相手やエリアで変わるドレスコードにも、ちょっとした気遣いが大切です。

アンディ　大さんのいる業界的にファッションの制約はありますか？

松本　投資銀行に勤めていた時はスーツと決まっていました。銀行によってはドレスコードが厳しく、4週間に1回はヘアサロンにいくこと、顔つきや体型に合わないネクタイの結び方はしないこと、といった数十ページにもわたる細かい服装規定を定めている会社もあると聞いたことがあります。

アンディ　それは厳しい！でもそれがある種その会社の個性となっているところも少なからずありそうですね。マネックスはどうなんですか。

松本　マネックスにはドレスコードがありません。インターネットをベースにした新しい金融の会社なので、スーツでガチガチにスキなく固めるのもどうかと思って、個々の社員の判断に任せるようにしています。ロッカーにスーツを置いていて、お目にかかる相手やTPOに合わせて着替える社員もいます。創業の頃の笑い話なのですが、私が不在の折に某大手銀行の頭取がふらっとやってきて短パン・ビーチサンダルの社員をじろじろ見られたと（笑）。で、さすがに短パンは禁止にしました（笑）。僕自身は普段は黒のプレーン・トゥのシューズにデニム、シャツを着てネイビーを中心としたジャケットを羽織ることが多いですね。

アンディ　確かに多いですね、そのコーディネート。

松本　このスタイルだとアメリカではちょっとしたレセプションに出席するときも通用します。ただ、ヨーロッパはそうはいかない。ヨーロッパに行くときはやはり荷物が増えますね。

アンディ　やはりデスティネーションによって違いますか。

松本　ヨーロッパはドレスコードが厳密ですからね。例えばニューヨークで話題のオシャレなレストランに行っても、デニムにジャケットで全くOKですもん。持っていくシャツもスーツの時はいつもブルーと決めていますが、香港やヨーロッパでレセプションに出席する予定がある時は必ず白シャツも入れていきます。一応ブルーカラーとホワイトカラーがきっぱりしている国なので。

アンディ　そうなんですね。おもしろい！松本さんは洋服は自分で選んでいるの？だれかスタイリストが付いているとか。

松本　基本は自分で選びます。シャツが好きですべて生地からオーダーしています。時計を着ける腕のほうのカフスの長さを変えたり。胸ボタンの位置も2つ外したときにだらしなく見えないような位置にしています。

アンディ　それは相当な洋服好きですね。当然、会社に来るゲスト、取引先、ときには支援しているアーティスト、雑誌やＴＶの取材と、様々なシチュエーションのなかで変えていってるんですよね。

松本　ほんの少しですが。僕、軽薄なので軽くて薄い服がすきなんです（笑）靴も重い靴は嫌い。どれだけ少ないワードローブで済ますかを考えています。

【撮影／マネックス証券株式会社】

今年7月に引っ越したオフィスのエントランスロビーには映像作品、会議室には巨大なコンテンポラリーアートが飾られている。これは「ART　IN THE　OFFICE（アート・イン・ザ・オフィス）」というマネックスが5年間継続して行っている取り組みで、現代アートの作品案を募集し、社員と会話をしたり、会社のなかの様子を見ながら作品をつくっていくという、オフィスの中でアートを制作するというユニークなコンセプトでつくられた作品。
「現代アートの作品は世間の目に触れることが少ないのですが、私たちの会社の会議室が多くのひとの目に触れる"場"を提供しています。場の提供は証券会社のビジネスの本質にも通じるので、このプログラムを継続してやっています。オフィスにアートがやってくることで社員は新しい刺激をもらっています」（松本さん）


〈クレジット〉

松本　大さん
スーツ¥157,500＜ガイオラ＞、シャツ¥21,000＜CIT LUXURY＞、ポケットチーフ¥3,150 ＜ムンガイ＞、ベルト¥13,650＜アンドレア ダミコ＞（ともにB.R.SHOP TEL: 03-5414-8885）

アンドレア・ポンピリオさん
ジャケット（ボリオリ／コロネット TEL: 03-5216-6521）、シャツ¥29,400＜フィナモレ＞、パンツ￥36,750＜PT05＞ベルト¥23,100＜ティベリオ･フェレッティ＞（ともにB.R.SHOP TEL: 03-5414-8885）