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村重 達也
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村重 達也

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村重 達也

日刊紙「繊研新聞」記者

このブログでは、僕が仕事を通じて感じたことや学んだことなど、普段はあまり表に出ることのないファッション業界の今や今後を、つれづれとお伝えできればと思っています。

繊研新聞
http://www.senken.co.jp/

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更新を一時お休みします
Dec 01, 2008

私のブログを見ていてくださるみなさん。
ありがとうございます。

しばらくブログの更新をお休みさせていただきます。
また戻ってきます!

オトコ心
Nov 01, 2008

 「オトコ心は不況知らず」。
 これは先日、僕が繊研新聞の1面1ページを使って書かせてもらった記事のタイトルです。繊研新聞で毎週土曜日に掲載している、マーケットとビジネスの最前線を追ったリポート「販売最前線」という企画です。
 
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 「販売最前線用に何かネタないか」。編集責任者のデスクに問われて、考えていたときに、すぐ思いついたのが、この企画でした。今の厳しい経済状況のなかで、ファッション業界でも、なかなかこれまでのように簡単には売り上げを伸ばせなくなっています。
 そこで、さまざまなショップのバイヤーさんと「何が売れるんだろう?」とお互いに情報交換をし合っていて、よく話題に出るのが「男の美容マーケット」でした。
 デパートのメンズフロアには、男性のスキンケアやフレグランスのコーナーが“標準装備”と言えるほど、広がっています。セレクトショップでも男女問わず、コスメ関連のゾーンが出来てきました。実際、この不況のなかで、「メンズコスメだけは衰えしらず」で伸びているんだそうです。
 今回の記事でも、エスティローダーやロレアルなどの大手メーカーからデパートまで取材にお邪魔しましたが、どちらも売れ行きがずっと伸びているとのこと。
 最近では、ヘアケアとか、サプリメントにまで、市場が広がっています。
面白かったのは、メタボ対策なのか、「イムダイン」という美容サプリメントのブランドのプチ断食セットが男性に好評で、口コミで広がっているそうです。

 消費とか文化が成熟してくると、単にはやりのものが欲しいというよりも、自分自身を磨くことへの投資が増えるのは日本でも同じではないかと実感します。男性の格好良さの考え方も進化していくのですね。

“クール”ビズ
Sep 07, 2008

 8月も終わり、まだまだ暑いですが、汗が滝のよう、という季節は通り越したなという気がしています。
 そうして思い返すと、僕自身はこの夏、ほとんどスーツを着なかったことに驚いているところです。テーラードジャケットを着ているときも、インにはドレスシャツよりもポロシャツだったり、アメリカンスタイルのトレンドの流れも合ってジーンズにローファーにオックスフォードのボタンダウンシャツ(しかも洗いざらし)といったスタイルが本当に多かった夏でした。
 カジュアルやモードなスタイルで仕事をされる方も多いファッション業界で働いているから、といえばそれもあるのですが、昨年までは結構8月の猛暑のなかでも、パーティや記者会見などでスーツを着ていました。それが今年はめっきり減ったと感じています。
 ショップの方に取材していても、今夏は本当にドレスシャツからポロシャツやカジュアルなシャツにセールスの動きがシフトした、とおっしゃる方が多かったです。確かに、イタリアのファッション業界人などにインタビューする際にも、ポロシャツに白パンにジャケットといった出で立ちの方が今年は多く本当にスポーティなスタイルが男性の仕事の場でも市民権を得てきたな、と実感しました。(金融関係の方など、しっかりスーツを着られている方にも多くお会いしましたので、全部とはいえないとはもちろん認識していますが)。
 そして9月になるとファッションの業界は来年の春夏のお話が話題の中心になります。今年の傾向も合って、来年の春夏は「インコテックス」や「PT01」、「GTA」など有力なパンツブランドのほとんでショーツの新作が相次ぎ、ショップのバイヤーさんもこぞって、買い付けをされています。ジャケットでもシャツ生地のテーラードやカットソーのジャケット、インにもちょっとストリートな雰囲気のチェックシャツなどが、多くのイタリアブランドから出ています。
かつて国会議員の方が着ていた半袖スーツの激ダサさとはまったく別の次元で(当時の方ごめんなさい)、09年の春夏は本当の格好良いファッションとして、ショートパンツのドレスルックの商品が増え、今までよりも普及するのではないかと個人的には思っています。そうなるよう微力ながらも情報発信をしていきたいとも考えています。
 というのも、このスタイルには日本人の感性が生かせると思うからです。09年春夏の流れ自体は、ヨーロッパも含めた世界的な温暖化の傾向と、モードで今もっともメンズファッションをけん引する「ランバン」ブランドが薄く、繊細なスタイルで世界のファッションデザイン変えたこと起因していると言われています。しかし長いスパンで見ると日本の“お家芸”でもあると思うからです。
 今、春夏のスーツは日本では背中の裏地のない「背抜き」というスタイルが一般的ですが、これ、もともとはスーツの発祥の欧州にはなかったもの。日本の風土に合わせてアレンジして、それが世界にも徐々に広まっているのです。
 またモードの世界の話になりますが、かつて「コムデギャルソン」や「ヨージ・ヤマモト」が西洋文化の牙城だったパリコレクションに衝撃を走らせたジャパニーズモードの底流にあったのも、自然や風土と一体になった(リラックスした)シルエットやデザイン、着心地を大事にした和服の発想だったと思います。
 その意味で、暑いなかで必要以上の無理をせず、気候に合う着こなしやデザインを大事にすることは日本人の伝統的な感性とも言えるのではないかと思います。最近のエコの流れなどから考えても、「グローバルスタンダード」になり得るファッションなのではないかと思っています。
 長広舌を振るってしまいましたが、そんなわけで、世界的な温暖化のなかで、清涼なショーツやポロシャツを着ながらエレガントなドレススタイルの日本人が増えて、世界のファッション誌のスナップでファッションのお手本のように広まれば、うれしいなと思っている次第です。来年の春夏に向けて、多くの方と一緒に、エコで日本らしく、なおかつエレガントで格好良い、本当の“クール”なビズを考えていきたいと思っているところです。

