———「ペルノイ」のグローブ

松尾健太郎さんは、Men's EXの編集長時代から、ファッション界の“目利き”として知られる存在。昨今はマーケティング優先でイージィに作られたアイテムも少なくありませんが、たとえネームバリューはなくとも、マジメな商品哲学のもとに作られた、“真のクラシック”となりうる良品にこそ目を留め、誌面などで紹介することに務めていらっしゃいます。その審美眼に共鳴するB.R.ONLINEでは、そんな彼自身に、いま注目するさまざまなアイテムやイベントなどをご紹介していただく、『EDITORS CHOICES』を始動。第１回目である今回は、ありそうでなかったショート丈で人気を博すファッショングローブ「ペルノイ」の魅力を松尾さんなりの視点で語ってもらいました。

昔からグローブが大好きで、冬場は常に携帯しています。防寒性を求めてというより、男の冬のお洒落に欠かせないアイテムと考えているのかもしません。ペッカリー製やディアスキン製などをいくつか所有していますが、着けたり外したりが頻繁なアイテムだけに、す〜ぐなくしてしまう（笑）。だから最近では手にはめないときは、コートやジャケットの胸ポケットにチーフ代わりに挿すようにしています。

【コートの胸ポケに手袋を挿すのは、イタリア男の定番テク。一気に洒脱な雰囲気になります。着用するポロコートはマリオ・ペコラにてオーダーで仕立てたもので、素材はゼニア製のカシミア100％。】

昔からイタリアのお洒落なかたがたがやっていたテクで、これが男っぽいアクセントになってかっこいいんですよね。実は以前に、写真家、スコット・シューマン氏の有名なファッションシューティングブログ「The Sartorialist」に私を取り上げていただいたことがあるんですけど、それもおそらく、“グローブ挿し”のテクを評価されてのことだったんじゃないかと思います。

【ジャケットの胸ポケットにチーフ代わりにイン。「コンパクトなサイジングだから、ジャケットに挿しても違和感ありません。もっともジャケットは、ツィードやフランネルなど、手袋と馴染む素材感のあるものでなければダメですが」（松尾さん）。】

「ペルノイ」は、そんなグローブ好きの私の心を一発でとらえました。まずいいのが指先のハート刺繍のギミック。じつはこれ、特殊な刺繍糸を使用しており、手袋を外さなくてもスマホやタブレット端末の画面をスライドさせることができるんです。暇さえあれば取り憑かれたようにスマホをいじっている人間としては本当にありがたい。刺繍をハート形にした茶目っ気にもそそられますね。 続いてサイジングも秀逸。インポートのグローブは手の幅で合わせると指先が余ってしまいがちなのに、これは日本人の手をよーく研究してリサイジングしており、指の短い私でも先部分が余らない。ぴったりフィットするグローブはそれだけでとても心地いいものです。
しかしこのグローブで最も語るべきポイントは、やっぱりこの絶妙なショート丈、そして手首部分のカッティングでしょう。最近の時計はビッグフェイスのモデルが多く、手袋をすると収まりが悪いのですが、ペルノイは、ショート丈に加えて裾にカーブをつけているため、手首部分で時計と干渉しない。どころか、グローブの裾をめくらなくとも腕時計の時刻が確認できる。この工夫も、現「時計Begin」編集長としては見過ごすことはできません（笑）。手首にアクセサリーが欠かせないという人にとっても、ここは大きな魅力となるはずです。

【愛用時計、ジャガー・ルクルトのレベルソは、グランデサイズ。「普通の長さのグローブだと時計がすっぽり隠れてしまいますが、ペルノイはショート丈に加え、裾にカーブが与えられているため、いちいち裾をまくらなくとも時刻が確認できます。これは便利」（松尾さん）。】

もちろん、コンパクトですから、胸ポケに非常に挿しやすく、他のグローブほどモッコリしないのもメリット。これならデニムのヒップポケットに挿してもバランス良くきまるでしょうね。
というわけで私、せっかくたくさんのグローブを持ってるのに、この冬はペルノイばっかり着用しそうです。

【ブルゾンのときはバンダナ感覚でジーンズのヒップポケットへ。男らしい後ろ姿を作ります。】

松尾さん着用のペルノイは、【家庭画報ショッピングサロン】にてお買い上げ頂けます。

＜本日の松尾さんコーデ＞

【ベルベストのジャケットに、ヤコブ・コーエンの688、そして靴はエドワード・グリーンでした。ツボを押さえたアイテム選びは、さすが元Men’s EX編集長。まさに上品カジュアルのお手本といった感じのコーディネーションでした。】

Text 吉田 巌（有限会社十万馬力）／ Photo 鈴木 泰之