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Backyard Talk Vol.024
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Backyard Talk vol.024 世界中のバイヤーが秘かに目をつけている「TIBERIO FERRETTI」のメッシュベルト
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ミラノの街を颯爽と歩くイタオヤさんたちの姿を見れば、巻き物やベルトといった小物づかいが本当にウマイ!お洒落を考えたときにやれパンツだ、ジャケットだ、スーツだと大モノばかりに目がいきがちですが、何気に小物づかいって見られているんですよね。
今回は「ピッティ・イマジーネ・ウォモ」で秘かに話題となったベルトをご紹介しちゃいます。実はミラノに世界中のバイヤーたちがこぞって買い付けに集まるショールームがあり、ここからトレンドが生まれるといっても過言ではありません。
そのショールームオーナーがいち早く目を付けたのが実はこの「ティベリオ フェレッティ」のベルト。なんでもイタリア・トスカーナ地方に工房をもつベルトブランドで、トップメゾンのベルト生産を請け負うほどの実力をもち、オリジナル製品はイタリアのアッパークラスに支持されているそう。
と聞けば次なる大ヒットアイテムの匂いがプンプンしませんか!?

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大谷 わぁ、カワイイっ!裏がピンクなんですね。
大西 これですよ、今回の狙いは!僕もこれ、女子ウケはかなりいいと思いますね。
大谷 女の子がボーイフレンドデニムにつけても可愛いかも!
駒井 これ実はレディースもあるんです。女の子のモノは革がコニャックで裏がグリーンとか。可愛いでしょう?
大谷 この鮮やかな発色はやはり、イタリアならではですね。
駒井 トレンドの流れでベルトの剣先を長めに垂らす人が多いので、裏地もポイントになってくるんですよね。
大西 僕自身ピンクは大好きなんですけど、歳をとっても怯まずに、どんどんピンクを使っていったほうがいいと思うんですよ。
大谷 綺麗な色を上手に取りいれている男性を見ると珍しいからパッと目をひきますね。
駒井 歳をとると顔にシワが増えてくるから、ヴィンテージやダメージ系ばかりで全身を揃えると、汚く見えてしまうんですね。
大西 そう。大人がカジュアルを着るにあたって結構陥りがちな欠点ですよね。軍パンやミリタリーブームで全身がハードな印象になるから、色を差してあげることで男くささを和らげてあげるといいですね。あと、このメッシュベルトが丁度いい時期だな、と思っていて。イギリス製の無骨なそれとも違いイタリアらしいエレガントな雰囲気が漂っているところがいい。
大谷 このアイデアがいいですよね。チラッと裏地をさり気なくみせている、この確信犯的な色見せがたまりません(笑)
大西 昔は若さでカバーできたけれども、歳をとるとどこかで品をプラスしていくことが重要ですからね。具体的に言えば、例えば小物で綺麗な色を取り入れてあげる。これをいきなり「ピンクのシャツを着よう」と言われると、かなりハードルは高いですから。
大谷 ベルトは意外と男性にとって盲点かもしれないですね。女子は結構気を遣うポイントなのですが。バッグや靴の色と合わせたり、デニムだけでなくワンピースのウエストマークがわりに太ベルトをつけたり。小物選びは考えますね。
大西 それと、男性はベルトを買い替えない人が多いんですよ。
大谷 そうかもしれないですね。
駒井 もっとベルトでも遊んでほしいですよね。
大西 デニムに普通のカーフベルトをしている人はまだまだ多い。
駒井 みなさん靴を決めてからベルトを決めるじゃないですか。ではなくて、ベルトから選んでほしいと思いますね。
大西 それですね。靴を選ぶのと同じくらい神経を使って選ばないと、意外とベルトって見られているんです。これからの時季は特に。意識してトレンドを入れていかないと、途端に古臭いコーディネートになってしまうんです。去年、一昨年流行っていたデカバックルのベルトが今つけられるかと聞かれると、アブないじゃないですか(笑)
駒井 できないですね~(笑)
大西 実はベルトにもトレンドがあるから、そこをちゃんと取り入れていれば定番モノを着ていても今っぽく装うことができる。
駒井 街を歩いていても結構皆さんベルトを見ていますよね。僕なんか職業柄見てしまいますが。
大谷 女の子の目線も感じますか?
駒井 感じますもん!
大谷 でも駒井さんご自身、ベルトに注目したのはなぜですか?
駒井 もともと僕自身、革小物が好きだったのと、ミラノで働いているときにデザイナーのティベリオ・フェレッティと出会ったんですね。それで「工場に遊びにきなよ」と誘われて行ったんですが、職人が4人くらいしかいない小さな工房なんですが、剣先まで一生懸命磨いているんですよ。それを見たときは美学を感じましたね。その姿に惚れ込んでしまった(笑)

