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梶川貴子
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Special Meeting 梶川貴子さん

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港町の再生なくして復興はない。
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40オトコがより輝くための情報を
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贈られた人の満足度100%の「フラワージュエリー」 title=

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よきスタイリスト、よきライフスタイルのコーディネーターでありたいという思いが一致。
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Special Meeting 丸山茂樹さん × 山本喜則さん

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Special Meeting 前田 陽一郎さん

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ング”が明確なんです。
>前田 陽一郎

Special Meeting 武田修宏 × 小川カズ

ファッションも自分の個性。
センスを磨く姿勢が大切。
>武田修宏 × 小川カズ

心身共にボロボロで考える気力すらなかった。
そんな時に出会ったのがスパだったんです

B.R.大和(以下ーー) 本日はよろしくお願いします!

梶川貴子(以下、梶川) こちらこそ、よろしくお願いします!

ーー 梶川さんは企業コンサルタントをされていたご経験がありますよね。経歴からされると自然なことだと思いますが、スパ事業に集中されたきっかけは?

梶川 もともと私自身、スパ好きではあったのですが、たまたまとある会社を整理しなければいけない時期があったんですね。それがもの凄いストレスで激ヤセしちゃったんです。それで東京にいたくない一心で海外のスパに行くことに。楽しみというよりは朝ヨガをして数週間滞在するというのんびりしたステイでしたね。

ーー その頃は、心身ともに疲弊されていたんですね。

梶川 そのうち自然と気持ちも身体も回復している気がしたんですね。なんて言うのでしょうか。人のパワーを感じる瞬間があるのだな、と実感しました。それで日本に帰国して「どうしようかな」と思ったとき、偶然にも声がかかったのがウィンザーホテル洞爺湖の再生プロジェクトでした。

ーー ミシェル・ブラス氏をシェフに迎えたことで話題になりましたよね。

梶川 今でこそ有名ですが、当時はみんなが「失敗するよ」と言っていたプロジェクトでした。それまで二回破綻していますし、ホテルとして上手く運営できるかどうか自信はありませんでしたが、ミシェル・ブラスと京都の摘み草料理で有名な美山荘をメインで招致するという事にすごく興味を持ったんですね。それはどちらかというと足し算よりも引き算の概念。そういうコンセプトのホテルだったらサービスとしてスパがあるといいですね、という提案をしました。オーナーからも「ホテルとは別に出資をするから、好きにやって」と言っていただいたので、スパを作るに至ったんです。

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ーー なるほど。ではスムーズに進んだんですね。

梶川 それが、とても大変でした。なにが大変かと言うと、私はスパやエステは好きだけれども、あくまでゲストの立場なんですよね。好きだから作れるわけではないので、スパコンサルトになる人を探し求めてシンガポールまで行きました。それでラッフルズホテルのスパを立ち上げた方がいらして、頼むことにしました。けれども上手くいかなかった。開業の日は迫るし、トレーニングは終わらない。ひとり東京に戻って、プライベートで散々通いつめたスパのオーナーに片っ端から電話をして「一生のお願いだから私を助けて!人を出してください」ってお願いしたんです。そのなかのひとりにトレーナーをお願いして、やっと立ち上げました。

ーー 日本と海外のスパでは現実と理想のギャップがあったということですか?

梶川 そうなんです。初めはそれに気づきませんでした。やっとお客様が来てくださるところまで漕ぎつけて「こういうのが日本にもようやくできたのね」と言ってくださったんです。それはもう嬉しくて嬉しくて。はじめて「これは必要なサービスだ」と確信しましたね。それから一歩ずつ進んでいったんです。

ーー 宮崎シーガイアの再建をされたのはそのあとの事ですか?

梶川 そうです。ファンドから再建の話がありました。私の故郷が宮崎なので、これも一つのめぐり合わせかな、と思ったんですよね。当時、ファンドが探していた人間のスペックが、ホテルマネジメントを理解していて、お金の事も分かる、英語が喋れる人。それで引き受けることになったんです。そこにスパを導入することになりました。バンヤンツリーは世界的に有名なスパなので、ここさえ確保すれば上手くいくと思ったんですね。で、意外とそうでもなかった。「海外のスパといっても大したことないじゃん」と、ふと気づいたんです(笑)結局やるのは人なんですよね。だとしたら、もっとベーシックな人材育成や、日本の環境に合ったスパのコンセプトをやるのも面白いのかな~と思い、東京に帰ってきてまず、スパスクールを作ったんですね。

ーー なるほど。以前の経験が思わぬところで繋がったのですね。

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梶川 そのときも偶然ではあったのですが、プリンスホテルにファンドが入った時期で、ホテルにスパを作るかどうかを検討する委員会のアドバイザーになったんですね。数か月後、突然電話で「軽井沢プリンスでスパを運営することになったので、引き受けてください」と言われました。それまで一人で会社を経営していたので、慌てて増資をして、社員を雇いました。何人かにあたって理解してくれそうな人に個人資金で投資をしていただいたんです。厄介な金は入れない、というスタンスでした(笑)

