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2011.02
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前田 陽一郎

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前田 陽一郎

雑誌「LEON」副編集長

ここではレオンを日々作っていて思うこと、もしくは掲載できなかったけど個人的に買ったものや、興味をもったこと、レオンをさらに楽しんでいただくための裏読みの方法(ここが一番読んでもらえそう!)また至極個人的趣味までを、ブログというより、コラムとして書いてみようかな、と。 (ネタには困らないと思うのですが、元来の筆不精、というより無精者なので、どれほど続くかは不明ですが…、お付き合いくださいませ)

雑誌「LEON」のホームページ
http://www.shufu.co.jp/
magazine/leon/

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LEON
ファッション専門誌でもクルマ専門誌でも時計専門誌でもありません。いつまでも艶っぽさを失わない「モテるオヤジ」のためのクオリティ・ライフ実用誌です。

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モテる男は両極が好き?Vol.2
Feb 28, 2011

前田 洋服も、今年買ったモノと10年前に買ったモノをどうやってミックスさせようかなぁ、と考えたり。

大谷 それは今後の『LEON』のテーマにもなり得る?

前田 どうなんだろうねぇ。そういうメンタルな部分はあってもいいかな。そういうモノの考えが隅にあったうえで新しいものを紹介していく雑誌だと思うから。

大和 じゃあ最新のもなら何が欲しいですか?

前田 それこそクルマでいえば電気自動車でポルシェよりも加速がいいといわれている「テスラー・ロードスター」かな。近々発表されるはずの「アウディ イートロン」もいいよねえ。これは両方とも資金さえあったら欲しい(笑)。けど、「それらを除いて欲しいクルマは?」と聞かれたら、「’60年代から70年代前半のクルマが欲しい」って素直に答えると思う。’90年代半ばを過ぎるとクルマのベース技術は完成されてしまっていると思っているのね。だからいま現在所有しているクルマはすべて‘90年代のものだったりするわけだけど、それは今のクルマが駄目、という事ではなくて、いっそ最先端のクルマを手に入れるなら、未来を感じたいというか。

大谷 クラシックカー好きの人は「手がかかるから可愛い」と言いますが、前田さんもそんな感覚ですか?

前田 いや〜ないですねえ(笑)。モノは絶対に手がかからないほうがいいし、壊れないほうがいい。何度も言うけど、僕はマニアじゃないから、クルマは壊れないほうがいいし、洋服は着れたほうがいい。極論すれば、生地とか縫製に拘るのはとっても大切な事だけれども、それ以上に見てくれが今っぽいほうが絶対大事だと思ってる。だから僕自身はあんまりオタク的発想で洋服は選ばないし、靴だってグッドイヤー製法がいいと言われていても実用で考えれば「マッケイで十分でしょ」と実は思っている。

大谷 確かに、靴をオタク的に集めている人でお洒落な人がなかなかいないのと同じなのかも。

前田 それ自体が悪いことではないけど、要はバランスが大事だと思うのね。クルマやバイクも古けりゃいいってものではなく、そこには僕自身、見た目の格好よさは絶対に欲しい。今日着ているレザーのコートだってヒエラルキーの外側だよね。レザーコート自体、そもそも着ている人がいないわけで(笑)。

大谷 見たことないですよ!

前田 でしょ! で、「どこの?」と聞かれたときに、「ロエベ」って答えたら、おそらく10年先も間違いなく「アッ、そうなんだ!」とくるはずだし、きっとレザー製品のカテゴリーにおいてこれからもトップ・オブ・トップの座に君臨し続けると思うのね、このブランドは。それもヒエラルキーの外側に居るっていう事のひとつだと思うんだよね。

大谷 それこそセンスかもしれないですね。

大和 前田さんって、そういうのが上手だなぁって思いますね。結局、前田さん自身がお洒落に着てようが着ていまいが、それがとてもお洒落な事のように周りが感じてしまうから。

