洋服ブラシ
Aug 06, 2010
こんにちは!
いつも靴ばっかりなので、たまには違うお話を!
今回は「洋服ブラシ」のお話!
ウチの洋服ブラシです。
(あったんだ……)
制作は江戸屋さん。長いおつきあいの老舗さんで、働いてるみなさんも大変職人気質な方達でとてもお世話になっています。
何年か前にどうしても納得のいく靴ブラシが見つからずに探していた頃、飛び込みで制作依頼に来たどこの馬の骨ともわからない僕の話を真剣に聞いてくれたのを鮮明に覚えています。
で、その後二人三脚すったもんだやりながら納得のいく靴ブラシが完成し今に至る訳ですが、実は靴ブラシだけでなく洋服ブラシも作ってもらっていました!
(そぉだったんだ……)
手植えの職人さんに仕事の合間に植えてもらっている為、月の制作数がかなり少なく存在自体知らなかったって方もいるのでは!?
ってことで、ご紹介致します!!
いろんなサンプルが並んでますね!
毛が束になってるでしょ!?これは豚さんの毛だったり、お馬さんの毛だったりといろいろあります。中にはリスやイノシシの毛なんかもあるんです!
で、たくさんの毛材の中から選んだ毛を更に毛丈を何ミリにするか等々を話し合って決めていきます!
(以外と地道な作業だな……)
そんな感じで何本も試作品を作っては試し、やっと一本のブラシが完成していく訳です。
で、この洋服ブラシは更に植え方にもかなり拘って制作しています!!
根っこのところが2段になってるでしょ!?
実はこの下の短い毛の先端は毛根部分です!!
これは、享保三年より代々継承してきた江戸屋さんならではの「二段植毛」!!
元々は徳川の時代、将軍家お抱えの刷毛師の家系として現在まで約300年も大切に受け継がれてきた技術……
で、どんな効能があるのかと言うと…
ちょっと分かり辛いですね……
長い方の毛の先端を見ていただくと、毛の長さが微妙に違うのが分かるでしょうか!?
これは、天然の毛先を活かすためにできる限り刈り込みを入れず一穴一穴丁寧に長さを合わせて植えていくからなんです。
(すげ〜……)
当然これは手植えでしかできません!!
これにより細い天然の毛先が洋服の繊維の中に入り込んだ埃まで掻き出してくれるんです。
そしてとても慎重さと根気のいるこの仕事をしてくれている職人さんも大分ご高齢になっていらっしゃいます…。
僕は少しでもこの技の素晴らしが伝わってくれたらと思います。
安価で生産性の高い商品が次々に生み出される最近では、このブラシは少し時代遅れなのかもしれません…。
それでも、拘りを持って作り続けることや若い世代に継承していこうというブラシ職人の思いの詰まった一本です…。
必要な方にだけ伝わってくれたらとても嬉しく思います。