エリザベス女王即位60周年やロンドンオリンピック開催年ということもあり、イギリスブームが盛り上がっています。ファッションの世界でもクラシックなストライプスーツがじわじわと人気を増しているよう。今回はそんなトレンドもふまえて、ロンドンの金融街を意識したコーディネートをご紹介します。
スーツというとメンズファッションにおいて欠かせないアイテムですが、毎シーズンほとんど型が変わらないように見えますよね。でもその中で、微妙にサイジングがタイトになったり、着丈が短くなったり、ソフトなフィッティングのアンコン仕立てのジャケットが誕生したり、微妙ながら常に変化を遂げています。スーツというアイテムの範疇で遊ぶのはなかなか難しいですが、そのちょっとしたトコロで遊び気分を取り入れてみるのが愉しみ、という男性も多いのではないでしょうか。雑誌の影響もあってイタリア流の着こなしは随分身近なものになってきましたが、スーツの発祥の地であるイギリス流となると一転、「堅苦しそう」と、敬遠しがち。でも今回のピンクのシャツ、実はロンドンに住むビジネスマンに愛されているカラーなんです。これだけカラーが世に出回っているにも関わらず、まだ手に取るのに抵抗がある人が多いんですよね。男性のみなさま、そろそろ食わず嫌いはやめてみませんか?
なにより淡いピンクは日本人の黄味がかった肌色にも馴染みが良く、そのうえ顔色を明るく見せてくれます。そして、かなり女子ウケもいいんですよね。色が白い男性が着るとほんのり可愛らしく見えるし、逞しい人が着ると穏やかで優しそうに見える。淡いピンクはまさにいいことづくめな万能カラーです。
そして今回のもう一つのポイントがコットン素材であること。独特のシャリ感のあるコットンは清涼感をもたらしてくれるので、春先から夏まで活躍する素材として去年からジワジワと知名度を広めてきました。そして今年、一気に人気が加速しそうな兆しがあります。今までコットンスーツというとベージュやカーキといったクセモノが多かったので、一般の人にはなかなか受け入れ難かったところも。一方、グレーなら爽やかに着られるし、他の色にない知的な雰囲気もグレーならではの魅力だったりします。それにこうやって素材を替えるだけで、王道カラーもどこか新鮮に。ほんのちょっとしたことでオシャレって随分と印象が変わります。「ファッションをもっと楽しむ」という意味でも、男の自由な着こなしの気分を新しいスーツにこめてみませんか?
スタイリング : 大西 陽一 / RESPECT
文 : 大谷 繭子
クラシックの流れを汲むペイズリー柄は英国を代表するモチーフですが、昔ながらのエンジ色×グリーンのペイズリー柄は、何だか時代を感じさせて、老けて見えがちです。実はペイズリー柄にも新しい流れが来ているようで、こちらのようにシルバー×グレーのワントーンならモード味もほどよくきいていて清涼感もあり、フレッシュな印象で身につけられます。
「スーツ=オンビジネス」というイメージが強いですが、ほんの少し抜け感をだしたい場面では、スーツのジャケットを単品で着て、下にデニムやコットンパンツを合わせてラフに着くずすのがオススメ。英国人の金融マンが好んできているストライプ柄は“バンカーストライプ”と呼ばれ親しまれていますが、こちらのボリオリは堅苦しさは一切ゼロ。パッチ・ポケット仕様なのでドレスのかしこまった雰囲気に寄り過ぎず、カジュアルパンツとも馴染みがいいので、単品ジャケットとしても存分に遊べます。
スーツはある程度、型が決まっているから、素材の違いが思いもよらぬ効果を発揮します。だってひと口にスーツといっても様々ですよね。喪服だって黒スーツだし、ハレの日の正装だって黒いスーツ。イタリアンマフィアが着る白スーツに、アメリカ大統領が着るネイビーのスーツ。堅苦しく真面目に見えるのも、ワルそうに見えるのも、育ちがよさそうに見えるのも、仕事がデキそうにみえるのも、すべてスーツの仕業なのです。ジョシ目線から見るとこちらのコットンのグレーはとっても爽やか。それにストライプの太さも丁度よい間隔であしらわれているので、誰からも好かれそうな清潔感にあふれています。