前田 この「ガガ」にしてもクォーツではなく機械式時計で、なのにデザイン的に遊んでいて、しかも値段がそこそこ、っていうバランスがいい。そのうえこんな時計はそもそもないから、ヒエラルキーの外側に居られるわけで、それが面白いと思ったんだよね。高級ジュエリーだって同じで、上を見るとキリがないでしょ。だけど腕元を飾るものっていうのはアイデア次第で色々なものがあるわけで。B.R.SHOPでも扱っている「チャン ルー」や「オヴィリ」なんかは“ジュエリー”“メジャーアクセサリー”というヒエラルキーの外側に居るものだから楽しいんだよね。ここにヒエラルキーが生まれれば、次にまた違うものを探すだろうし。

大和 トレンドを作り出す人に必要な発想なのだけれども、権力の争いになっていきがちなモノを巧妙に目線を変えて動かしていく、というか。

大谷 なるほど。いつの間にかこっちのほうが格好よくなっている、みたいな。

前田 人の目が動き始めるわけじゃない? そこでまた自分が動いていって、また盛り上がっていけばそこに新しい市場が生まれるだろうし。

大和 古いクルマもある意味そうですよね。フェラーリやベントレー、マセラティが集まっているなかでも、「僕は‘70年代のポルシェに乗ってます」って言えば、それがいくらで購入したものであったにせよ、確実に「おおぉ~」って反応がかえってくるはずですからね。

前田 同じなんだよね。アウディのR8を買って「乗りたい、乗りたい!」っていう気持ちと、‘60年代のトヨタ・スポーツ800に「お~、乗りたい!」っていう気持ちっていうのは。それに対する投資額と出会いのタイミングの違いだよね。アウディはディーラーに行けば買えるけれども、“ヨタハチ”は買いたくても買えないものじゃない? そこにはモノの値段はまったく関係なくて、それを所有しているということに意味があるわけで。まあ、でもどっちがモテるかって言ったら、やっぱりR8のほうがモテる(笑)。

大和 ヨタハチで喜んだ女の子がいるとしたら、相当マニアックですよね。

前田 ハハハハ、だよね(笑)。エアコンもないクルマで喜んでくれる女性がいたら、その人は相当変態だね。

大谷 でもこの“ヨタハチ”、手に入ったら通勤にも使うつもりですか?

前田 もちろん! 

大和 不思議なのは、それらに乗って楽しめる時間が果たして、多忙な前田さんにあるのかなと。

前田 ないよね~(笑)。

大和 前田さんがいま現在時間を割いている趣味ってなんですか?

前田 今は自転車かなぁ。そもそも組み立てる楽しみがあるからね。

大谷 一緒に走りに行く仲間はいるんですか?

前田 いや、自転車もオートバイもクルマも、誰かと一緒ってことはほぼないなぁ。ツーリングも誘われて行くことはあっても、自分からはないし。そもそも僕にとっての趣味って、一人になれる時間という意味が強くってね。完全にひとりになって無口に没頭する時間って、大人になるとなかなか無いじゃない? それができるのが趣味の時間なんじゃないかな。常に人と接する仕事だから、より一層一人の時間が大切なのかも。よく人から、「いつも仕事のことを考えていそう」なんて言われるけど、確かに帰宅途中のオートバイで走っているときに考えたりはするけれど、実際は集中力って20分位しか続かなくて。次の日が休みだったりするともう、どうでもいいことがどんどん頭に浮かんできちゃう!「家に帰ったら自転車のブレーキ調整しよう」とか「最近動かしていないオートバイのエンジンかけようかな」とか。だから休日の僕なんて、ヤバいですよ。朝から晩までガレージにこもって、延々と工具をもって機械と格闘してる(笑)。思うようにいかなくてひとりでイライラしてみたり、思うようにいったらニヤニヤしてみたり。エンジンを掛けると30分くらい近所を走って、またふらふらガレージに戻ってきて、一人でドライシガーをブワ~って吸って、30分ボーっと過ごして。その間、な~んにも考えてないもん。座禅みたいな世界だね(笑)。もはやモテる、モテないの話ではなくなってきてるね(笑)

