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special meeting
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B.R.SHOP Special Meeting Vol.003

<ゲスト>インテリア&ファッション イラストレーター
tetsuro oh!no (大野哲郎)さん

BR大和(以下--):大野さんは「モンステラ・マニア」というサイトを運営されていて、文字通りモンステラの虜ということだと思うんですけれど。モン ステラというモチーフに興味を持ったきっかけは何だったんですか。

大野哲郎さん(以下、大野):僕は今のイラストの仕事をする前は、照明器具のメーカーでプロダクト・デザインをしていたんですよ。だから当然、新しいモ ノをつくらなきゃならないんで、最初は、新しいモノとかトレンディなモノばかりに興味があったんですが、古いモノをさかのぼっていったり、会社に眠って いた古いカタログや照明器具を見ると、すごく格好よかったりするじゃないですか。こんなのがあったんだと。そう思うと、新しいモノをつくるには古いのを 知らないと思ったり。そういうことで、ミッドセンチュリーのインテリアとかにのめり込むようになっていったんですよ。で、当時のインテリア写真に必ず出 てくるのがモンステラのような観葉植物なんですね。しかも写真に象徴的に登場する。当時のカメラマンも相当意識していたんだろうなという感じで、手前に観葉植物がアップで出てきて、奥にインテリア家具があるというような。なかでも気になったのがモンステラという植物なんですが、いろんなウェブサイトで 見てもミッドセンチュリーとモンステラのつながりについて気づいている人っていなかったんですよ。

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--僕もインテリア洋書を集めるのが趣味ですが、確かにあれだけ写真に出てくる割には、そのつながりをについて語れる人は少ないですよね。

大野:書籍とかも海外のを探してもあんまり、インテリアの関係を語っているものがない。でも、50年代になるとゴムの木が多かったり、60年代にはモンステラになり、70年代に入ると白いソファーにフェニックスというように、意外と時代の流れがあるんですよね。80年代にベンジャミンとか、90年代前半はパキラ、後半はクワズイモとか。80年代のトレンディドラマのセットは、モノトーンの家具にベンジャミンなんて多かったじゃないですか。インテリアコーディネーターが描くイラストにも、必ずベンジャミンがでてきたりして。思いっきりインテリアの変遷と観葉植物はつながりがあるのに、それを言っている人が全然いなかったので、これは面白いなと思って、そのなかでも象徴的なモンステラはインパクトもあるし、形も好きだったので、それをテーマにイラストをやって行こうと。

--そのモチーフを起用するのに、イラストという表現方法に行ったのはなんでですか。プロダクトデザインからイラストレーターへの転身については。

大野:プロダクトデザインはいろんな人を動かしてやる仕事じゃないですか。工場や販売する人がいて、広告どうするとか。それはそれで楽しいんですが、自分ひとりで完結するような事もやりたいなと思ったんです。完成まで自分でやって、それで見てもらったらどうなるんだろうと。元々絵も好きだったし、一番単純にできるのがイラストだったので、すぱっと会社を辞めて、イラストレーターになるって思ってなったんですよ。2000年のことでした。そのときとモンステラをテーマにしようというのが一致して、モンステラのあるモダンなインテリアというのをみんなに広めたいという意味をあるし、ビジュアル的にいいものを造りたいということが絡んで、そういう絵を描くようになったんですね。

--自分自身をプレゼンテーションする段階で、なんかバックボーンみたいなものはあったんですか。

大野:いや、当時は何もないですね。イラストレーターになるといったら、周囲からは「なに言っているんだ。いきなりイラストレーターで食えるわけないじゃん」って言われまして(笑)。

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--それにしても、インテリアに溶け込むイラストですよね。

大野:当初はミッドセンチュリー全盛っていうのもあったんですけどね。ミッドセンチュリーが誤解されたというか、ビジュアル的にあまりにもインストール されてしまったイームズの椅子とか、サイクル的にミッドセンチュリーのイメージになっちゃたやつがあるじゃないですか。ちょっとポップなイメージだったりとか、それが逆に安っぽさを植え付けちゃってミッドセンチュリーしているって誤解している人もいるんですけど、そうじゃない方向ももっとあるって思っていて、あまりミッドセンチュリーって言葉も使いたくないって思っていたんですよ。モダンでいいや。モダンって言葉だけで…モダンって言葉もちょっと誤 解されていたりするんで、モダンなインテリアっていうのをもっと幅広く、大人っぽく、格好よくする世界があるんだっていうのをみんなに知ってもらいたいっていうのがあったんですよ。

--ボクは元々、ポップになりすぎるものとか好みでないんですよ。時代の流行はあるけれど、今は好きなモノが個々にはっきりしてしてきているじゃないですか。それはファッションにもいえることで、いままでは海外にあって日本では知られていないものがたくさんあったと思うんですが、いまは出尽くしてきて、ひと通り知る事ができて自分で選んで行く時代になったんだと思うんですね。

大野:たしかに、以前は与えられたスタイルがあって、それにのめり込む人がいてブームがあったんですよね。何回も。それもひと通り出尽くして、あとまあ、上級者になるとミックスできるようになったりね。

--大野さんのイラストはインテリアショップでも販売されていますね。

大野:「モンステラをテーマに変なことをしているよ」という事が、インテリアショップの人たちに、だんだん広がっていったんですよ。一番最初は、モダンインテリアとモンステラが好きという共通点で、ある人を通じてモダニカの社長を紹介されました。社長(須田さん)とモダンインテリアと植物というテーマで意気投合して、ミッドセンチュリーモダンに関係が深い植物をテーマにグラフィックポスターをコラボレーションしようということになり、ウォールプランツシリーズというポスターを制作しています。これがすごく人気があって、現在No.3まででていて、モンステラのほかにアガベというこれまたミッドセンチュリーを象徴する植物をグラフィック化してます。もうすぐNo.4、No.5がでる予定です。』いまは、ここ「モダニカ」で扱ってもらっています。「プールアニック」では、ラグやテキスタイルをつくっていて、モンステラの大きな葉の形のラグがあるんですが、去年の「エル・デコ インターナショナルアワード」というのがあるんですが、床・カーペット部門で選ばれて、日本のなかから3種類ぐらい選考者が選出して、その後、読者投票で1位になったんです。僕がイラストを始めた頃よりは、モンステラファンというは着実に増えているように思いますね。

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