日本では、冬になってもコットンのトレンチコートやステンカラーコートを着ているビジネスマンの方を見かけます。これは、ヨーロッパの伝統的なドレスコードから見るとルール違反。やはり、冬はエレガントなウールのコートを着こなすのが粋だし、紳士の流儀ではないでしょうか。もちろん、通勤中の移動を考えると、日本では冬もコットンのコートの方が快適だったりするのでしょうが、こちらをご覧下さっている紳士の方々には避けて頂きたいスタイルです。ファッション誌に掲載されているイタリア人のスナップ写真を見ていても、冬にコットンのコートを着ている人はほとんどいません。逆に際立っているのが、茶系のウールコート。イタリア伊達男の冬の三種の神器と言わんばかりに、いつも茶靴&レザーグローブとコーディネイトしています。
そこで今回は、イタリア人的なウールコートの着こなしに、ちょっと東京的な解釈をプラスしたコーディネイトを提案してみました。アウターは、オンオフどちらでも着やすいように、やや短めの着丈になったポロコート。これに二つボタンのナローラペルのボリオリのスーツをあわせてみました。かなりモード感のあるデザインなので、パンツの裾はあえてシングルにしシャープなイメージを強調。シューズは、コートのボリューム感とのバランスをとることを考え、スウェードのウィングチップをセレクト。コーディネイトのスパイスはレザーグローブ。お刺身にわさびが欠かせないように、コートを着る時は、グローブをお忘れなく。スーツにポケットチーフをいれるように、コートの胸ポケット等にさりげなく差し込むと、まじめな優等生のイメージが強いポロコートも、インテリジェンスを感じさせるスポーツマン的な雰囲気に変える事が出来ます。
スタイリング・文 : 大西 陽一 / RESPECT
カンタレリのポロコートの特徴は、このバックシャン。ウェストをベルトで絞るという、クラシックなコートのディテールを取り入れています。これがある事で、ウェストの美しいラインが強調されます。
ネクタイはフランクリンミルズのカシミア混のウールタイ。深みのあるパープルは、スーツのグレー、コートのキャメルともに相性が良く、控えめながらもきちっと存在感をアピールしてくれるカラーです。
クラシックなポロコートのイメージを変える事無く、着るとモダンな雰囲気が出る様、着丈や肩のサイズ感などを微妙に調整して仕上げた銘品。素材は、上質なウールを使用し、生地の表面は、上品なキャメルカラーとクリーミーなベージュカラーがミックスされて見える高級生地を使用しています。