大谷 完全に無の時間があるのは確かに意外かも! 仕事柄、常にアイデアや企画が頭を巡っているのかと思いました。これだけ男っぽい趣味に没頭できる前田さんがこの業界でも兄貴分として好かれているのも、なんだか分かる気がします。しかも結果、モテてる気もしますよ。一人の時間が過ごせるって、大人な感じがしますもん。あまりに没頭して放っておかれると女性としては寂しいですが(笑)

大和 僕は一人でいると常に会社の事を考えちゃいます(笑)。

前田 もう完全に趣味の事になっちゃったね。モテとは離れた話になっちゃった(笑)

大谷 いつもの事です(笑)。今回もありがとうございました!

10年後も現役なはず?のロエベのレザーコート。

FLAT HEAD&COのデニムシャツは10数年前、SANTACROCEのデニムは3年前に購入。洋服も年季が入ったものと新しいものをミックスさせるのが楽しいそう。

モテる男は両極が好き?
Feb 26, 2011

友人から真っ赤なトヨタ・スポーツ800、通称“ヨタハチ”を購入することになった前田さん。送られてきた写メールに思わず笑みが。実はヴィンテージカーフェチ?
いえいえ、単なる旧車マニアではなく、そこには深~いコダワリが隠されているんです。

大和 しっかしこの“ヨタハチ”珍しいですよね。

前田 あ、ちなみにまだ「購入した」わけじゃないですよ。大阪の友達から「手に入れた」という連絡があって思わず「オレに譲ってくれ!」って言ったら「じゃあ見にきてくださいよ。レストアの方向性を打ち合わせしましょうよ!」って。要するに今は友達のだけれども、いずれ(近いうち)にはこっちに回ってくる確約をとった、という段階で(笑)。

大和 というか、そもそも思わず、でそういう展開にはならないというか(笑)。前田さんってヴィンテージ好きでしたっけ?

前田 そもそも古いクルマは好きなんだよね。社会人になって最初のボーナスで買ったクルマがMG-Bだったくらいだから。

大谷 イギリスの古いスポーツカーですよね。

前田 自分と同じ歳の‘69年式のね。当時は自分なりにモディファイしたくて、給料のほとんどを修理やカスタムにつぎ込んでた(笑)。それくらい、好き。いちばん最初に乗った車は祖父がワンオーナーで乗っていた’71年式のビートルだったんだけど、まだ学生だったから友達のツテでクルマ屋さんのガレージを借りては車高を落としたりして。そうして考えると、自然に古いクルマと接してきたかな。

大和 バイクも古いのを買ったり?

前田 バイクもかなり乗ったな~。‘70~’80年代のものが多かったかな?

大谷 ヴェスパとか、ですか?

前田 ヴェスパは今も乗ってるよ。でもそれほど古いものではなくて、PX200っていうモデルで‘90年代後半のもの。昔乗っていたのはヤマハのTX650やGX750、それにホンダのCB750FBとか。結局一番長く持っていたのは定番のヤマハのSR500だったけど。

大谷 全部あげていったらキリがなさそうですね。

前田 確かにね! でも、だからといって僕はマニアじゃないです。とにかく乗り物が好きなだけ。だからいつも古いものと実用的な新しいものはもちろん、荷物が積めるものとそうでないスポーツカーのようなもの、オフロードとオンロードのように、とにかく両方持っていたいっていう贅沢な願望があって(笑)。自転車も、ロードレーサー、BMX、近所の山の中を走るためのマウンテンバイクにダウンヒル用のフルサスペンションモデルも持ってます。バイクなら通勤にはBMW、オフロードを走るためにヤマハの TY250Zってのも持ってます。けれどもスクーターの楽しさっていうのもあるから、ヴェスパもず〜っと持ってます。

大谷 その台数はスゴイ! 前田さんって結構な趣味人なんですね。

大和 クルマも何台か持っていますよね?

