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Backyard Talk Vol.006
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Backyard Talk vol.006 バルバのシャツはなぜいいのか?
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吉田/最近急速に評価を高めているバルバ。このナポリのシャツは、一体なぜいまこんなに人気なのか? そこのところを今回の座談会では考えてみたいと思います。特別ゲストにバルバのインポーターであるリデア企画の神藤さんをお招きしました。
大西/人気の理由を考えるというより、素直に神藤さんに教えを乞いたい(笑)。なんでバルバはいいのか、と。
大和、吉田/同感です。
神藤/なんだかプレッシャーを感じますね(笑)。私が考えるに、まずバルバってすごく研究熱心なんですよ。常にトレンドを先取りしたような生地を選択しているのはもちろんこと、見た目やフィッティングの向上のために、パターンや縫製を常に微修正している。毎シーズン、まさにミリ単位で調整している感じなんです。
大和/07年SSからは最近の細身傾向を考慮した“ブラックレーベル”をスタートさせましたね。おかげさまでウチでも大人気ですよ、あのライン。

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神藤/バルバを細く着たいという人は前からいらして、そういうかたがたはあえてワンサイズ下げて着ていたようですが、それだと脇やウエストがどうしてもキツくなってしまいます。だからそんな無理をしなくてすむよう、適正サイズを選んでも、ちゃんと各部がタイトにフィットする細身仕様を作ったんです。
吉田/これ、日本マーケットからの要請で生まれたものですか?
神藤/それもあるでしょうが、いま世界的に見ても細身のシャツは売れる傾向。とくにイタリアではそれが顕著なんです。そもそもバルバというブランドはちょっと変わっていて、経営者である兄弟がモデリストを務めているんです。で、その二人が揃いも揃って痩せている。社長を務めるお兄さんのほうが40歳代前半で、弟が30歳代前半だったと思いますが、二人とも身長175cmくらいで、お兄さんがサイズ46、下はサイズ42の服を着ているんです。
吉田/完全に日本人体型だ。
神藤/そう。だからブラックレーベルは、彼ら自身が本当に着たいシャツとして誕生したという側面もあるんです。
大和/シェイプがとにかく美しいですよね。そしてしっかりゆとりがあって、細身なのにパツパツじゃない。本当に巧みなサイズバランスに仕上がっています。

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神藤/モデリストである彼ら自身が痩せているから、どこをどうすればキレイな細身に仕上がるか、体験上わかっているんですね。それと、彼らは本当に良く研究していますよ。日本に来た時も、ずっと日本人の体型を鋭く観察し続けていますから。
大西/サイジングもそうですが、“面(ツラ)がいい”というか、高級なシャツに見えるところもバルバの魅力ですね。
神藤/ひとつには職人の手縫いを多用するなど、仕立てがしっかりしているからでしょう。中でも圧巻は襟の作りです。たとえば襟を中央で半分に折り曲げ、左右の襟羽根を重ねたとき、バルバの場合、カタチはもちろん、柄や生地目までぴったり合います。こうなるのは高級なシャツでもなかなかないんですよ。大抵は微妙にずれるもの。あと、台襟の裏側がバルバはとてもスムーズなのも特徴。生地が波打っておらず、ぴしっとしています。
吉田/あ、本当だ。ツルンとしていますね。アールのキツい部分だから、どうしても台襟の裏側は波打つもんだと思ってましたよ。
神藤/こういう風に仕上げるのは凄く難しいんです。こうした丁寧な仕事が、着用時の端正な佇まいにつながっているんですね。

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大和/曖昧な表現になってしまいますが、個人的にバルバには他のシャツにはないセンスの良さを感じます。ナポリのシャツでありながら、都会っぽさも漂わせていると言いますか。とても洗練された雰囲気がある。
神藤/それは彼らの血でしょう。じつは経営者兄弟はあのキートンの血族。幼い時から極上の正統派ナポリ・テーラードに触れているわけですから、これはもうDNAに美的センスが擦り込まれているようなもんです。加えて、何度も言いますように、研究熱心ですからね。ヨーロッパで評価が年々高まっているのはある意味当然でしょう。実際イタリアではいま、同クラスの高級ドレスシャツの中でトップの売れ行きです。
吉田/ブラックレーベルの登場で人気に拍車がかかったんじゃないですか。
神藤/たしかに。すでにイタリアの洒落者たちの間では定番ラインとなっています。
大和/でもちょっと悔しいなぁ……。
吉田/何がです?
大和/じつはボク、バルバが日本に入ってきた当初の10年前から買い続けていて、いまたぶん200枚以上持ってるんです。
吉田、大西/そいつは凄い!
大和/だからブラックレーベルをもう少し早く作ってもらいたかった。今になってバルバの良さに気がついた人が、うらやましくてなりません(笑)。

神藤 光太郎さん

神藤 光太郎さん

フライ、バルバ、キートン、クルチアーニなどのエージェントをしているリデア企画に勤務。営業という肩書きを越え、マルチに活躍するお方です。イタリアに精通し、足掛け3年ほど在住経験もあり。好きなものは、時計、自転車、おいしいものを食べること、そして美しい女性鑑賞(!)と、こちらもイタリアの伊達男そのまま。

吉田 巌

吉田 巌

ライター/有限会社十万馬力

服、靴、鞄、そして時計、と男性の物欲を刺激するアイテムについて何でもかんでも書きなぐっているライター。イタリアのバイクが好きで、生死の境をさまよう事故に遭いながら、懲りずにベスパでリハビリ中。東京で1番好きな場所は新宿ゴールデン街。遅筆。

大西 陽一

大西 陽一

ファッションエディター/RESPECT

エディター的視点からスタイリングのできる希少な存在として、雑誌や広告など幅広く活躍する売れっ子。守備範囲はメンズファッションだけにとどまらず、インテリアやクルマ、雑貨までにも及び、親しみやすいほがらかな人柄が多くの編集者から愛されています。趣味の写真の腕前は相当なもの。

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