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鶴岡秀子
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Special Meeting 鶴岡秀子さん

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町の再生なくして復興はない。「AD BOAT」

港町の再生なくして復興はない。
>AD BOAT

40オトコがより輝くための情報を
さらに磨きをかけて提供したい

40オトコがより輝くための情報を さらに磨きをかけて提供したい
>前田陽一郎

贈られた人の満足度100%の「フラワージュエリー」 title=

贈られた人の満足度100%の「フラワージュエリー」
>EIKA

Special Meeting スコット・シューマン title=

「THE SARTORIALIST」のスコット・シューマンが来日
>スコット・シューマン

Special Meeting 梶川 貴子 title=

豪華なハコ"では満たされない気持ちがある。結局やるのは人なんです。
>梶川 貴子

Special Meeting 團 紀彦

カッコいい服を着て、気取って歩ける。そんな街がもっと増えればいい。
>團 紀彦

Special Meeting 鶴岡秀子

経営のプロに訊く!コミュニケーションの上手な取り方。
>鶴岡秀子

Special Meeting 守屋Kスケ × 滝沢カレン

よきスタイリスト、よきライフスタイルのコーディネーターでありたいという思いが一致。
>守屋Kスケ × 滝沢カレン

Special Meeting 松下賢次 × 山本喜則

長年に渡り、トップアスリートを見続けてきたお二人に“一流とは何か”を伺いました。
>松下賢次 × 山本喜則

Special Meeting 植村浩

よきスタイリスト、よきライフスタイルのコーディネーターでありたいという思いが一致。
>植村浩

Special Meeting 丸山茂樹さん × 山本喜則さん

ファッションもライフスタイルも、こだわり抜くから楽しい。
>丸山茂樹 × 山本喜則・2

Special Meeting 丸山茂樹さん × 山本喜則さん

男である以上、多少ギラギラしている部分が必要だ!!
>丸山茂樹 × 山本喜則

Special Meeting 前田 陽一郎さん

“モテる”人は“ポジショニ
ング”が明確なんです。
>前田 陽一郎

Special Meeting 武田修宏 × 小川カズ

ファッションも自分の個性。
センスを磨く姿勢が大切。
>武田修宏 × 小川カズ

大事なのは“本番の共有”

ーー いま、企業は人材に対して諦めモードだと感じているんです。単に価格が安いということだけで勝負しようとしすぎている、と。それは人材にもその程度のものしか企業は求めていないのではないか、と。安い物を売る人材に高いレベルは必要ないと考えているのではないのでしょうか。だからロボットみたいな人材ばかりが生まれてしまう。

鶴岡 何年も前から、話しかけない接客というのが増えてきています。レジに人がいるだけでいいなんてつまらないですよね。

ーー 話しかけられたくないと思われている世代だって、ちゃんと心を込めて話しかけさえすれば、やっぱり話したいんです。人と話したくない人などいないはず。

鶴岡 話しかけ方や近づき方によるところが大きいですね。それを誤るとお客様は心を閉ざしてしまう。売らんがために近づいてきていると警戒してしまう。正直、売るものは二の次でいいと思います。

ーー “スタッフよりもお客様がたくさん話しているのがいい接客だ”と僕はよく話をします。

鶴岡 新入社員とすごく仕事のできる社員というのは似ているけど全然違う、というケースがあります。新入社員は何を聞かれてもわからないので打たれ放し状態。アレはどうなった、コレはないのか、と問われても答えられないから、結局お客様が一方的に話をしている状態になってしまいます。一方、できる社員になれない入社数年目の社員は話したいことがたくさんあるんですね。「この商品のスペックは……」、「今シーズンのトレンドは……」みたいにグワーッとしゃべりたいんです。でも、それはお客様にとってあまり必要のない話だったりするんです。で、できる社員というのはちょっと誘い水をかけるだけで、後はお客様が話をしている。遠目には新入社員とできる社員はともに話をしていないように見えるけれど、全然違う次元にいるんです。

ーー なるほど。

鶴岡 どの業界でも新しい商品のことを話したいし、売りたいんですね。でもお客様は新しい物だけを求めているわけではない。お客様が手に取った商品は5年も前から販売しているものだったとしても、その時に初めて見て感動しているわけです。それなのに店員の側が説明するのにも売るのにも飽きてしまっているというのは本当に残念です。