前田 もうアホですね。クルマはクラシック・ミニがあって、ジープ・チェロキー、それにポルシェの993。

大谷 そして次に手に入れようとしているのがこのトヨタ・スポーツ800ですか!

前田 クラシック・ミニは僕の中では“旧車”じゃないからね。根本的に古いものが欲しいな、とはずっと思っていて。未だにオートバイもクラシックなやつが欲しいなあ、と。とにかく常に両極を楽しみたいんです。ほんと、おバカさんです(笑)。

大谷 それってファッションでも同じですか?

前田 そうかもね。スーツを着るときにはちゃんと着たいし、デニムなら上下デニムがこなせる男でいたいっていうのはずっと変わらないから。なににしても、両極がきちんと楽しむことができれば、その中間を楽しむ事もできるっていうのは持論かも知れない。

大和 それにしても前田家のガレージは凄そうですね。

前田 いろいろ溢れかえってます(笑)。

大谷 手入れがされた昔のクルマは、どこか品がありますよね。特に前田さんみたいにワイルドな人がクラシックカーに乗っているとそのギャップにドキッとしますね。格好いい最新のスポーツカーを何台も揃えて乗っている人とか40代の富裕層に多いですが、それだけだと、あまり魅力的には感じないんですね、私は。逆に、古いモノの良さをきちんと理解したうえで実際に乗って楽しんでいるほうが最新のスポーツカーしか知らないより断然格好いいよく見えますし、何より知的な感じがします。

前田 そう?! 基本、古いものって女子ウケは悪いけどね(笑)

大谷 それは納得! お尻が痛くなりますから(笑)でもあえてミーハーなクルマに手を出さないところが前田さんらしいかも。

前田 いやいや! オトコ目線でいえば相当ミーハーだと思うよ(笑)。ただどっちにしてもヒエラルキーの外側にはいたいんだよね。人って常に比べられるわけじゃない? それを、自分のキャラクターとモノで出来る限り外側にいるっていう姿勢でいたい。価格が高いとか安いとか、早いとか遅いとかいった単純な判断には巻き込まれたくない。

大和 まさにお金じゃなくてセンス、ですか?

前田 まさに(笑)!。これも例え話なんだけど、僕は冬はテレマークスキーをやるんだけど、これもまた上手かろうが下手だろうが「テレマークをやっている」と言うだけで、大半の人たちのヒエラルキーの外側に居られるわけ。それにマイノリティでいることって案外、周りが優しかったりするのもいい!

大谷 それまた珍しい趣味ですね。

前田 高級車はやっぱり魅力的ではあるけれども、ツウな人が見ても「それを選んだんだ。いいよね」って言ってもらえて、一般の人から見ても、「いいですよね」って言われて、クルマ屋さんでも「乗り続けたほうがいいですよ」って言ってもらえるクルマを沢山の選択肢のなかから自分なりに選ぶのが好きなのかもね。だから空冷最後のモデルであるポルシェ993に乗り続けるし、チェロキーにしてもリミテッドの最終版に乗り続けたい。一般的なヒエラルキーを十分理解したうえでその半歩外側にいると、独自の立ち位置でいられるかなぁ、と。

大和 なるほど。

モテる男は仕掛けが上手い!?
Feb 02, 2011

ファッション業界の人が集まれば必ず『LEON』掲載の反響の話になるほど。そんな大人のファッションを牽引し続ける流行の仕掛け人、前田さんが考える2011年のトレンドとは?今回はいつになく!?ちょっぴりマジメにファッションの話でお送りします。

大和 今回は前田さんが考える、2011年春夏のファッションを語っていただこうと。

大谷 あっ!でもあんまり喋っちゃうと、『LEON』本誌のタネあかしになってしまいますよね!

