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ACROSS THE BORDER Vol.2【後編】
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スペースコンポーザー
谷川じゅんじ
>Vol. 002(後編)

スペースコンポーザー
谷川じゅんじ
>Vol. 002(前編)

マネックスグループ株式会社代表取締役社長CEO 松本 大
>Vol. 001(後編)

マネックスグループ株式会社代表取締役社長CEO 松本 大
>Vol. 001(前編)

空間を上質なコミュニケーションスペースとして構築する、スペースコンポーザー谷川じゅんじさんと、NHK BS1『地球テレビ エル・ムンド』等の情報番組のナビゲーター、アンドレア・ポンピリオ(アンディ)さんのトークセッション、その後編。いままで手掛けてきたプロジェクトのアーカイブを繙きながらキラキラと目を輝かせ、屈託のない笑顔で語る谷川さんの姿は、時間を忘れて夢中で図工に取り組んでいる様なそんな少年時代を髣髴とさせる。「こんなに楽しんで仕事しているなら、谷川氏の仕掛けることは絶対面白いに違いない」という強烈な印象を、パッと見の第一印象から根付かせてしまう谷川氏のコミュニケーション能力は半端ではない。するするとボキャブラリーがでてくるリズミカルな口調、それでいがら情熱を秘めた穏やかなものごしに、アンディをはじめその場にいた全員が思わず聞きほれてしまった。天性の“人たらし”であっという間に初対面の人間を虜にしてしまう超売れっ子・谷川じゅんじの頭の中をアンディとともに少しだけ覗かせてもらった。

スペースコンポーザー

谷川じゅんじさん

1965年生まれ。「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマにイベント、駅氏ビジョン、インスタレーション、商空間開発など目的にあわせたコミュニケーションコンテクストを構築、デザインと機能の二面からクリエイティブ・ディレクションを行う。主な仕事に、KRUG bottle(2011)、平安遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻(2010)、パリルーブル宮装飾美術館 Kansei展(2009)、グッドデザインエキスポ(07-12)などがある。今秋にはアート・ディレクター、テセウス・チャンのデザインによる「JTQ 10th ANNIVERSARY ARTIST BOOK」が発売となったばかり。DDA 大賞受賞、優秀賞受賞、奨励賞受賞、他入賞多数。2月7日(木)、8日(金)とトークイベント、JTQ TALKING SESSIONに登場。

http://www.jtq.jpp



ナビゲーター

アンドレア・ポンピリオさん

東京生まれ。イタリア人の父と日本人の母と、オランダ国籍を持つ「ワールドシチズン」。都内インターナショナルスクールと、イタリア・ローマで学生時代を過ごし、幼い頃から自然と向き合ってきたアイデンティティへの問い、そして「世界のリアリティ」への好奇心を胸に、報道写真家、PR/イベント制作業、など様々な経験を経て、2005年、J-WAVEナビゲーターに。7年半に渡り土曜昼のワイド番組をナビゲートした。2011年からはNHK BS1「地球テレビ エル・ムンド」メインMCを担当。東京を拠点に、ネイティブな日本語/英語/イタリア語を生かし、ラジオ、TV、雑誌、イベント等で、グローバルなカルチャーやライフスタイルを紹介。日本と海外の架け橋となる「フィルター役」を目指し、日々チャレンジを続けている。

地球テレビ エル・ムンド|NHK
ANDREA POMPILIO.net





共感してもらえる哲学を持たないと、メーカーはブランドに進化できない。

アンディ 色々なクライアントがいらっしゃいますけど、本音で言ってやりやすい相手、やりにくい相手ってありませんか?

谷川 もちろん差はありますよ。

アンディ たとえばやりにくい部分でいうと?

谷川 決済権者との距離が遠い仕事はやりにくいですね。ゴーサインをだしてくれる人との距離が近い仕事や、大げさに言うと、社運を賭けるか否かの判断の段階で「じゃあ、かけよう」という判断が早い段階で決断されたプロジェクトはやっぱり結果も面白くなる。挑戦することへの準備期間がとれるから質も上がるし、結果的には他にないものが出来上がる。そこに対するリスクヘッジをすればするほど角のとれたものになってくるので、そういった意味で特に決済権者との距離が遠い仕事はやりづらいですね。

アンディ 基本的にそういう依頼は受けないようにしているんですか。

谷川 いえ、そんなことはないです。そんな立場でもないですし。必要とされれば最良の答えを出すべく最善も尽くします。基本的に仕事は断らないというのがモットーなので。

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アンディ 仕事でここだけはこだわっている、気を遣っているというポイントはありますか?