ーー 僕もそうですね。それでオーナーシップを保っています。厄介なお金が入ってくると結局は自由にやれないから、自分で会社をやっている意味がなくなってしまう。

梶川 そうなんです。作り上げていくのは簡単な投資とは違うので、プロセスや志を理解してくださる方でないと、逆にこちらのストレスになってしまいますから。ご理解くださるかたにお手伝いいただいて、広がって、今に至っています。

ーー 素晴らしいですね。どのタイミングで初めても、誰もが通る道ですもんね。

梶川 自分で立ち上げた以上、納得が出来るものに仕上げたい。そういう気持ち、ありますよね?トリートメント一つとってみても、どんなゲストがいて、どういう期待に応えるべきかをかなり突っ込んで考えます。

ーー どれ位のペースで新メニューを導入されているんですか?

梶川 半年から一年はかかりますね。一般の海外ホテルスパで行っているメニューは導入しています。ただ、ゲストは働いている女性や、社会的に活躍されている男性経営者が多いので、単なる筋肉疲労をほぐすだけでは「期待にこたえていないな」と思う瞬間はあります。それでもっと効果があるもの、結果が出せるものをやってみたいと。最近、サロンでお勧めしているのがエッセンシャルオイルを作る過程で生まれる、フローラルウォーターを水で希釈するして飲むメソッドなんです。


外資系スパはハッキリ言って高い(笑)
そこに一石を投じたかったんです

ーー アロマを飲むんですか?

梶川 そうなんです。フランスではエッセンシャルオイルを飲む、刷り込むが医療行為として行われているんです。

ーー 聞いたことがあります。フランスはアロマに関してはすごく進んでいるんですよね。

梶川 オイルを追及されている医学博士がいらっしゃって、彼女としては広めたいけれども、いい加減な使い方をされると効果が出ないので、展開するパートナーを探していたんです。そこで「ぜひやらせてほしい!」とお願いして、どういう手技にするか徹底的に話し合いました。

ーー やはり目に見える効果はハッキリあったのでしょうか?

梶川 最近の例ですが、軽井沢のスパのゲストで更年期に悩んでいらした年配の女性が訪れて施術を受けられたところ、翌日には生理が来た、ともの凄く喜ばれました。またひどい不眠に悩んでいたライターの方も「何か月ぶりかで熟睡できた、生き返ったよう」とおっしゃって帰っていきました。そういうお声がどんどん出てきているんですね。悩みを抱えている方ほど、反応がクリアに出ます。生活でのストレス、疲労が溜まるのは避けられないものがあると思っています。婦人科系の疾患が増えたり、不眠や鬱であったり。そこを普通の状態にリセットできるのがスパだと思っています。

ーー なるほど。梶川さんの実体験がそこに生かされているんですね。僕の場合、何にいちばん興味があるかって、人なんです。いろいろな人間に不安があり、回復の仕方も色々とあると思うのですが、コミュニケーションによって元気になる場合って多々あるんですよね。僕の中では"服=コミュニケーション"。何かのきっかけで元気になっていただけるといいなと思ってセレクトショップをやっていますが、実はうちで服を買っていただく方で、どんどん出世していく方がとても多いんです。

梶川 それはすごい事ですね。

ーー リピーターの方が自分のネットワークで人を連れてきてくれるようになって。そういうことをきちんとわきまえて服を売っているのと、単に流行っているからで売っているのとでは、買う側の感じ方も違うと思います。

梶川 それはすごくよく分かります。軽井沢のスパを立ち上げたときはちょうど外資系ホテルのオープンラッシュのとき。メディアの方に「随分、安いわね」って言われたんです。私は適正価格を付けたつもりだったんです。日本にある外資系ホテルのスパは高すぎます。オープン以来、値段は一切いじっていないのですが、逆に客単価は毎年ちょっとずつ上がっているんですね。当初、60分受けてとてもよかったから次は90分、次はパッケージを受ける、という流れで非常にリピート率が高いですね。本当にありがたいことに、ゲストの中にも応援団のような方がいらっしゃるんです。いつも楽しみに来てくださる方がいて、新しいトリートメントを開発すると真っ先に受けてくださり、お知り合いをどんどん連れてきてくださるんです。

ーー 僕のお店でもスタッフは接客のため、お昼に行けない時があります。それをお客さんや取引先の方が気づいて、全員分のお弁当を買ってきてくれるんです。それは本当にあり難いことです。なのでビジネスでもっと成功して、恩返しをしないといけないという気持ちはあります。

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ーー 接客のスペシャリストを育てるべく、サロンの中で実践されていることはありますか?

