ナポリのスーツと言えば、ナチュラルなショルダーラインにややゆったりしたウエストを組み合わせた、身体に柔らかくフィットするスーツを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし最近は持ち前の柔らかな仕立てはそのまま、英国スーツ的な構築的な作りと、モダンですっきりしたシルエットを獲得したものが増えています。イザイアはその筆頭的存在です。もともとイタリアン・クラシコを代表する最高級スーツを手掛ける大御所ですが、近頃は程よく旬のブリティッシュ・テイストを取り入れたトレンド感あるモデルに注力。ご覧の“グレゴリー”も、薄手のパッドながら、しっかりコンケーブさせた肩、適度にシェイプしたウエスト、短めのジャケット丈、さらに全体のシャープなシルエットなどなど、随所で最新の軽快なナポリスタイルを体現しています。こういう今どきのナポリスーツにジャストマッチするシャツは、やはりシャープな細身タイプでしょう。ここで合わせているのは、マシンメイドの最高峰、フライのもの。しかもこれ、B.R.SHOP別注の“世界で一番細身”のフライなんです!とくにウエスト回りのシェイプが抜群で、ジャケットを脱いだときには、イザイアのタイトなパンツと美しいバランスを見せてくれます。ネクタイは肉厚でしっかりした作りのものより、芯地の薄いしなやかなタイプを選んで、キュッとコンパクトなノットを作るのがベスト。ナローなラペル幅とも相性が良く、ほんのりモードなテイストも醸し出せます。実はこの適度なモード感というのも、今どきのナポリスタイルには大事だったりします。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 吉田 巌 / 有限会社 十万馬力
イザイアの「グレゴリー」は、パンツもかなりタイトシルエット。裾幅も細く、サイズ44の場合、19.8cmです。なお股上は、着丈短めなジャケットとバランスを取ってやや浅め。ワンプリーツなので、クラシックさはしっかりキープしています。
タイのノットをキュッと小さくまとめるのが今どきのナポリスタイル。薄い芯地を使ったマタビシのタイなら、コンパクトで綺麗なノットが作れます。
せっかくシャープ感のあるスーツに、ゆったりしたシャツを合わせていてはいけません。こちらはB.R.SHOPがイタリア高級シャツの代名詞、フライに別注したもの。いまだかつてなかった細身サイジングで仕立てられています。