ーー わかります。

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鶴岡 お客様は、せっかく感動しているのに、違う商品を勧められると自分を否定されたような気分になってヘコんじゃったりもします。

ーー 買い物をする、というワクワク感を損なわせてしまいますね。

鶴岡 最新のスペックや、トレンドに熱弁をふるっても、店の中にある商品全部が今年のトレンドなんですから、お客様の心には響きません。彼らが求めているのは“本番の共有”なんです。

ーー それはどういうことですか?

鶴岡 お客様にとって買い物をしているときが本番ではないということです。つまり、売り場を出た後に本番がやってくるということ。例えば、大事な商談用に着ていくためだったり、子供のサッカーの試合観戦用だったり、海外旅行用だったり、もちろんそれ以外でも着るんだけど、「あのときに何を着ようか」と考えて来店されているのです。それをスタッフが会話の中で掴んで、お客様にとっての本番を共有できると自然と商品は売れて行くと思います。

ーー そういう部分、大事ですね。

鶴岡 保険業界で売り上げ世界一としてギネスブックにも載った女性がいて、日本人なんですけど、彼女を見ていてもそれがわかります。保険もアパレルと同じで今年のトレンドを強く推す傾向にあるんですね。でもそれが保険加入者にとってベストかはわからない。もう随分前に販売された保険なんですけど、それがその人にとってベストなのかもしれない。だから、加入者の本番を共有して、つまりどんなタイプの保険がその人に必要なのかを理解して、そこをちゃんと説明してあげなくてはいけません。結果、「この人は私の事をわかってくれている。だからココで入ろう」となるんです。

ーー 洋服も同じですね。お客様の着るシーンを想像できなくてはいけません。

鶴岡 その通りなんです。

ーー お客様の立場になれば、楽しくなければ話をしてくれないし、そのお店にいること自体苦痛になってしまいます。どれだけ感情移入できるかということだとも思いますね。

鶴岡 感情移入こそ本番の共有ですよ!

ーー 我々が扱っている服はウンチクが多いんですね。歴史とか、スペックとかが山盛り。で、そういうことにはめちゃくちゃ詳しいんだけど、人付き合いは少なくて、遊びにもほとんど出ない。そういう販売員はお客様に感情移入できないんですよね。経験値が低すぎて。だから、スタッフにはいろいろな経験を積むように言っています。お客様に遊びに連れて行っていただく、何てことも積極的にお願いしています。

鶴岡 ゴルフやったことないよりやったことがあった方がいい。歌舞伎を観たことないよりも見たことがある方がいい。引き出しが多ければ多いほどお客様がポロッと言ったことに反応しやすい。そこに小さいながらも共感と信頼が芽生える。そこから始まるんですよね。

ーー あと、いろいろ経験を積んでいくと本番(大舞台)に強くなっていくというのもあります。そうなると自分がわからないことがあっても相手から聞き出す能力が備わりますね。経験が少ないと、わからないことがあると萎縮しちゃって話が尻つぼみになってしまいます。だから場数を踏むというのはいいことだと思います。チェーン店の1杯300円のコーヒーを3杯飲むよりも、高級ホテルの1杯1000円のコーヒーを飲んでみる、とか。

鶴岡 ホテルでも同じことが言えますね。1泊1万円のホテルに10回泊まるよりも1泊10万円のホテルに1回でもいいから泊まってみる。その方が経験豊かになる。つまりそれは経験を買っているということなんです。もちろん、金額だけではないとは思いますけど。高価な洋服それ自体が偉いんじゃなくて、それを着ると何だか周りの人が自分を注目しているような気分になってワクワクします。実際、自分を見てくれている人もいて、それは服じゃなくってワクワクしている自分が魅力的だから見ているんだと思います。そこに価値があるんです。

ーー 高揚感が他人に伝わるんですよね。でも、そういう経験をしたことのない人にはその感覚がわからない。

鶴岡 その通りだと思います。コミュニケーションには本番の共有、感情移入が大事なんですね。

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