前田 まあ、話せる範囲で(笑)

大和 じゃあ、言ってもいいかな、というトコロまでで!

前田 漠然としているんだけど、今までのちょっと抑え気味だったモノをほんの少し開放する春になってほしいな、と。たとえば、シャツなら個人的には白いシャツが好きなんだけれども、そこにバリエーションがほしい。シャツ一枚でファッションを楽しめる5月以降でもここ数年は、ポロシャツ以外に選択肢がなかったように思うのね。

大和 たしかに、そうですよね。

前田 去年だったらチェックシャツやダンガリー、ウチなんかだと半袖シャツを仕掛けたり。けれどもそれ以外を考えると、色ぐらいしかバリエーションがなかったでしょ。みなさんは「え、他にあったっけ?」と言われると思うんだけれども、実はシャツってすごく多彩なバリエーションがあると思うんですね。小紋もあればストライプもあるし、花柄やレーンスプーナーのようなプリント柄だって楽しい。長袖はもちろんだけど、半袖や七部袖だってバリエーションだと思う。ポロシャツにしたってベーシックな半袖のそれは所詮形状であって、鹿の子と言う素材に着目すると、それできちんとしたシャツを作ったっていいわけでしょ。ラコステの“ビジポロ”みたいに。今年の春もファッションの軸になるジャケット&パンツのスタイルをいろんなシャツで楽しんでみてもいいんじゃないかなあ。

大和 なるほど!

前田 それとは反対に、柔らかくなり過ぎたものを少しカチッとしてみたいのも気分。ノータイでOKな場面でも、タイドアップしていたほうが格好いいとか。レオンで言うところの“楽ジャケ”も、着心地は楽なんだけれども、見た目までは楽ではないモノ、要はシャープな印象のものと言うか…。ともかく全体の印象としてここ数年ファッションは中庸なところに軸があるから、もう一度、中庸から枝葉を分け直すタイミングにきてるのかな~、と思う。

大和 なるほど。僕がバイイングしていて思うのは、“楽”は春夏まで引きずると思いますが、秋冬からはもう一度、きちんとサルトリアジャケットを着る、という流れは来るんじゃないかな、という気はしていますね。それは急にスーツに切り替わるという事ではなくて。前田さんの言う通りみんな楽に慣れてしまっているから、着心地は極めて楽なのに、ちゃんと見える洋服、というのが注目されてくるでしょうね。

前田 それと自分の中で、ずっとデニムが気になっていて。2010年の10月号では『波乗りデニムのこなし方』という特集をやったんだけれども、この春あたりから“インディゴ”が一つのキーワードになっていくような気がしてます。例えばそれは厳密にデニムでなくても、シャンブレーやインディゴ染めのコットンでもいい。なんかあの“デニム感”みたいなものがほしいんですね。金ボタンの紺ブレなんかもいいなあ。

大和 ベーシックなカラーといえばここ数年ずっとホワイト&グレーでしたからね。

前田 そうそう。

大和 ちょっとネイビーが恋しい感じはありますよね。

前田 デザインもそうだけれども凄くベーシックなのに、そこにデザイニッシュなモノを入れてみるとかね。来季のGUCCIをみてもスーツやジャケットは非常にしっかりとした作り方をしていて、男好きするデザインなんだけど、その中に着ているシャツは総柄のキザっぽいものだったり。いい意味でいやらしい、セクシーな感じが新しい。その感覚に近いよね。

大和 分かりますね。カーゴとかライダースジャケットといったスタイルに加えて、もう少し色気のある方向に振り戻しが来るんじゃなかなぁ、と。

前田 そうそう!色気ね。男っぽさも勿論大事だけど、色気は気になるところだよね。

大和 そうですね。

前田 しかもそれが‘70年代のグラマラスとも違う、もう少しスマートさを伴ったもの。

大和‘70年代のスタイルはビジュアル的には格好いいけれども、実際はめっちゃ疲れる(笑)