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大西 工房はイタリアのどこにあるんですか?
駒井 イタリアのトスカーナ郊外のモンテカティーニ・テルメにあります。温泉で有名な街で、ここはローマ時代初期に発見された温泉なんです。小さい街ですが、めちゃくちゃリッチな人がたくさん住んでいますよ。フェラーリ遭遇率がフィレンツェの街よりも高いですから。高級クラブも沢山あるんです。
大西 それは知らなかった。ここのベルトは編み込みが上手いとか?
駒井 もともとクラシコイタリアのドレスベルトを作っていたファクトリーなんですが、そこに僕が入って社長と相談しながら「面白いカジュアルベルトを作ろうよ」って企画を出して出来たのがこのメッシュベルトなんです。
大西 スゴイ!そこまで食い込んでいるとは。
駒井 この先、生き残っていくためには柔軟でなければいけない、ということは彼ら職人さんたちも分かっているんですよね。ティベリオ・フェレッティは、どんどん新しいものを取り入れて作っていこう、という気概がある人。だから一緒にやらせてもらえるんですよね。ピッティに出展してからですね。勢いに乗ってきたのは。
大西 じゃあ社長も「こいつの言う事、なんか面白いぞ」と思っているワケだ。すごいなぁ~、それは。
駒井 ヴィンテージ加工、汚し加工、サビ加工とかありますよね?ここではそれをすべて手作業でやってしまうんです。加工された革をタンナーから買い付けると単価が高くなってしまうから。
大西 なるほど!
駒井 それだったら自分たちで洗ってしまおう、と物干しでバッと干している(笑)。それをも付加価値にしてしまおう、といった考えが面白いなぁ、と。
大西 ある意味正解ですよね。自分たちでコントロールしているから、他にはないモノが作れる。
駒井 だから一本一本仕上がりが違います。ダメージも、切り込み加工も一本一本カッターでやっています。手間はかかりますがコストはダウンできますよね。
大西 そのあたり、職人さんの柔軟性もありますよね。でもいいですよね。そこまでオーナーともコミュニケーションがとれていて。
大谷 今回のレコメンドスタイルのテーマもベルトが主役ですよね。
大西 今回のコーディネートは基本、誰もが持っている定番服を、ベルトを替えただけでこんなに雰囲気が変わりますよ、と言う話で作ってみました。
大谷 あれ、かなり爽やかでよかったです!
大西 これからの季節、仕事場でジャケットを脱機会が多くなると思います。そうしたときに、座っている人の目線にベルトがくるから、そこでベルトがヨレヨレだと靴が汚れているのと同じように「大丈夫かなぁ、この人」と不安になりますよね(笑)
大谷 “アジだし”といって革小物を大切にくたくたになるまで使っている男性は多いですが、実は女子からすると理解が出来ないよね、なんて声も多いんです。“アジ”と“汚い”は紙一重というか(笑)
駒井 ハハハハハ!なるほど(笑)
大西 服好きな人でも意外とベルトは落とし穴かもしれないなぁ。クールビズだと腰は目立ちますよね。全身をガラリと変えるとお金がかかってしまうけれども、たったベルト一本変えるだけで雰囲気が変わる、というのは今回の最大のテーマなんです。
大谷 あとはイタリアらしいカラーもいいですよね。
大西 そう!色に挑戦してほしい。一見ビビッドな色もつけてみると馴染むのに、お店で見るとひるんでしまう。「これ、俺がするのかよ」みたいな(笑)
大谷 ここ最近、セレクトショップを見ても、無難な色の服しか置いていないですからね。お店が安パイ主義に走っている、というのもあると思います。着ていて楽しい気分に浸れるカラー小物はどんどん身に付けて欲しい。周りの人も見ていて楽しいですからね!
駒井 そう言っていただけると嬉しいですね。トスカーナ地方には靴やベルト工房がたくさんあったのですが、ほとんど潰れてしまった。そして、本当に上質なものだけを提供するファクトリーだけが生き残っているんです。
大西 なるほど、逆に淘汰されていいモノだけが残ったと。いや~でもこのベルトは来ると思うなぁ。
大谷 マンネリコーデに一石を投じる様な存在になりそうですね。
駒井 頑張ります!

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今年一月に開催された「ピッティ・イマジーネ・ウォモ」での出店の様子。

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御年50歳というオーナーのティベリオ・フェレッティ氏。彼に「工房を見に来ないか」と誘われたのがこのベルトに惚れ込んだきっかけであったという。互いにデザインのアイデアを提案するなど、二人三脚で歩んできたオーナーと駒井氏は絶大なる信頼関係で結ばれているそう。

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工房では職人たちが手作業でひとつひとつベルトに洗いをかけ、ハンドステッチ、サビ加工、汚しやヴィンテージ加工を施していく。回転ドラムブラシやスポンジを使用し、シューズと同じ手法でアンティーク加工の技術を発達させている。

駒井 彰さん

駒井 彰さん

コマコ・ワークス代表

刈り上げがトレードークの駒井氏は、実はこのベルトに出会う前はお笑い芸人であったという異色の経歴の持ち主でもある。イタリア・ミラノに住みながらリメイク衣料のデザイナーとしてキャリアを築き、その後ティベリオ・フェレッティ氏と出会いベルトづくりに魅了され、いまでは同社の日本総代理店を務める。

大西 陽一

大西 陽一

ファッションエディター/RESPECT

エディター的視点からスタイリングのできる希少な存在として、雑誌や広告など幅広く活躍する売れっ子。守備範囲はメンズファッションだけにとどまらず、インテリアやクルマ、雑貨までにも及び、親しみやすいほがらかな人柄が多くの編集者から愛されています。趣味の写真の腕前は相当なもの。

大谷 繭子さん

大谷 繭子さん

ファッションエディター・ライター

男性誌および女性誌でファッションをはじめ、旅、グルメ企画を担当。新しい店が出来たとなるとチェックせずにはいられない、自他ともに認めるオヤジ好き女子。酒好きでもあり、麻布十番にあるバー「ラ・ユロット」ではしばしばその姿を目撃されている。趣味は洋ドラをみること。

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