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———「バルスタリーノ」のスウェードブルゾンと「ペッレ モルビダ」のボストンバッグ


松尾健太郎さんは、Men's EXの編集長時代から、ファッション界の“目利き”として知られる存在。昨今はマーケティング優先でイージィに作られたアイテムも少なくありませんが、たとえネームバリューはなくとも、マジメな商品哲学のもとに作られた、“真のクラシック”となりうる良品にこそ目を留め、誌面などで紹介することに務めていらっしゃいます。その審美眼に共鳴するB.R.ONLINEでは、そんな彼自身に、いま注目するさまざまなアイテムやイベントなどをご紹介していただく、『EDITORS CHOICES』を始動。第2回目である今回は、“大人のトラベルスタイル”というお題のもと、松尾さんがお気に入りのブルゾンとバッグについて語ります。




松尾健太郎

松尾健太郎・まつおけんたろう

1965年、東京生まれ。雑誌編集者。 男子専科、ワールドフォトプレスを経て、 ‘92年、株式会社世界文化社入社。 月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、 以後クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。 ‘05年同誌編集長に就任し、のべ4年間同職を務める。 現在、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、 及びメルセデス マガジン編集長。


今回は“大人のトラベルスタイル”というテーマのもと、2つのアイテムをご紹介したいと思います。最初のアイテムは、私がこよなく愛する「バルスタリーノ」のスウェードブルゾンです。言わずと知れたイタリアを代表する大傑作ブルゾンですが、この服はトラベルウェアとしても実に使い勝手がいい。そのひとつの理由としては、クラシックなアイテムならではの“品”を保っているからだと考えます。

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【ドレスシャツの上にバルスタリーノを羽織ると、ともするとオジサン臭い雰囲気となってしまうことも。「ボクはすでにオジサンなのでまったく気にしていませんが(笑)、もし洒落っ気を注入したいのなら、こんな具合に首回りにスカーフを巻くといいでしょう」(松尾さん)。】


そもそも私は、出張のようなビジネストリップじゃなくとも、旅行にはドレッシーなアイテムを幾つか持っていくのが正解だと思っています。たとえば行き先が海外のビーチリゾートだとしたら、大抵の日本人はカジュアルな服しか持って行きません。そして現地ではTシャツ+短パンといったゆる〜い格好で通してしまう。でもヨーロッパの人はそうじゃない。バカンスと言えど、ちゃんと襟付きシャツやチノパンなども鞄の中に忍ばせている。そして夜にディナーに繰り出すときはそれらでドレスアップする。こういう節度が大人のトラベルスタイルに欠かせないと思うんです。
そしてバルスタリーノは、それ自体にドレッシーなニュアンスがあり、もちろんドレスアイテムとも相性がいい。だからアレコレと服を持って行けない旅ではとても重宝する。ちなみに何年か前にバルスター社の本社を訪れ、アーカイブに残る1930〜40年代のスナップ写真を見せていただいたことがあるんですが、昔からイタリア人はこのブルゾンをタイドアップスタイルに合わせることが多かったようですね。靴はもちろんドレスシューズです。他のブルゾンでこれを真似したら間違いなくオッサン臭い格好となってしまうのに、バルスタリーノは絵になる。本当に不思議なブルゾンですよね。

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【裏地がないのはバルスタリーノの特徴。おかげでレザーブルゾンでありながら長い季節に渡って着用できます。「旅先でシャツ一枚じゃ肌寒いと感じたとき、カーディガン感覚でサラリと羽織れる。旅に本当に適したウェアです」(松尾さん)。】


トラベルアイテムとしてもうひとつ紹介したいのが、仕事仲間でもある干場義雅クンがクリエイティブディレクターを務める「ペッレ モルビダ」のボストンです。実は私、これの元ネタとも言えるバッグを干場クンとお揃いで持っているんです。今日持ってきた古めかしい鞄がそれ。“RAVIZZA”というミラノの老舗アウトドアショップで売られていたもので、ジッパーなどを使っていないところを見ると、おそらく19世紀後半ぐらいの鞄のデザインをそのまま踏襲しているんじゃないかと思います。

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【8年前にミラノの老舗アウトドアショップで購入したボストンがコチラ。クラシックなディテールが満載なところを気に入ったそうですが、使い勝手はいまひとつ。】


こういうクラシックな鞄を持って旅に出掛けたらカッコいいし、旅気分も盛り上がるに違いないと購入したんですが、荷物を取り出す際にいちいちベルトを外さなければならなかったりと、いかんせん使い勝手が悪くて(笑)。肉厚な革を使っているから、重たいのも辛い。
干場クンもそう感じていたようで(笑)、「ペッレ モルビダ」でこんな鞄を作ってくれた。クラシックなデザインですが、さすが現代のバッグだけあって随所が非常に使いやすく仕上がっています。“元ネタ”同様にフラップをベルトで留めているように見えますが、このベルトは簡単に取り外せる構造となっており、メイン室へのアクセスも簡単。しかもこれだけ贅沢なレザーを用いていながら非常に軽いのもいい。

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【デザイン性にも気を使いながら、使う人の利便性にも十分に配慮した、細部にまでこだわった仕様が魅力。】


もっとも実用性を考えたら、さらに軽量なナイロンバッグや、タイヤつきでゴロゴロ転がすことのできる小型トロリーなどに分があります。でも何度も言うように、大人のトラベルスタイルには一定のドレス感が必要ですから。
もちろんこのペッレ モルビダのボストンとバルスタリーノはとても相性がいい。イタリアの古風な鞄からインスパイアされたデザインだから、イタリアのクラシックブルゾンが合うんでしょう。こういう時代感を揃えた組み合わせというのは、ファッションではとても重要なこと。これから私の出張や小旅行には、この2つのアイテムが欠かせなくなりそうです。

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【松尾さんが今一番気になっている「ペッレ モルビダ」のボストン。 どこか優雅さを感じさせるデザインも受け、男女問わずすでに大人気です。】


松尾さんおすすめの「ペッレ モルビダ」ボストンバッグ(Medium)は、【家庭画報ショッピングサロン】にてお買い上げ頂けます。



<本日の松尾さんコーデ>

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【“大人のトラベルスタイル”という今回のテーマに合わせたコーディネーション。チフォネリのスーツのジャケットをバルスタリーノのブルゾンに置き換えています。寒い日だったのでフライのシャツの上にジョン・スメドレーのベストを噛ませ、首元はエルメスのスカーフでエレガントに。靴はセールで買ったばかりというロイドフットウェアのスエードブーツ。持っているバッグはもちろんペッレ モルビダです。】



Text 吉田 巌(有限会社十万馬力)/ Photo 鈴木 泰之

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