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special meeting
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B.R.SHOP Special Meeting Vol.002

<ゲスト>有限会社エス・エス・アンド・ダブリュー 代表取締役 齊藤正二郎さん

--日本でシアトルスタイルのエスプレッソとかカフェというのは、具体的にはどういうものなんですか。

齊藤:消費者の選択幅が広い。シアトルでは凄いんですよ。牛乳まで全部変えますから。2%、4%、ノンファット、コーヒーはオーガニックとか。ホイップを入れるとか入れないとか。トムクルーズはエスプレッソ4杯入れるのが好きで、そのスタイルを真似する人。人様々ですね。店名の「ダブルトール」というのも、注文の仕方が粋というものを知ってもらいたくて付けたんです。日本でラーメンが流行っていたときに、慶応大学の横にラーメン二郎という店があって、行ったことがないとなかなか注文ができないんですよ。日本人の若いコたちって、それこそオレだけが知っているという注文の仕方っていうか、あそこに行くと大W辛辛みたいなのを知らないと何が出てくるかわかんないし、注文の仕方が英語でシングルショートだったり。いまだに、スターバックス行って注文の仕方が分かって頼めるのが格好良かったり。そんなことも将来、流行るかなと思って。でも、一番やりたかったのは塗料とか、雰囲気ですよね。カフェ文化を変えられるっていうか。

--店舗の雰囲気はたしかにカラーに大きく影響されますよね。

齊藤:スターバックスはそれですごく成功していると思うんです。実はスターバックスと同じ色で1店舗塗ってみようとしたことがあるんですよ。ところが、ペンキ屋さんにスターバックスを観てきて同じように塗れと言っても、 質感とか色身の違いがはっきり出るんですよ。日本の職人さんは、初めはできるというんですが、フタを開けてみると、その人には格好良く見えても僕たちには違う。海外と色の見え方が違うってことを分かっている日本の方ってスゴク少ないんで。だから、この原宿店の店舗も、後ろの壁を僕が塗りました。赤い壁をワザとムラにぬったり。あの鉄さび色は日本で調合してもなかなか色が出ないので、向こうの水性の塗料持ってきたんです。まあ、壁だけですけど。まだ全部塗り終わっていないんですよ、実は。そんな訳で、渋谷の店舗もリニューアルしていて、先週、デザイナーと一緒にシアトルに行って来たところです。

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--「ダブルトール」エスプレッソの独自性はどんなところですか。

齊藤:牛乳って味を包んでしまう。牛乳を入れると何でもまろやかになるじゃないですか。その牛乳に味が勝てるコーヒーの豆はそうないんですよ。焼き方にしろ。そこを気づいているお客さんがまずいない。僕がそういうことをいったところで、誰も信じないですし、誰も観たことがないから。飲み比べると面白いんです。美味しいマズイじゃなくて、よそのコーヒーとうちのディアルテの豆を使ったコーヒーを飲んだ後に、よそのを飲むと牛乳の味しかしなくなるんです。コーヒーは珈琲の味が残ってなんぼなんです。それが美味しいんですよっていう定義ができればいい方向でいけると僕は思っています。豆のひき方も、熱で味とかが逃げてしまうんで、熱で逃げない優秀なグラインダーも、これから試みたいと。そいうことでエスプレッソを中心にやりたいので、新しい渋谷の店はエスプレッソを3種類選べるようにします。苦味が弱い物から濃くなっていく3段階ですね。で、最終的に中毒症となると飲みたくなる一番濃い味は、ここ原宿本店でしか飲めないというスタイルにしたいんです。

--でも日本ではもっと簡易的なカフェが主流ですよね。
オーダーも簡単で、紙コップを使っているし。そういった点では、齊藤さんの展開するカフェは陶器のカップでサーブするし、オーダーのときにも客の好みを引き出さなければならない。

齊藤:まず、口当たりで味は変わると思います。僕はコーラが大好きで高校生のときに1リットルのコーラの瓶を持ち歩いていて、女子高生が僕のことをバカにしてコーラ君と呼んでいたんですが、あのガラス瓶の口当たりが僕は一番美味しく感じるんです。紙コップは紙のニオイがしますし、口当たりが悪いし。うち家族の会社は元々、製紙会社なので、そいういう点では紙にはすごく興味がある。アメリカのリッドって日本では見たことがなかったじゃないですか。アイスの商品でも半ドームの透明のやつに大きな穴が空いていて、その上からホイップのクリームをじゅーっとのせたりしますよね。アメリカのビジュアルはスゴイですよね、ビジュアル的にはいいと思うんですが、口に入れたときには紙より陶器のほうが旨いと僕は思うんです。オーダーの仕方もわからない方が、質問してくれることでコミュニケーションが取れる。もちろん、そいういう接客力が重要なんですが。

--僕の場合、お客様にお会いして、職場や本宅におうかがいして、そのなかで何が好みなのか完全に把握して、定期的に販売にうかがう。ビジネスだけでなく、取材を受けるなどのメディア対応用にもコーディネートを依頼されるんです。お店で売っているということだけじゃなくて、お客様との関係を造り上げて、パーソナルに対応するという販売があるんですが。洋服のジャンルとか洋服にあんまり興味がないけどファッションには気遣わなければならない、会社を経営していて忙しいから洋服を選んでいる時間がない、何か公の場に出られるということでのコーディネイト。それらに対する需要って非常に大きいと思うんです。

齊藤:すごくそれは必要だと思うんですよ。外国かぶれかもしれませんが、西洋では小さいときからTPOで服を考えさせられて、色目もネクタイ、シャツ、上着、靴だって、小さいときから教えられているというか。最近、企業のトップでTシャツを来て堂々と出てくる方がいますが、あれは西洋のトップクラスのなかではあり得ない。日本は文化や今のしきたりを壊すだけで、その先の道がない。そういうファッション文化の形をつくってあげたほうがいいと思いますよ。

--確かに壊している人が目立っているのが現実ですが、そういう人の姿がメディアで多く露出していると、逆にこれでいいのかな? と考える人も増えていくと思います。いまは成果主義を強調している時代です。確かに私も経営者ですので、成果主義の重要性は理解できます。でも、時代を作ってきた先輩達に対して、無条件で敬意を表わすことも重要ではないかと思います。服装もそのひとつの形ではないかと思うんです。私は、B.R.SHOPを通して、そのことも訴えていきたいと考えています。そして最近の報道を見て、同じことを考えている方も少なくないと思っているんです。

齊藤:日本には昔、華族があって、一般庶民があって。そのボーダーラインがあるからこそ身なりを整えた。ところが今の日本には正装するべき場でも、Tシャツを着ることが格好いいという感じているだけであって、そいうソサエティななかでさえ日本は崩れてしまっている。総中流階級という意識を思っているだけで。今の若いコは奇抜な誰も着ていない格好をしているだけであって、それがバランスが取れているのかということが分かっていなかったり。いま、その代表者が誰もいないハズなんですよ。いまをときめくトップたちは、お金を持っていて何でも買えるかもしれないですけど、昔の日本人はお金では買えないものの価値を知っていた。上には上があるということもわかんないで、今の若い子たちは止まっているという。あれだけお金持っててもTシャツ着ていて、図太くて格好いいというのも分からなくはないんですが、それ以上に、いい格好してでてきた方が、ビジュアル的に格好いいほうが格好いいと。そのあたりをアドバイスしてほしいですね。

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