前田 だからリラックスとか楽チンであるということは絶対大事! どちらにせよいろんなスタイルが混在するシーズンであることは間違いないかもね。去年から引き続き“サファリ”はキーワードになり得るし、“軍モノ”も当たり前にあるし。でも、一貫して楽チンであること、みたいな。

大和 それはありますね。次の流れは春夏にちょっとずつ仕掛けて行って、秋冬で一気に来る、そんな気がしますね。

前田 大きく変わるのは次の秋冬あたりだね、現実的には。

大和 でもそうしてコツコツと仕掛けていくのが前田さんというか、今のレオン流ですよね。街を歩いていても、みんなこぞってカーゴを穿いているじゃないですか。これだけカーゴパンツを流行らせたのはスゴい! ある意味これもレオンが作り出したスタイルですよね。

前田 一生懸命作りました(笑)

大和 一年半くらい前から言い続けていましたよね。

前田 そうかも(笑)。ただ僕らは間違っても流行を作ってやろう、なんてことは思ってないですよ。自分たちも含めて読者のみなさんがきっと格好よくなれるものを、そう信じて提案しているだけ。ま、そんなことを続けていくことが雑誌の役割だと思うし、そうすることで信用も得られると思っているけど。

大和 ここにきて、来ましたよね。変な話、うちの店でもカーゴだったらどんなものを仕入れてもすぐ売れます。「インコテックス レッド」にしても「PT01」にしても。

前田 へぇ~、そうなんだ! どれもよくできているからね。

大和 そうなんですよね。

前田 でも、天の邪鬼な僕は今年はいかにカーゴパンツを履かないで今っぽくするか、という事を考えてます(笑)。だから替わりにデニムをよく穿くかな。上下ともにデニムとかね。それにジャケットを合わせてみたり。とにかく冒頭でも言ったように、今はジャケット&デニムのバリエーションにすごい興味があって、自分でも研究中です。

大和 リアルダンガリーが爆発的に売れることはないんですが、シャンブレー素材のウェスタンシャツはもう売れてます。

前田 そうなんだよね。冬物の場合は、素材感の相性がいいからね。

大和 ところでどこのデニムが面白いですか?

前田 どこのっていうのは、ないなぁ。むしろブランドを探している最中。ウチのクライアントさんのデニムは当然、ひと通り持っているし着回すけれど、今から20年くらい前に古着屋さんで買った、あの色落ちしたリーバイス501を手に取った時の感覚は忘れられないよね。当然、今あらためて古着のそのまんまを穿きたいってわけじゃないけれども「デニムってやっぱりオールマイティでいいなぁ」という気持ちにあらためてなりたい。

大和 それを彷彿とさせる新しいデニムって、本当にないですよね。でも前田さんが今日穿いているのはどこのものなんですか?

前田 これはディーゼルのストレッチスキニーの一番細いタイプ。

大和 パンツ全般にはなにか感じるものはありますか?

前田 う〜ん、もう少しシルエットをゆったりさせてみてもいいかな、とも思うな。ここ3年近くレオンでは裾幅18cmのテーパードをみなさんにはオススメしてきたんだけれども、それはそれとして新しいバリエーションとしてヒザ上ストレートも気になる。当然クッションもいままでハーフクッションだったのを少し深めのワンクッションにしてね。

大和 おっ、それは新しいかも。つまりジャケット&パンツの着こなし方に見た目の印象、それからそれに伴ったデニムの活用範囲、パンツのシルエットなんかもこの春から新しいものが出てきそうな予感、と! この春を境に、前田さんの服がアップデイトされていくのが楽しみです。

前田 ハイ、頑張ってみます(笑)。

ジャケットはB.R.Practical Style
パンツはBottega Veneta
靴はヒロシ・ツボウチ

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