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special meeting
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B.R.SHOP Special Meeting Vol.003

<ゲスト>インテリア&ファッション イラストレーター
tetsuro oh!no (大野哲郎)さん

--古いから欲しいというより、欲しいモノがあるから欲しいんで。

大野:そう、格好いいから欲しいんですよね。でも、新しいモノはどうしても割と同じようなラインになってしまうので、年代的に幅を広げて見てみると、古いモノの中に格好いいモノを発見してしまうんですよね。

--70年代までは、採算度外視してつくっているようなモノが多いですからね。洋服でもそうなんですよ。

大野:たしかに、ぶっ飛んでるもの多いですよね。いまはしがらみがね…、家電や家具でもエコロジーとかって、いろんなしがらみがついてきちゃう。

--ファッションもやっぱりそうですよ。70年代ぐらいの雰囲気をリアルに出そうとすると、上代設定がしにくくなってしまうので、それでも欲しいのかって話しになると、そういう人はごく一部になってしまう。そうなると、やっている人間の自己満足ってことになってしまうんですよ。

大野:昔のモノを復活したくても、経済的な環境がまるで違っているんで、すごく質素なモノが逆に作りにくくなっているんですよね。営業に作れるモノじゃないと採算が合わないから。こんなのちょっとやればスグにできるのにと思うようなモノが、逆に再現できなかったりとか。

--モノを持つ時間の感覚が違うんですよね。昔はスーツ一着つくったら、それをサイズが変わらない限り、長い期間、着た訳じゃないですか。今はそういう概念があまりない。世の中のサイクルが早いんで、クラシックとはいっても微妙に変わらざる得ない。だから、そこまで高いモノでなくてもという意識の方が高くなってきている。

大野:過去のいろんなスタイルがあって、それに昔の人はのめり込んで、今の人はミックスしてというのがありますけど。新しいスタイルをつくるっていうのは良いことなんですが、結局、それも消費されたりするじゃないですか。その辺を今後は考えていかなきゃならないのかなって思いますね。古いものをコーディネートして新しいスタイルをつくっても、そのスタイル自体が結局消費されて古くさいって風に思われちゃうと、もう着れなくなっちゃたりとか。

--結局、完全に新しいモノやデザインって、そう出てこないじゃないですか、既存をミックスしていろんな人が考えるじゃないですか。でもそれもメジャーになりすぎると、その後に古くなると言う、これの繰り返しですよ。

大野:インテリアの世界でも、最近までちょっとケバイのが流行っていたじゃないですか。シャンデリアがあったり。セクシーな光沢のある家具とかテキスタイルが多かったりして。ああいうのもの、どんどん消費されていますもん。2年ぐらいしか保たないです。

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--ものすごいスピードであらゆる物事が動いてますよね。大事にひとつのスタイルを作り上げていく立場の人たちにとっては、きっと面白くないですよね。

大野:だから、自分のスタイルを持つしかない。世の中的なスタイルもあるでしょうけれど、それにも乗っかりながらも、自分のスタイルみたいなものがあれば、そんなに消費に惑わされる事にはならないですよね。

--B.R.SHOPで売っている洋服はクラシックなブランドなんで、大きな流れには左右されにくいスタイルではありますが。

大野:この「モダニカ」という店もそういうことだと思うんですが、ミッドセンチュリーの中でも、競争的なものを売ってきたワケではないんで。ミッドセンチュリーじゃないものも結構置いてあるし、そのスタイルがあるから、これだけ店が増えてきても廃れないできた。

--スタイル=ワールドを売るってことかもしれません。

大野:こちらのスタイルに乗っかるお客さんを乗せるだけの店じゃなくて、そこから自分のスタイルを探して、ワールドを作ってくれるお客さんがいるかいないかが大きいと思うんですよね。

--B.R.SHOPのように普遍的なファッションを扱っていると、着る人によって発想がいろいろあって、逆にこちらが面白いなと思う方はいますね。デザイナーモノっていうのは、ハンガーにつるしてあるだけで格好いいんですよ、誰かが着なくても。普遍的なデザインは、誰かが上手く着たときに初めて格好良く見えるんですよ。その人と成りが出やすいんですよね。

大野:文化というか、顧客と店の関係が作れるか作れないかってところを、そこの販売をするモノを造っている側っていうのは意識しなければならないとこですよね。

--そうですね、自己満足に終わってはいけない。

大野:ある程度、自分のスタイルを伝えていくんですけれど、それにどっぷり浸かられちゃ困るんだよって事が、わかってくれるお客さんが来てくれるのが一番いいですよね。

--お仕事を拝見させていただくと、大野さんのイラストは主張しているんですけれど、それが過剰過ぎない。いろんな可能性を秘めているデザインだと思うんです。

大野:インテリアをメインにしたイラストなんだけど、モノに固執したくないんで、生活している雰囲気とか生活があったほうがいい。あまりキャラクター性のあるヒトがボーンっているんじゃなくて、家具がある奥の方に人のシルエットあったり、足だけが見えていたりとか、猫がいたり、そういう入れ方をするんですよね。常にそこにある生活をイラストにしているってことですよね。生活なんですよ。どういう生活をするかってことですよね。でも、ボクのイラストを、もっと大きいサイズで欲しいっていっていくれる人がいるんですが、部屋にあるのを想像したときに、もうちょっと違うタッチがいいなと思って、インテリアショップで販売するモノはグラフィックなイラストにしたんです。ボクの絵が好きで、その絵の中に入り込んで、それだけを見ていたい人がいるのは嬉しい事なんですけど、空間としてそれがある部屋はどうなのかなと。空間のなかにあるタッチはこっちだろうというのがあったんです。

--モノえ捉えているヒトがいかに多いかって感じますよね。

大野:半分しょうがないなって思うこともあるんですが、でもそんなんじゃいけないんだよっていいたいというのがありますよね。80年代後半ぐらいからモノに溢れた生活じゃない生活みたいなのを言うヒトって増えてきたはずなんです。でも一般的な世の中は相変わらずモノにまみれて生活している。ロハスとか出てきているにも関わらず、まだまだやっぱりね、基本的な生活はどうしても…買いたくなくてもモノが来ちゃうというのがありますしね。もらい物もあるし、買うと別のモノが付いて来ちゃうというのもありますしね。なかなかじっくり選んで買ったりできないから、なんか余計なモノを買っちゃったりするしね。よくインテリアを良くするコツはなんですかと聞かれると、それは捨てることとか、新しく増やさないことですって答えるんです。

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