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special meeting
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B.R.SHOP Special Meeting Vol.005

<ゲスト>株式会社フォリアル 取締役 中村達也さん

--通販チャンネルは、マスに向けてということになりますよね。売れるものをどういう風につかむか、その部分に一番重点を置かれているのではないでしょうか?

中村:そうですね。マス、一般のお客様の感性にいかに近づけるかですね。今関っているTVショッピングチャンネル『QVCジャパン』は視聴可能世帯が一千万以上と言われているですが、1枠30分という番組時間は視聴者に向けたプレゼンなんです。テレビの目の前にいる何万人に対して商品をプレゼンし、そのうちの何人が納得してお財布をカチャッと開く……そのカチャッと開く瞬間がすごく楽しいといいますか。テレビは当然「動き」が勝負なので、プレゼンの仕方によって電話の数があっという間に変動する。例えば、サプリメントを売る場合ですが、「これはお腹がスッキリしてとても良いんですよ」と言い続けてもさっぱり売れない。次に、このサプリメントを飲んでやせたという人を登場させて「とても良かったんです!これで私はやせました」と言わせる、でも売れない。最後に何をやったかというと、その飲んだ人をしゃべらせることなく、横に向かせてお腹を上から下にさすらせたんです。それだけで売上げが10倍に変わるんです。そこが見た目にうったえるテレビならではであり、また難しいところでもあるんですね。男性なのに女性に物を売っているので、多分、感性、感覚がズレていることがたくさんあると思うんです。だけれども、なるべくお客様と近い感性をもっていなければいけない、近づけなければいけないんですね。

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--なるほど。

中村:通販というのは、お茶の間にいながら物を買うという部分において、店で買うのとは違う。お客様にとっては、わたくし中村という人間がテレビを通じて自分にプレゼンしているような認識なのかなと思うんです。ただし、仮想ターゲットは常に考えるようにしています。そのお客様、たとえば三重県在住の佐藤さん(55歳)を想像する。最近はご主人との会話も減ってきて、15時くらいに買い物に行って16時くらいに犬の散歩に行って、だけど家の中でゴロゴロして、テレビを見ながらポテトチップスを1袋食べていたらいつの間にか肉がついちゃった主婦……その人に向けて“じゃあ、サプリメントを売ろう”と(笑)。

--我々ファッション業界というのは、ある意味対極にあるんですよ。大衆化が非常に危険な商材なので、マスにいけばドンッといくかもしれないけれど、逆にすごく危険という。

中村:商品開発などにユーザーの声を取り入れることは?

--ユーザーの声はもちろんあります。ですが、そういった手法で物作りをしていったら、どこもみな同じ物を売っているじゃないかという状態になってしまって。ユーザーは実は欲しい物をわかっていないというか、やはりそこを提案してあげるのが販売のプロで、そこにお金が生まれるのではないかと思うんです。今って、物の差別化もありますが、お店の差別化の方が大きい。ジャケットが欲しいからジャケットが多い店に行くのではなく、どこの店で誰に接客されてどういう風に買うか、重要なのはこの部分なんです。特にお金がある人にその傾向がありますね。富裕層といいますか、そういう方々に向けていろいろなサービスをしているうちに、うちで買うことに対して多少のステイタスを感じていただけるようになりまして。噂が広がり、先日は某有名IT社長の所に行ってきました(笑)。どこに向けたファッションかにもよりますが、うちの価格帯で“ユーザーの声ありき”の作り方をしてしまうのは危険なことなんです。お客様の中で“こういうのが欲しい”って蔓延した物をつくったら、もう遅い。半歩くらい先を見据えて、そこで“なるほど”と思っていただく。後は、そのお客様の時間をどれだけ有効にしてあげられるかなんですね。

中村:たしかに、我々とは逆ですね

--そうなんです。あとは、男性に売っている、女性に売っているという、この差もすごく大きいと思いますね。女性に売るとなると、例え対象を富裕層に向けていても、マスを意識した方が良い気がする。男は、基本的に皆さん仕事をしているわけじゃないですか。“エグゼクティブが良い服を買っているゾ”みたいな噂が広がれば“俺もその仲間入りしたいゾ”みたいな感じで広がっていくことがあるんです。それが女性になると“みんな買っている”“すごく流行っている”などの共感のキーワードがメインになる。そこに“私の体型はこう”とか“私はこの色は嫌い”とか、パーソナルなものが必要になってくるんですよね。

中村:男性に物を売る時は、理論武装する必要があるのかなと。カタログ見るのが好きだし、スペック見るのが好きだし。女性にはなにを武装したらいいのかがわからない。逆に、女性に物を売る場合は、ロジックなことを言うとダメですね。テレビでも途端に売上げが落ちていきます。ポリフェノールがどうのとか言うと“ああ、わからない"“ああ、難しい"となってしまう。これを「ポリフェノールが赤ワインの何十本分ですよ」とわかりやすく言うと、またグーッと上がっていく(笑)。とにかくわかりやすさ、見た目のカワイイかどうかが重要。

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