偶然のトップサイダー
Aug 06, 2008

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 久しぶりの更新になってしまいました、すいません。
 最近、突然、雨が降り出すと、ものすごい豪雨ですよね。
 地球温暖化の影響なのか、分かりませんが、梅雨が明けたと思ったら、今度は東南アジアのスコールか、というほど。
つい先日も、レザーソールのローファーを履いているときに、豪雨に遭遇してしまいました。ヨーロッパなんかに行くと、リッチなビジネスマンは、高級なドレスシューズを結構平気で雨のなかでも履いているので、本来、レザーシューズを履いていても神経質になりすぎるのは良くない気もするのですが、それにしても豪雨が半端じゃありません。普通に歩いていても、アッパーまで水浸し。
そこで久振りにスニーカーを買いまして、履き替えました。買ったのは懐かしのトップサイダーのキャンバスデッキシューズ。コンバースのオールスターとか、着まわし(履きまわし?)の利くスニーカーなら何でも良いと思って近くのセレクトショップに入ったら、偶然見つけました。ご存知の方も多いと思いますが、かつて一世を風靡したトラッドスニーカー。おお、復活したんだ、と思って、すぐにこれに決めました。
本当に急場しのぎのつもりで買ったのですが、編集部に戻ってみると、「何か良いの履いてるね」と色んな人から声を掛けられました。やっぱり定番の力ってすごいなと改めて実感したというわけです。しかもちょうどそのとき、企画中だったのが、「秋冬の復刻ブランド紹介」。温故知新な時代なのですね。特に根っこが求められるメンズファッションには、色々と古き良きブランドがよみがえってきて、エキサイティングな時代でもあると思います。

