今年のスーツやジャケットのトレンド大きな流れの一つに、英国テイストが上げられています。実際、街を歩いてみると銀座のボッテガ・ベネタではヘリンボーン生地を使ったピークドラペルのスーツを発見したし、新宿ではJ.プレスのハリスツイードのアンコンスリーピースなんていうレアなものまで出回る次第。ただ、共通して言えるのは、直球の"ブリトラ"ではないこと。生地や見た目は英国調だけど、細かなディテールや着心地はイタリアンテイスト。東京のショーウィンドウを飾るようなエッジの効いた英国スタイルを会社に着ていける方は、ほんの一握り、そこで今回のドレススタイルは、もう少しリアルなトレンドの取り入れ方をお見せしましょう。コーディネートのポイントは、遠目には普通のスーツスタイルに見えながら、近寄るとはっきりトレンドのオーラを感じさせる事。まずは、Vゾーン。ネクタイをシックなタータンチェクにする事で、ストリート的なカジュアル感を出さないようにしています。ブランドはフランクリンミルズ、日本のメーカーのものでトレンドをおさえ、コストパフォーマンスの高いネクタイを作る事で定評があります。シャツは、身頃が淡い青色のグラフチェックになっているクレリックシャツ。細身シルエットとソフトな仕上がりはジャネッリならでは。ここをトレンドだからといって、英国の老舗シャツブランドのストライプが強調されたクレリックにすると、コーディネートがまとめにくく、日本のビジネスシーンでは"アク"が強すぎ。コーディネイトの名脇役は、スエードのウィングチップ。B.R.SHOPのオリジナルで、履き心地を重視つつも、シャープなイメージがあるという名品です。ここをカントリーテイストのウィングチップにするとモダンな感じが消え、カジュアルなイメージが強く出てしまうので要注意。オールデンのウィングチップを合わせ、パンツを短く裾上げして、トム・ブラウン風にもできますが
日本のビジネスシーンではNGですね。
スタイリング・文 : 大西 陽一 / RESPECT
タータンチェク、スコットランドの民族衣装に使われていたもので、今でも英国のバグパイプの演奏者がはいているスカートはこの柄。今回のタイは、伝統的な柄にうまくモダンな感覚をミックスしたもの。ベースをパープルの濃淡でまとめ、ホワイトのラインを効かし、都会的でシックなイメージに仕上がりました。太巻きのウィンザーノットではなく、小振りなプレーンノットが◎
ハリやコシ強い英国生地。このハワード ハリーの生地を握ってもらうとよくわかるのですが、しっかりと戻ってくる感じが分かるはずです。そのためシワになりにくく、体型をカバーするような構築的なシルエットが作れます。柄は、クラシックなストライプですが、ラインの間に織りのストライプが入っているので、ライトに当たるとそれが強調されエレガントな雰囲気をアピール出来ます。
今回コーディネイトしたクレリックシャツは、身頃の色目を控えめにしつつ、チェックを選ぶ事でしっかり英国テイストはアピールしている優等生。実は、ネクタイもシャツも柄というかなり難易度の高い組み合わせですが、このシャツならペイズリーや小紋柄などのネクタイをあわせても簡単にとまとまるはずです。