いまやよほどお堅い職場でないかぎり、仕事にジャケットスタイルがNGだということはないでしょう。そこで今回は、紺ジャケット+グレイパンツという基本中の基本の組み合わせをお題に、大西さんに今どきのビジネススタイルを提案してもらいました。
まずジャケット。これは国内最高峰のスーツファクトリーのひとつ、「リングヂャケット」が手掛けた新作3Bジャケットです。クラシックな顔つきながら、身幅や袖幅が細く、着丈も短めに仕立てられています。そう、ほとんど今どきのスーツジャケットと同じサイズバランスですね。昔のジャケットは明確にスーツと違うゆったりしたシルエットを持つものが主流でしたが、その手のものはカジュアル感が強く、ビジネスには不向き。もちろん今どき感の演出もできません。また、今どき感といえば、パッド類を極力廃し、芯地を非常に薄いものとするなど、ライトな仕立てである点もポイントでしょう。もちろん「リングヂャケット」の新作は、そのあたりも抜かりありません。
続いてVゾーン。注目していただきたいのは、グレイのVネックをあわせたところです。ニットを挟む場合、差し色として明るめのカラーを合わせがちですが、それが過ぎてしまうとビジネスにはNG。だからって昔の学校の先生じゃあるまいし、地味なグレイはないだろ? なんて意見も聞こえてきそうですが、このストイックな色使いこそがいまの旬。そもそもここで合わせたのは「クルチアーニ」のカシミアニット。ジャケットの下でもたつかない美しい細身シルエットといい、適度な光沢といい、けっして野暮ったく見えることはありません。
そしてパンツは「インコテックス」。グレイ系ベースに千鳥格子が施されており、これがフツウの紺ジャケット+グレイパンツにしたたかに差をつけてくれます。しかもシルエットはここお得意の膝下ストレート。靴に美しいロングノーズの「アルティオリ」をセレクトしたために、バンツのスラリとした感じが一層強調されています。
ビジネスで浮かない定番の紺ジャケット+グレイパンツの合わせでありながら、しっかり洒落感や今どき感も演出できる。そんなスタイルを模索中のかたは是非ご参考にしてください。
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 吉田 巌 / 有限会社 十万馬力
「BRACK LABEL」は、日本屈指の凄腕スーツファクトリー「リングヂャケットが、クラシック&モダニズムをコンセプトに展開するライン。デザイン、仕立てとも隙がないのに、こなれたプライスが魅力です。
合わせた「インコテックス」のパンツは、最近お得意の膝下ストレートシルエットを採用。脚をスラリと長く見せてくれます。この効果を最大限生かすためには、スソ処理はシングルにするのが正解。
胸のポケットにお洒落な筆記具をイン。こちらの「デルタ」のボールペンは、クリップのエレガントなゴールドが効いて、チーフを挿すのと同様の効果を発揮してくれます。