God is in the detail
Jun 24, 2008

 「神は細部に宿る」。――僕がメンズファッションを専門にする記者の仕事を始めて、大きな影響を受け、一人前に育てていただいた先輩から教えられた言葉です。
この言葉、後に知ったのですが、建築家ミース・ファンデルローエの言葉だそうです。大好きな建築家なのですが、(お恥ずかしい話で)もともとは僕はこの言葉、服に関して教えられたのです。
 当時まだ(今もですが)若造で、ドレススタイルの着こなしもままならなかった頃、気張ってイタリアの高級生地ブランドのスーツを着て、悦に入っていたところ、「なっとらん」とその方に言われたのでした。もちろんなっとらんのは生地ではなく、僕の着こなしと知識のなさ。袖の本切羽、重ねボタンなどのディテールの演出もままならず、シルエットもフィットしていませんでした。素材が繊細でシャイニーなだけで、良いスタイルだと思い込んでいたとき、「変化の少ない男のドレススタイルの基本は細部。袖の遊びや靴とベルトの合わせ、シルエットなどで見せるもの。神は細部に宿ると言うし」と教わったのでした。ドレススタイルにこだわるきっかけの1つにもなった思い出です。
 この「細部に宿る」という感覚。実は日本の伝統的な美意識であるワビ・サビと通じるのではないかと思っています。ぱっと見て分かる格好良さよりも、さり気ない粋に美を見出すという点で。こういう細やかな感性が日本らしさではないかと思っています。その意味でオーダーのメンズドレスファッションは日本が世界に誇れる、細部の演出ではないかと思っています。
 世界ではクラシコイタリア、アメリカントラッド、ブリティッシュダンディズムなど、各国に特有の男のファッションがあります。では日本は何?というと残念ながら世界的に知られたジャパニーズメンズスタイルは確立されていないのが現状だと思います。和服の国で洋服なのだから仕方ないとも言われそうですが、ラーメンやパスタなどもともとは海外文化なのに、日本にしかないようなレベルにまで発展したカルチャーもたくさんあります。スーツもそうできないか。そんなことを評論家の方とお話したりします。
 そこでオーダー。実は欧米にはビスポーク(フルオーダー)とレディウエア(既製品)の大きな区分けはありますが、その中間的なオーダーはそれほどありません。日本のようにパーソナルオーダーやパターンオーダーといった形で、ビスポークよりもリアルプライスで、早く仕上げられるシステムをこれほど多くのブランドや店で確立した国はほとんどないと言えるでしょう。
 なぜなら作るファクトリー側からすると、個別にメイキングするというのは大変、面倒だからです。ファクトリーとすれば、同じようなものを大量に作るのが一番手っ取り早い。そうでなければ、完全に1人の人間が採寸して個人のために作れば良い、という発想になりやすいわけです。ところが日本の高級スーツファクトリーは、時間と手間を惜しまず、ハンドメイドも取り入れながら、パーソナルオーダーを受けられるよう努力します。この細やかさは日本の持ち味です。日本の交通機関がダイヤぴったりに動くように、勤勉な日本人の感性だからこそできる、お客様のための服作りだといつも頭が下がる思いです。良い悪いではありませんが、ヨーロッパのファクトリーではここまで細やかにはいかないでしょう。
 もちろん欧米のファクトリーには日本にはないような色気があったり、ハンドメイドにはやはり高価で時間がかかるからこそできる、なんともいえない優しくスマートなフィットとデザイン性があります。ですからどちらが優れているとは言えません。ただ日本のドレススタイルが世界に冠たるものとして、オーダースタイルは是非ともインターナショナルに花開けるものではないかと思っています。BR Order Madeスタイルとそのほか多くのブランド、ファクトリーに敬意を込めて。

メンズファッションへの感謝を込めて
Jun 06, 2008

初めまして。今回からBRブログに参加させてもらうことになりました繊研新聞編集部記者の村重達也と申します。どうぞよろしくお願いします。
とは言え繊研新聞社?、どこの誰?と思われる方々がたくさんいらっしゃると思いますので、まず初回は、僕が何者で何をしているのかをお話しながら、自己紹介に変えさせてもらえれば、と思っています。
繊研新聞社とは、ファッションビジネスの日刊紙「繊研新聞」を発行しているいわゆる専門新聞社です。繊研新聞は、朝日新聞の集配所から、朝日新聞などと同じように全国の読者の方々に毎朝、お届けしています。20万部を発行しています。

内容は、ファッションブランドやショップ、企業のビジネスの情報、例えばAというブランドが3年後に倍増の売上高をめざすことやその戦略だとか、ラグジュアリーマーケットの今など、日経新聞のファッションビジネスだけに特化した新聞とイメージしていただけると、お分かりになりやすいかもしれません。
またビジネスの一方で、ファッションショーの情報やシーズントレンドの分析なども行っています。最近では、ファッション業界の広がりに合わせて、生活文化産業全般に関するファッションやデザインのフリーペーパーなど、媒体を広げつつあるという状況です。この辺の情報を知りたいビジネスマン・ウーマンの方たち、また学生さんなどに読んでいただいています。

そんな繊研新聞の編集部で僕は、メンズファッション分野の編集・記者をしています。仕事柄、今面白い店はどこか、消費者の方に支持されているブランドや店は何かを常に探しています。あるとき聞いたのは、メンズのドレスウエア業界の方々のなかで有名なお店が神宮前の閑静な立地にあるとか。聞けば、小さな個店ながら大変な売り上げと人気で、「あんなユニークな店はほかにないんじゃないか」と言われるほど。早速、取材せねば、ということで初めてお会いしたのが、大和さんと今日まで、親しくさせていただくきっかけでした。

大和さんとよくお話するのは、もっと規模に関わらず、個性的な店やブランドが活躍し、若者のトレンドばかりではなく、欧米のように大人こそが本当におしゃれな文化、年を重ねることに熟成するメンズファッションの世界が広がらないか、ということです。そのためにメンズファッション業界と文化に少しでもプラスになるようなことができれば、と思っていた矢先、「それならブログで表現してくれませんか」というお話を頂き、こういう場を得ることができました。
このブログでは、僕が仕事を通じて感じたことや学んだことなど、普段はあまり表に出ることのないファッション業界の今や今後を、つれづれとお伝えできればと思っています。

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