梶川 スタッフ全員が日替わりで日報を書くようにしています。私はとにかく毎日、スタッフの日報を読むのですが、「こんなゲストがお見えになりました」「こんなご要望でした」「もっとこんなことをできればいいと思う」という意見をセラピストが書くのですが、ベテランにはベテランの、一年生には一年生なりの気づきがあって、それをずっと見ながら「次は、これやろうよ」と言いながらサービスを改善したり、新メニューのアイデアを出し合っています。

ーー 僕もそれに似たような事をしていますね。徹底的にスタッフと話をする。スタッフのモチベーションが上がることだけをやって、逆にやってはいけないことだけを徹底的に言っています。

梶川 スタッフは有名なホテルスパから移ってきた人間も多いのですが、どうしてかと聞くと、「やりたいことをやらせてもらえない」と言うんです。グローバルなのでメニューも型もすべて決まっている。もっとこういうことをして差し上げたいという願望が強くなったセラピストたちがうちのサロンに口コミで応募する方もいます。逆にうちにいたスタッフがいまイタリア・ミラノのブルガリホテルのスパに勤務しているのですが、うちでやってきたことがグローバルスタンダードで評価されるのは嬉しいねって、スタッフどうしで話をしているんです。奇抜な事や、日本でしか通用しない事をしている訳ではなく、目の前にいるゲストに対していかに応えていくかを考えた結果、段々に認められてきているのかな、と。新しいことをする時は必ずドクター、栄養士、運動療法士に相談します。だから新メニューの開発に一年かかってしまうんです。

ーー 時間もかかりますが、革新に繋がっていく。終わりがないでしょうからね。僕なんか典型的に右脳型でモノを考えるタイプなので、イメージが思い浮かぶと、体が先に動いちゃう。分析はあとからやる、みたいなところがあって。けれども見返した事と最初のイメージが段々ぶれなくなってきた。そこが経験なのかなって思います。

梶川 早くそうなるといいな~、と思っているんですけど。

ーー 僕も会社を始めた当初は結構な重圧から、狭いところが怖いと感じるようになってしまって、アロマの知識をつけたんです。それで今もアロマの小さなボトルを持ち歩いているんですよ。

梶川 そアロマって不思議で、元気な時は必要じゃなかったりするんですよね。元気な方が嗅いでも「いい香りだね」で終わるんですが、本当に極限まで疲労が溜まった方は香りだけでパッと反応があるんですね。海外出張が多く、ずっと張りつめていらっしゃる方にいくつかオイルをお勧めしたところ、「体調が良くなった」と言っていました。その方は強度の緊張があるせいか話が弾んでいくと、顔がどんどん険しくなっていくんです。それほど張りつめている方だったんですが、最近は普通の状態でお話になっていて、奥様に「まるで人が変わったようだ」って言われたんです。それからご夫婦で来てくださっています。

ーー 僕ももともと性格は楽観的なのですが、そんな状態になったということにかなりショックを受けました。

梶川 頑張る人ほどそういう時期は避けられない。実はうちは男性ゲストも多いんです。セラピストは分かるらしいですね「大きな会議があったな」って。女性は育児や仕事のストレス。皆さんサロンでは、たくさん話して帰られます。

ーー そうなんですよね。洋服を買いに来て、メインは話すことという方もいます。だからとにかくお客さんの話を聞くという接客を心がけています。そうすると通ってくださるんですよね。梶川さんにも重度な極限状態はあったんでしょうか?

梶川 やはり会社をたたんだ時ですね。海外のファンドが急に日本から手を引くことになり、雇った人もすぐクビにしろという話になった途端、パートナーとして今まで一緒にやってきたCEOが逃げたんですよ。会社にこなくなったんです。人を信じられなくなったのがとてもショックでした。

ーー それはキツい状態ですね。

梶川 信じてくださったパートナー企業の方がいらして、沢山夢を持った社員がいて、泣き言を言っている場合じゃない。でも私に何ができるの?と言う状態で、会社をたたむ報告をしに、故・藤田田さんのところに行きました。会社のアドバイザーでいらしたので、情けないけれどもこういう状況になりましたという報告をしたら、「今、どうしてるの?」と声をかけてくださって。まず、「眠れているか?」と、「食べているか?」それだけおっしゃったんです。その時初めて自分が全然眠れていないことに気づいたんですね。前回会った時と形相が変わっていることに気づいて、多分そういうことをおっしゃったんでしょう。話をしたら「あなたは人前で元気でいなければならないので、寝ることが仕事だ」とおっしゃったんです。それに「人にきちんとした形でやめていただくのに、いくら必要なんだ」と聞かれたんです。「最後は出すから、まず眠りなさい」とおっしゃったんです。本当に救われたようでした。泣くだけ泣いて、そこから少し元気が出て、一人一人と面談をしました。そのとき、志があるお金でないと、大変な思いをして関わってくれた社員が一番傷つくことに気が付いたんです。冷静さを欠いて、適切なことを決めるだけのパワーがない状態に陥ってしまったんです。

ーー 特に梶川さんほどのキャリアが、それはショックですよね。

梶川 自分の存在自体が世の中に意味がないと思いましたね。ぼ~っとしている状態で、見るに見かねた周りに「海外にでも行ってきなさいよ」とすすめられて、出会ったのがスパでした。よくたどり着けたな~、と(笑)

ーー 結果的には必然だったんですね。

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