空間じゃない」とハッキリ言っていたし、空間も含めて総論でやるんだと宣言していた時期はあったけれども、もう一回空間に戻ったほうが自分のキャラクターや筋道もわかりやすくなるのではと思ってあっさり肩書きを戻したんです。

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アンディ いまの会社を立ち上げられる前は、何をやっていたのですか?

谷川 もともとは大学をドロップアウトして家から一番近い、というシンプルな理由でディズニーランドで働き始めたんです。ここで人を喜ばすためのオペレーションや仕組みづくりを自分なりにみっちり3年間やってきました。

アンディ それはまた、意外な経歴ですね!

谷川 でもここでの体験が今に生きているんです。実は僕、小・中・高・大とずっと剣道をやっていたのでそれまで「戦うことが生きる事」みたいな世界で身を置いて、実際そうだと思っていました。一生懸命やって人を倒すのが自分のなかでのモチベーションだったのに、ディズニーランドには一生懸命やって人が喜ぶ世界があるワケですよ。競技の世界はたったひとりの勝者と、残りの敗者でその年のシーズンがおのずと決まってくるから、シーズンチャンピオンは一人で、あとは全員敗者。それが全てだったのに、世の中そうではない価値があるということを目の前で見せられて、すごい仕事だなぁと思いました。

アンディ それが今の谷川さんの価値観に根付いているんですね。

谷川 そうですね。人は人に興味をもち、人は人で喜ぶんだということをつぶさに見たときに、これが仕事としてこの先ずっと繋がっていけばいいなぁと、おぼろげに思いました。でもその時はオペレーションをやっていたんです。オペレーションはできた器の上でパフォーマンスをする。器はもうすでに完成しているわけですよ。僕らがいた頃はパークが成長期だったので、「スプラッシュマウンテンが出来るらしい」とか、「ビッグサンダーマウンテンがいま建設中」とか、「キャプテンEOが今日まさにオープン日を迎える」という時期でした。ハードが先にできて僕らがあとから入り込んでいく。その中で「アミューズメントビジネスという領域においては、実はハードメーカーの方がプライオリティが高いのでは?」と当時思いました。で、次はハード屋になろうと思ったんです。

アンディ それで建築やデザインの道に進もうと思ったわけですね。


TANIGAWA’S WORKS

感性 kansei –Japan Design Exhibition–
主催|経済産業省 日本貿易振興機構(ジェトロ)
プロデュース|デザインアソシエーションNPO
会期|2008年12月12日(金) 〜 21日(日)
会場|LES ARTS DECORATIFS(ルーブル宮 国立装飾美術館) photo

経済産業省が策定した「感性価値創造イニシアティブ」に基づき、感性に訴えかける日本の優れた製品やサービスを紹介する展示会。写真は、メッセージの伝達とプロダクト展示の機能を兼ね備える造形物「デジタル屏風」。最先端と歴史観の調和を織り込んだシンボルツリー 「感性の樹」。





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