“アズーロ エ マローネ”という言葉をご存知ですか?これは青と茶を意味するイタリア語。イタリア男たちが昔から愛する定番的なカラーコーディネーションですが、これが今、日本のお洒落なかたがたの間でも最旬の色合わせとして注目されているのです。今回は、そのお手本的な着こなしをスタイリスト大西さんに提案していただきました。
まず“茶”を担当するスーツは「サルトリオ」製。クラシコの至宝、キートン傘下のブランドだけに、光沢感たっぷりのバツグンにリッチな生地が用いられています。また赤味の強い明るい茶色ではなく、ややくすんだ“グレイッシュブラウン”というところも魅力。赤味がかかった茶は日本人の黒髪や肌の色に今ひとつ馴染みにくかったのですが、この渋めの茶であれば問題なし。今まで茶スーツに抵抗のあった人も、違和感なく着用できることでしょう。もちろん仕立ては極上そのもので、デザインも一分の隙なし。ワンランク上の茶スーツを求めるのであれば、まさにこれが理想の一着です。
続いて“青”を担当するシャツは「バルバ」のものです。あまり濃い色合いの青だと、茶との合わせがクドくなることもありますが、このように限りなく白に近い青であれば、すんなりまとまるはずです。だったら白でもいいんじゃないの? なんて声も聞こえてきそうですが、単なる白ではメリハリに欠け、Vゾーンの立体感が乏しくなってしまうんですね。またこのシャツは織り柄でストライプを表現し、洒落感を高めているのもポイントです。
また大西さんは、茶スーツと青シャツを橋渡しするタイに、淡い色調のタイを選びました。あまりコントラストを効かせず、スーツの色合いと調和するタイ選びは、今どきの着こなしの常套手段。この「フランクリンミルズ」のタイは、ライトブラウンベースにピンクのストライプが施されており、今の時期にふさわしく、胸元を春めいた雰囲気に演出してくれるところも魅力です。
どうです? イタリアの洒落男も絶対一目置く大西流のアズーロ エ マローネ、この春そっくりそのまま真似したら、職場で相当映えると思いませんか?
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 吉田 巌 / 有限会社 十万馬力
コントラストを効かせず、スーツの色調と馴染むタイを選ぶのが今季流。ここで選んだのは「フランクリンミルズ」のレジメンタルタイ。ライトブラウンに淡いピンクの合わせが美しく、胸元を春っぽく演出してくれます。
白に限りなく近い青色でありながら、織り柄によって光沢感を高め、Vゾーンの立体演出にも適した「バルバ」のシャツ。身幅やアームホール各所のフィット感を高めつつ、動きやすさを損ねていない“ブラックレーベル”の逸品です。
せっかく隙のないコーディネートをしていても、持っている鞄が安っぽいナイロン製では台無し。こちらは量より質をモットーに、ハンドメイドによるイタリアの伝統的な鞄作りを遵守している「ベレッタ」のもの。スーツスタイルを一層風格高く見せます。