BOGLIOLI
BOGLIOLI

二人の洒落者から想起した
唯一無二のエレガンス

銀幕の世界でいまだに名作として語り継がれる「グレート・ギャツビー(邦題:華麗なるギャツビー)」。そのリメイク版が2013年6月に公開をむかえます。この原作を手掛けた作家の名は、言わずと知れたF・スコット・フィッツジェラルド。そして、そんな彼と同時期の1920年代に、“失われた世代”として世に広く名を知らしめたもう一人の作家、アーネスト・ヘミングウェイ。ともに前述した“失われた世代”と評されたことの他に、彼らの間でもっとも共通することといえば、ふたりとも20世紀のアメリカを代表する作家でありながら、洒落者としても今なお語り継がれる稀有な存在である、ということです。

そして、時は2013年春。偶然にも今回の「ボリオリ」のコレクションを最も端的に表してくれるのも、前述したフィッツジェラルドと、ヘミングウェイのスタイルです。たとえドレススタイルであっても、それがカジュアルスタイルであったとしても、世界中を旅しながら常にその土地に応じたエレガンスを忘れない。そんな彼らの姿勢こそが、ボリオリが今季、表現したかった世界観に他なりません。

例えばボリオリの代表的なラインとして知られる「Kジャケット」や「ドーヴァー」、そして「コート」においては、快適な伸縮素材を使用しながらも、上品なディナージャケットに仕立て上げてみたり、製品染めや製品洗いを施すジャケットに、あえて高級なウール素材を用いてみたりと、実用の中にもさり気ないエレガンスを、巧みに演出しているのです。また、昨シーズンからスタートし、日本国内外からも熱い視線を受ける鈴木卓爾氏とのコラボレーションラインでは、自由なムードのファブリック使いが、よりアクティブな世界観を表現しています。

スタイルや方法は様々ですが、今季ボリオリが打ち出すラインナップは、そのどれもが、着手のライフスタイルに馴染み、あくまで“人”を主人公としながらもそこはかとなくエレガンスが薫るアイテムばかり。そこには確実にモダンサルトリアーレの技術力と提案力の粋が詰め込まれていることは、今回のコレクションをご覧いただければお分かりいただけるとこでしょう。

フィッツジェラルドやヘミングウェイが注目を浴び始めた1920年代といえば、アメリカを始めとした世界の国々が、異常なまでの好景気と狂騒に包まれていた時代。まだ見ぬ新しい価値観を求め、人々が今まで以上に開放的になった時代でもありました。そんな中で注目されたふたりの、自由でありながらも常にエレガンスを忘れないスタイルこそ、今季、同ブランドが何よりも大切にしたことであり、ライフスタイルの多様化が進む現代の我々にとっても、今、最も求められていることなのかもしれません。



Producer 大和一彦 / Stylist 中川原寛(CaNN)/ Photographer 谷田政史(CaNN)〈人物〉 小林孝至(FOREST)〈静物〉/Hair&Make 吉田葉づき / Writer 寺田慎一(GtN-48) / Creative Director 中野慎一郎 / Model CUBA