谷川 あります、あります。基本僕の仕事は空間を扱うので「主役はだれですか?」と訊かれたら、そこに来るお客さんなんです。クライアントは手段でしかない。結局そこにお金を出してその場を司るために投資をする人がいたとしても、そこの社長が喜んでも意味がなく、そこに来たゲストが「いいね!」と言って初めて、その主催者が喜ぶワケですよ。だから来る人がいちばん大切。来る人の事をいちばんに考えますよ。まずは「誰を呼ぶんですか?」あるいは「何を持ち帰ってもらいたいですか?」とリサーチします。空間って体験でしょう?来た人は「いいね!」しか持って帰れないし、会場を出た瞬間にその残像しか残らない。でもその残像感が人の暮らしに与える影響はすごく大きいんです。記憶が次のアクションのきっかけになってくるので、ある種の期待と印象と記憶になって残る。その要素の循環が実はブランドだって考えているんです。ブランディングは気持ちの循環とか連鎖とか、そういうものに対して付ける称号なんじゃないかなと、クライアントとよく話をするんです。

アンディ でも10年位前と比較してだいぶ“ブランド”にたいする必然性や価値観、認知度は変わっていますよね。

谷川 いまの日本にはブランドやメゾンと言われるものって本当に少ないんですよ。老舗は多いのに。ほとんどがメーカーなんです。ある意味国民総アルチザン集団なので、職人も老舗も沢山あるのに、メゾンと言われるブランド集団はまだ日本にはない。

アンディ なるほどね。

谷川 よく「メーカーはどうやったらブランドになれますか?」と言われるんだけれども、行きついた答えが、ブランドは哲学を売ってビジネスをするひとたち。メーカーはモノを売ってビジネスをする人たち。だからいわゆる“ブランド”を買っている人は哲学を買っているから、そのモノが多少使いにくくても、哲学に共感するから無条件に買うわけです。ところが、モノで選んでいる人たちはもうちょっといいものが生まれたら「そっちでいいや」となる。モノレベルでとまっているから競合が現れると、どんどんそっちに移っていく。出発点が違うんですよ。それを伝えたり、マーケットに認知してもらうには主体となる主催者の立ち居振る舞いが非常に大切だと思います。

アンディ 「いい物だけ作って、どう?いいでしょう?」という時代ではもはやないと。

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谷川 そう思います。パッと見た瞬間に入ってくる印象ってたくさんある。空間から受ける印象や匂い同様に、ファッションでも会った瞬間にその人となりとか空気感だったり、身に付けている物や趣味嗜好は大多数の情報量として入ってくるじゃないですか。コミュニケーョンの仕事をしていて常々、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション割合いを考えます。言葉として伝わっていく領域は全体のコミュニケーションのどのくらいか、言葉で伝わらないのはどのくらいか。実際には非言語の方が圧倒的に多いんですよ。

アンディ へぇ~、そうなんですね。

谷川 パッと会った瞬間に機嫌がいい悪いから始まり、その人のムード、声色、雰囲気がある。そこがとっても大切。今日、僕のオフィスに入った瞬間に皆さんが「いい部屋だね」と言ってくれたとしたら、ユルい雰囲気と、ここが中目黒にあるから成立している部分が多分にある。隣に目黒川が流れていて、オシャレなご飯屋さんやカッコいいセレクトショップがある中目黒という場ヂカラを結構借りているんですよね。これが北千住だったらまた雰囲気に変わると思う(笑)

アンディ また違ったカッコよさになるんじゃないですか?(笑)

谷川 また違うエキゾチックな空間にする自信はあるんだけれど(笑)駅からここに移動してくる間に皆さんが感じてくる空気、昭和を感じさせる築40年の雑居ビルに入って、上がってきて、扉を開けて入って「こんなのかい!」という驚き。それはやっぱり自分が考えるディズニーランド的な世界と一緒です。

アンディ まさにエンターテイメントですね。扉を開いた瞬間、ウワっと気分が高揚するような感覚ですね。

谷川 日常のなかのね。

アンディ じゅんじさんのライフスタイルそのものなんでしょうね、この空間が。

谷川 そうそう。無理している部分は1ミリもなくて。日常の延長で好きなことやっていて、好きな事の延長で仕事に必要な道具や環境を整えてたまたま出来たのがこの事務所なんです。


TANIGAWA’S WORKS

LEXUS Spindle Night “SPECIAL PIT PARTY”
会期|2012年7月14日
会場|お台場特設会場 photo

およそ300人のインフルエンサーや招待客が集め、夏のお台場の特設会場にて開催。レレクサスGSをつかったトップレーシングドライバーによる同乗体験走行、レクサスのスーパースポーツカー「LFA」や、「LF-LC」の展示、ミニライブ等により、レクサスのエモーショナルな世界感を共有。





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